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組織のみんなで生成AIを活用するためのGoogle スプレッドシート活用について

この記事はGoogle Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024の25日目の記事です。

こんにちは!ゆるふわクラウドおじさん こと、Teeda と申します。『Google アプリの教科書シリーズ』という本を毎年Amazon で販売していたり、YouTube チャンネルUdemy で学習用動画を公開しています。

Happy Holidays! 🎄🦌🛷🍰🍱👹🎍

25日目になりました。ようやくです。
この記事が終われば、めっちゃホリデーになります。
Yeah!です。

2024年は、様々なシーンで生成AIが台頭してきた激動の1年でした。
note にも「AIアシスタント」なる機能が登場していて、
AIを活用できることでよりたくさんのチャンスをつかめるようになりそうです。

note のAIアシスタント


AIが普及すればするほど、
AIを活用できることが強み ⇒ AIを活用できなければ生き残れない
という風になってしまうのではと私は危惧しています。

この記事では、生成AIを組織のみんなが活用できるようになるためにGoogle スプレッドシートを活用するアイデアを紹介します。


生成AI、使えてますか?

普段、生成AIを使っていますか?
この記事、このアドベントカレンダーを読んでいただいているあなたは、

  • 生成AIが効果的なシーンについて調べたり

  • 効果的なアウトプットができるプロンプトについて調べたり

  • 調べなくてもとりあえず生成AIにプロンプトを書いて試行錯誤する

といった生成AIとの付き合い方をしているかと思います。

Google アカウントを持っていたら誰でも「Gemini」というGoogle のAIを使用できるようになっています。
生成AIや最新のツールに対して関心を持てる人は、自分の力、自分の好奇心を推進力として生成AIの個人としての活用力を高めていけるかと思います。

しかし、あなたではない人は、生成AIを使いこなせているでしょうか?
生成AIを活用すればもっと便利になる他の部門の人たちは、生成AIを使いこなせているでしょうか?

生成AI活用研修?研修しただけで生成AIを使いこなせる人はごくわずか

生成AIを使いこなせる人材を増やすため、生成AIの概要とか、業界での生成AI活用状況とか、こういうシーンで生成AIは有効です!
みたいな研修がなされます。

「営業部門のための生成AI活用講座!」みたいな講座はいくつかあるかと思います。
このような講座に参加したら、ただちに生成AIに高度なプロンプトを入力できるようになるでしょうか?生成AIを活用することがただちに組織の文化として定着するでしょうか。

私はそうは思いません。

生成AIの概要や、意義を理解したとしても、それは1つの教養として聞いただけで、実践するにはまだハードルがあると思うのです。

法人営業を行う際、相手の属性に合わせたアイスブレイクの内容を生成AIに聞いてみるといいかもしれません。
他にも、様々なシーンで生成AIを活かしてみましょう!

こんな風に伝えられただけで、これまで一度も生成AIを使ったことがない人が、生成AIの入力画面にアクセスして、そして自分が期待する結果を得られるプロンプトを書けるのでしょうか?

そんなことができるのはごくわずかだと私は思っています。

Google スプレッドシートでプロンプトを共有したらよい

同じ部署で同じような業務をして、その業務に生成AIを活用することで成果が高められるなら、プロンプトの書き方が共有されているのがよいと私は考えます。

そのプロンプトの共有というのは、効果的なプロンプトの書き方を組織のみんなに伝えて思考のレベルを統一すべきだというのではありません。

高度なプロンプトを出力できるように定義したGoogle スプレッドシートのファイルを組織のみんなに共有するのがよいと私は考えます。

プロンプト名人のプロンプトをみんなで使う

Google スプレッドシートを組織のみんなに共有し、組織のみんながそのGoogle スプレッドシートを使用すれば高度なプロンプトが出力できる、というのがよいと私は考えます。
プロンプトの定型文の部分を組織のプロンプトの名人が用意して、
プロンプト内の変数の部分を組織内のメンバーが編集することで、
高度な出力ができるプロンプトを、出力できるのです。

たとえば、法人営業の部門で、商談を行う相手(顧客)の部署や役職、顧客の企業の業種、経営規模などを考慮したうえで、アイスブレイクのネタをいくつか出したい
というプロンプトを考察するとします。

