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Google ドキュメントで書籍執筆(電子書籍) - タブ機能を使用して1つのファイルで本の内容すべてを入力 -
この記事はGoogle Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024の11日目の記事です。
こんにちは!ゆるふわクラウドおじさん こと、Teeda と申します。『Google アプリの教科書シリーズ』という本を毎年Amazon で販売していたり、YouTube チャンネルやUdemy で学習用動画を公開しています。
「Google Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024の4日目の記事」で、Google ドキュメントの新しい機能「タブ」機能の紹介をしたのですが、記事作成のために機能をくまなく触ってみると、思いがけず便利なことに気づいてしまったのです。
そして、2025年に出す本の制作、タブ機能使った方がいいんじゃね?
と…おぼろげながら、頭に思い浮かんだんです。
タブ機能使え…って。
というわけで、この記事では、私の会社で毎年制作している書籍『Google アプリの教科書シリーズ』をGoogle ドキュメントでどんなふうに作っているのか、タブ機能を使う前と後でどんな風に変わるかをちらっと(という名の超膨大な量の図解と)お見せしたいと思います。
タブ機能 なしの制作環境
Google ドキュメントのタブ機能が登場したのが、2024年10月頃のこと。
毎年私の会社では『Google アプリの教科書シリーズ』という本を制作・販売していて、1月から2月くらいに、その時点での最新の画面をイメージできる解説画像を掲載した本を制作しています。
この記事を書いている2024年12月には、あともう少しで2025年版の制作がはじまるんだなあ、ウズウズ、となっています。
2024年版を制作したころ(2024年1月から2月)には、Google ドキュメントのタブ機能は登場しておらず、タブ機能なしの編集をしていました。
タブ機能がない環境での制作ツール、制作環境はこんな感じです。
ファイル管理:Google ドライブ
Google ドライブでファイル管理、共同編集をしています。
年度ごとに作品ごとにフォルダを管理しています。
📁 Google ドキュメントの教科書2024 フォルダの中身のイメージ
📁 執筆フォルダ
└ 📁はじめに
└ 📁 1章
└ 📁 2章
└ 📁 3章
└ 📁 おわりに
📁 画像フォルダ
└ 📁 図解スライドフォルダ
└ 📁 最終画像フォルダ
└ 📁1章画像フォルダ
└ 📁2章画像フォルダ
└ 📁3章画像フォルダ
このフォルダ構造の中の
📁 執筆フォルダ の中には、
節の単位で執筆しているGoogle ドキュメントのファイルがあります。
それぞれの章で長さがや節の数は異なりますが、だいたい10くらいの節があります。
つまり、
📁 執筆フォルダ
└ 📁 1章:10個くらいのGoogle ドキュメントのファイル
└ 📁 2章:10個くらいのGoogle ドキュメントのファイル
└ 📁 3章:10個くらいのGoogle ドキュメントのファイル
となります。
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「章」の単位でフォルダを作成し「節」ごとにGoogle ドキュメントのファイルを作成
こんな感じに、章ごとのフォルダに、節ごとにGoogle ドキュメントで本文を執筆しているのです。
電子書籍『はじめてのGoogle ドキュメント2024』の目次を見ると
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このような目次となっており「章」の単位でフォルダを作成し「節」の単位でGoogle ドキュメントのファイルを作成しています。
執筆ツール:Google ドキュメント
章の中の節ごとにGoogle ドキュメントでこのように執筆しています。
Google ドキュメントの「見出しのスタイル」「枠線と網掛け」などの標準のデザイン機能を使用して、電子書籍として出力されるときのイメージをGoogle ドキュメント内にほぼ再現しながら制作しています。
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Google ドキュメントの本文内に、Google スライドで作成した図解などの画像を挿入しています。Google ドキュメント、Google スライドを使用することでリアルタイムに共同編集でき、誰かひとりが膨大な作業量を抱え込んでしまうことを防いでいたり、更新すべきファイルを間違えてしまうと言ったことが起こらないようにしています。
Google ドキュメントの中にHTMLを入力しています。すべての画像、本文の制作が完了したら、電子書籍執筆ツール(Sigil)にコピペするだけで完成!となります。
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Google ドキュメントで作成した各節のHTMLの内容をコピペ。
Google スライドで作成して画像形式で保存したデータをインポート。
このように、タブ機能が存在していないときの編集では、複数のファイルにまたがったGoogle ドキュメントでの制作となっていました。
タブ 機能を使ったGoogle ドキュメントでの電子書籍制作
タブ 機能を活用すると1つのファイルだけで完結できそうです。
これまでの執筆ファイルを1つのファイルにまとめると、こんな感じになります。
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「章」ごとにタブを作成し、章のタブの下に「節」のタブを移動。
タブ機能の活用によるいい効果
タブ機能を活用すると、どんないいことがあるか考えてみました。
執筆フォルダがすっきり
Google ドライブの執筆フォルダの中が増えすぎない、というのはいいことかなあと思います。Google ドライブでファイルを探すときに、検索結果としてたくさんのファイルが表示されないようになるのは便利かもしれません。
作品全体でのキーワード検索ができる
同じファイル内のすべてのタブの中に存在するキーワードを、検索機能で探し出すことができ…ました。
Google ドライブでフォルダ内の検索をするのではなくて、Google ドキュメントでファイル内すべてのタブからの検索ができます。
また、作品全体を通した、用語の統一をするための検索と置換もできそうです。
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表示しているタブ内か、すべてのタブからかを検索範囲として指定できる
文書ファイルの単位で階層構造が作れる
1章 の中には、1章表紙、と1章の各節が存在します。
表紙のタブを章の最上位の階層にして、表紙のタブの下に各節のタブを配置することができ、タブの「▶」「▼」ボタンをクリックすることで階層を展開したり閉じたりできるのが編集するうえでとっても便利です。
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▼ ▶ で展開したり閉じたりできる
絵文字で進捗管理
それぞれのタブ名の左端に絵文字を追加できます。
絵文字によって、それぞれのタブ 内の編集が今どんな状況かを分かりやすくできると思いました。
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絵文字を検索・選択してタブ名の先頭に追加したり、解除できる
タブ機能の活用による悪影響?