すると定型文部分(上の句)は、

タイトル: 法人営業の商談成功率向上のためのパーソナライズされたアイスブレイクネタ生成

依頼の概要: 法人営業の商談において、初対面の顧客との関係構築を深め、成約率向上を目指す。顧客との共通の話題を見つけ、親近感を高めるための効果的なアイスブレイクネタを生成する。

目的:
顧客との共感を生む: 顧客の興味関心や業界トレンドに合わせた話題を提供し、共感を生む。
緊張緩和: 和やかな雰囲気を作り出し、顧客との距離を縮める。
商談へのスムーズな移行: アイスブレイクをきっかけに、商談の本題へと自然な流れで移行する。

リソース:以下に定義する顧客プロフィール、業界動向の情報を使用すること。

評価基準:
関連性: 顧客のプロフィールや業界動向との関連性が高い
新規性: 既出のネタではなく、新鮮で興味を引く
安全性: 顧客を不快にさせたり、差別的な要素を含まない
話題の広がり: そこからさらに会話が弾むような、広がりを持つ話題

明確化の要件:顧客とのアイスブレイクネタを明確にするために、事前の調査と準備が必要です。

生成AI用のプロンプトの上の句のイメージ

この定型文の途中に、変数として顧客情報を挿入します。
顧客情報は、Google スプレッドシートの「顧客情報」シートや「前提条件」シートなどを作成して、そこに定義するとよいでしょう。
※顧客一覧をGoogle スプレッドシートに作成して、VLOOKUP 関数などで抽出してプロンプト内に挿入できるとより効果的ですね。

変数部分の定義ができたら、
定型文部分(下の句)を定義します。

あなたは、顧客との関係構築に強みを持つコンサルタントAIです。
上記のリソースに基づき、最適なアイスブレイクネタを考案してください。

step1:上記のリソースに基づき、最適なアイスブレイクネタを考案してください。

step2:
以下のテーマに沿って、アイスブレイクのネタを3つずつ考案してください。
上記の顧客情報と状況を踏まえ、以下の3つのテーマに沿って、各2つのアイスブレイクネタを考案してください。

業界の共通認識:業界の最新トレンドや共通の課題に関する話題
顧客の部署:顧客の部署に関連する話題
顧客の役職:顧客の役職に関連する話題

各ネタに以下の要素を含めてください:
タイトル:印象的なタイトル
ネタの内容:具体的な質問や話題
目的:このネタで何を達成したいか(共感を得る、緊張を解くなど)
評価基準:
オリジナリティ:新鮮さ、独創性 (10点)
関連性:顧客情報との関連性 (20点)
共感度:顧客が共感しやすいか (20点)
会話のきっかけ:そこから会話が弾むか (20点)
印象に残る度:顧客に記憶に残るような話題か (10点)
商談への繋がる可能性:商談の本題へとスムーズに移行できるか (20点)

step3:最適なネタの選定
step2で考案したネタの中から、上記の評価基準に基づき、以下の3つの状況に最適なネタをそれぞれ1つ選んでください。

初対面で緊張している場合:
何度か会っており、関係性が構築されている場合:
複数人が参加する会議の場合:

生成AI用のプロンプトの下の句のイメージ

Google スプレッドシートでプロンプトを作ってみよう

Google スプレッドシートでこれまでの内容を作るとこんな感じになります。

リソース設定 シートを作成。
生成AIを使用したい各ユーザーが
リソースとして変数だけを入力
出力したいプロンプトの単位でシートを作成。
プロンプトの定型文となる上の句、下の句を入力したイメージ
プロンプトの定型文と、リソース設定の内容を結合し、プロンプトを作成。
生成AIへのリンクを記載しアクセスしやすくしている。
コピペするだけで高度な出力結果を得られる。

このプロンプトをGemini で使ってみると

実際にこのプロンプトをGemini で使ってみるとこんな感じになります。

プロンプト入力イメージ

出力結果がこのようになります。

出力結果イメージ1
出力結果イメージ2
出力結果イメージ3

というものでした。
けっこう、私の興味あることが出力されたなあ、Gemini さん、よく考えてるなあと感じました。

こういう観点でnote からメッセージいただけたら、きっとるんるんで商談に臨んじゃいます。

まとめ:プロンプトは使うもの、作るものではない

Google Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024の25日目の記事でした。

組織のみんなで生成AIを活用するためには、高度な出力結果が得られるプロンプトをみんなが使えればよいと私は考えます。

組織のみんなに「生成AI概論」なる研修を受けさせるのではなく、組織のみんなにサンプルプロンプトを大量に見せて参考資料として「このサンプルを参考に、みんなそれぞれ活用してね!」とぶん投げることが、組織のみんなの行動変容を促すものだとは思えないのです。

高度なプロンプトを考える人が、組織のみんなにそのプロンプトが使われるように共有したらいいのです。
プロンプトを考えることができなくても、プロンプトを利用できればいいのです。

高度なプロンプトを考えられる人は、もしかしたら法人営業の商談の現場に行かない人かもしれません。商談の現場に行く人に「高度なプロンプトを書けるようになりなさい!」と要求するなら、逆に現場の人から「そんな高度なプロンプト書けるんなら、それを活用して現場に行って受注してきたらいいだろが!」と反論されるかもしれません。

高度なプロンプトをGoogle スプレッドシートで共有し、1つのプロンプトが多くの人に使われることはとても大事です。
考案した人が高度だと思っているプロンプトは、考案の時間をたくさん使っています。そのため、考案者には愛着があるはずです。その愛着によって、それ以後プロンプトが改善されることはあまりないかもしれません。

プロンプトを共有された人にとっては、プロンプト考案の時間がゼロだから、出力結果があまりよいものでなかったら、改善の余地があるとしたら、すぐにツッコミを入れられるでしょう。
「もっとこういう結果にならないの?」と、自由に漠然とした要求をしてくれるかもしれません。
この要求こそが、真に現場に寄り添っている仕様に近いものだと私は考えます。

車を運転したいなら、自動車の歴史を理解し、エンジンの仕組みを理解し、自動車整備士の資格を持ち、自分だけで自動車のメンテナンスもすべてできるようにならなければいけない、というわけではないですよね。
運転免許を取得するために必要な知識と、運転に必要な身体能力(視力や状況判断能力)があれば運転はできます。

生成AIも同じで、組織のみんなに広く使われるには、
表計算ソフトを使うことも難しい人でも、生成AIを使って自分の活動をよりよいものにできることが重要です。
プロンプト名人がGoogle スプレッドシートでプロンプトを作って共有する。
生成AI使用者は、Google スプレッドシートをテンプレートとして活用し、高度な出力ができるプロンプトをコピーして使用する。

このようにして生成AIに触れられる時間を増やしたり、高度な出力ができるという体験を何度もさせることで、ちょっとカスタマイズしてみようか、とかもっとこういうことはできないか。自分でもゼロからプロンプト書けるようになりたいな。
という人がきっと現れます。

これまで生成AIを触ったことがない人、生成AIを知らなかった人、自分からは生成AIについて学習しようとは思っていなかった人、といった生成AI初心者さんにも組織の生成AIの達人による高度なプロンプトが使われるようになることが、Google スプレッドシート活用によって実現できると私は考えます。

ほんとのおわりに

Google Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024 最終日を迎えました。
私はコミュニティ活動、マーケティング活動が得意ではないため、
本当はこのアドベントカレンダー、他の人にもぜひご参加いただきたいと思っているんです。本当です。

所属しているコミュニティで、アドベントカレンダー作ったので、ぜひご興味ある方、みんなで書きましょう!って伝えられたら私以外のご参加者さんがもっと増えるかもしれないのに。って、毎年最終日になって気づきます。

ご参加者さんぜひ!
って書いているのに、ほとんどの日の投稿を自分で埋めてしまっています。
2025年は、私以外の方にもご参加いただけるように工夫したいと思っています。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。
どの日の記事がよかったというメッセージや、「スキ」とか、こういうことできませんか?というメッセージとか、最終日のこの記事への「スキ」などいただけると、頑張って記事を書いた苦労が報われます。

また来年、Google Workspace 標準機能 Advent Calendar 2025 でお会いしましょう

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