タブ機能を活用すると、本の執筆が便利になる面もあります。
でも、いいことばっかりで、悪いことが1つもないわけではありません。
今のうちから、想定できる悪影響を考えてみたいと思います。
ファイルサイズが大きすぎ?
これまで複数のファイルに分かれていたものが1つになるので、すべてのファイルの容量が1つのファイルにまとまります。
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節ごとに分けてGoogle ドキュメントのファイルを作成すると、
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10 KB 程度だったファイルサイズが、1つにまとめると、1.2MB(≠1200 KB)となり、100倍以上のファイルサイズになります。
このファイルサイズの文書を通信環境がよくないところで開いたり、複数人でリアルタイムに共同編集する時、処理速度が遅くならないんだろうか?
というのは心配するところです。
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変更履歴が膨大になる?
複数のファイルに分割されていたら、編集者による編集の操作がファイルごとに記録されるため、いつどのように編集したかを後から探りやすいと思います。
間違えた操作をしてしまった時にも、過去の版に戻すことの影響範囲は1つのファイルにとどまります。
しかし、すべての執筆ファイルを1つのファイルにまとめてしまうと、異なるタブの変更履歴もすべて1つのファイルに記録されます。これにより、特定のタブ内での誤った操作だけを元に戻すことが難しくなると思われます。
提案モード・比較モードも膨大になる?
変更履歴と同じように、提案モードでの操作の内容が、すべてのタブにまたがってしまうため、1つのファイルに超大量の提案内容やコメントが記録されるかもしれません。
ある時点でのファイルと、別のある時点でのファイルとの差分を比較できる機能「比較モード」がGoogle ドキュメントには備わっていますが、比較する対象となる範囲が膨大になってしまい、比較の工数が膨大になるのでは、ということも心配しています。
タブ機能を使用した数百ページの電子書籍制作には、タブ機能を使用しないときよりも改善できる点もあり、改悪される点もあると体感しました。
さて、2025年版はどう作ろっかな。
まとめ:タブ 機能で電子書籍は作れる…が。
Google Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024の11日目の記事でした。
この数日の記事で、タブ機能について網羅的に体験し、紹介できたかなと思います。タブ機能を活用することで便利になるシーンはたくさんあると思います。
ただ、この記事でお見せした「電子書籍制作」のために書籍のすべての執筆を1つのGoogle ドキュメントでやろうとすると、ファイルサイズが大きすぎるかも知れない、変更履歴が膨大になるかもしれない、などの不具合が生じ、むしろ生産性の悪化を引き起こす可能性があります。
なんでもかんでも、可能な限り1つのファイルで管理しようとしないことが大事です。電子書籍の制作を例にするなら、章ごとに1つのファイルにしよう、くらいなら上述の不具合は気にならないかもしれません。
また、ファイルサイズやタブの数は膨大だけど、共同編集者がいなくて自分だけでほとんど編集していて、他の人には閲覧権限だけを付与している、という場合には1つのファイルになるべく多くの情報をまとめるのがよいというシーンもありそうです。
新しい画期的な標準機能は、あらゆるシーンで有効な万能薬とは限りませんので、機能について十分に理解し、その機能をたくさんいじって試行錯誤して、適切なシーンで適切な機能を取捨選択しましょう。
Google ドキュメントやGoogle ドライブを使用した電子書籍の制作について、なんとなく理解できたでしょうか。
もしね、この記事を読んでいただいている人の中で、自分も電子書籍書いてみたい、Amazon のKindle で電子書籍出してみたい!ネタはある!
あとは編集の仕方、出し方がわからないだけ!という方いらっしゃいましたら、気軽にコメントやDMなどいただけたらと思います。ぜひ情報交換いたしましょ。
Google Workspace 標準機能 Advent Calendar 2024のご参加者さん、お待ちしています。