リヴァプール旅行記
朝四時から始まったこの旅は期待と眠気に包まれて幕を上げた。
イギリスではおなじみストライキ大好き某鉄道会社も今回ばかりは予定通り運行してくれ、
僕は無事にリヴァプールへの切符と手に入れたのだった。
ヴィクトリアに到着し、バスステイションへと向かう。
時刻表を確認しようとすると、
サイバー攻撃を受けたのかと心配になる電光掲示板がそこにあった。
受付の人に直接聞いてみると13か14ということで、
おとなしくそこで待つことにした。
結局リヴァプール行きは12番乗り場だった。
イギリスだな~と思いながら無事バスに乗れたことに安堵する。
それから約五時間ほどバスに揺られ、ついに念願のリヴァプールに到着した。
到着してぶらりと歩いていると目に入ってきたのは豪華すぎる3棟の建造物。
後から調べてみるとこれらはスリーグレイシズと呼ばれていて、
日本語では三美神。
それぞれ20世紀初頭に作られ、100年以上たった今でも街を優しく見守っている。
それぞれ全く違う外観をしているんだけれど、
なぜだか三つが調和しているのが面白いところだと思った。
後ろを振り返るとマージー川と夕日がきれいに映えていました。
かの有名なビートルズの銅像もここに佇んでいます。
優しいお兄さんが気さくに話しかけてくれ、
写真も撮ってくれました。
感謝感謝です。
少し散歩をしてブリティッシュミュージックエクスペリエンスという博物館に向かいます。
ここではイギリスの音楽の軌跡を年代順に見て回れます。
強面のノエルが意外とかわいい字を書くんだと少し驚きました(笑)
もちろんビートルズのコーナーもあります。
ほかにもエルトンやエルヴィス、クイーン、ローリングストーンズ、デヴィッド・ボウイなど数え切れないほどのスターの展示物が見れます。
イギリスは音楽の面でもすごいんですよ!
ブリティッシュミュージックを堪能した後、
リヴァプール大聖堂へと向かうことにしました。
この大聖堂はとにかく大きかったです。
その大きさはロンドンにあるセント・ポール寺院の約二倍!
写真ではなかなか伝わりずらいのですが本当に大きい。
内装はモダンな感じできめ細かいつくりのステンドグラスには必見です。
天井がものすごく高く開放感があります。
ここはレディーチャペル。
粗目のブロック状の壁面に対して複雑なデザインが混ざり合うことで、
メリハリがついて見ていて飽きません。
美しさに圧倒されながら見て回っていると、
なぜかエリザベス女王への弔いの言葉を綴る場所へと迷い込んでしまい、
ここにきて何食わぬ顔で引き返すわけにもいかず、
列に並んで今までの感謝の言葉を不器用ながら英語で綴ったのでした。
安らかにお眠りください、女王様。
大聖堂を後にすると、日もだいぶ落ちていたので、
ホテルへと向かうことにしました。
ホテルといっても少し珍しいホームステイタイプで
どんな人がホストなのか少しドキドキしながらドアを叩くと
出てきたのは腕にタトゥーが入った筋肉質のおじさんでした。
死んだと思ったけれど人は見た目で判断してはいけませんね。
最初は少し怖かったけれど話してみると本当に陽気な方で楽しめました。
実は彼はつい最近まで日本人の妻がいたらしく、
約小一時間、彼女との出会いから別れまで詳しく話してくれました。
彼女が恋しいとは言うものの、
最近仲良くなったこの子がアツい的な話もしてくれて、
お前の愛は迷子だよと思いましたが必死に心の中にしまいました。
こんな感じで一日目は終わりを告げたのでした。
二日目
ゴリゴリタトゥーの筋肉質おじさんに入れたてコーヒーをごちそうしてもらいルンルン気分でビートルズストーリーへと向かいます。
アルバートドックの一角にあるこの博物館は予約必須です。
また日本語にも対応した音声ガイドもあるので英語に自信がない方も楽しめますよ!
内部は実際に行って楽しんでもらいたいのであえて写真は載せませんが、
ビートルズ結成から解散までの歴史、
各アルバムについての豆知識などビートルズのすべてがここには詰まっています。
リヴァプールに来た際は是非訪れてみてください。
ミュージアムを後にしてバスに揺られストロベリーフィールズへと向かいます。
真っ赤な特徴的な門が僕を出迎え、
急いでウォークマンを取り出してマジカルミステリーツアーのアルバムを選択。
耳に流れ込む不穏なイントロとレノンの不安定だけれど安心する歌声。
色褪せることのない名曲です。
次に向かったのはエリナー・リグビーの墓。
ジョンとポールが出会った教会の片隅にあの名曲の文字が。
またもやウォークマンを取り出して、リボルバー、エリナー・リグビー。
イントロが一切なく途端に始まるこの曲。
クラシカルな曲調に孤独な老女の悲痛な人生。
エリナー・リグビーは曲というより一つの芸術作品のようなものに感じます。
ペニーレインを後にしてリンゴの生家へ向かいます。
こんなところに駐車しやがってと思いましたが、
リンゴの言葉を思い出します。
”ラブ&ピース”
愛ある優しい心を忘れずに雲の色とマッチした車の色だと感心しました。
パブ近くにはリンゴの実家があります。
白を基調とした壁色でピンクがリンゴのクールさに反してかわいいですね。
小雨も降り出してきて時間もいい頃合いだったのでビートルズを耳に流し込みながら帰路につきます。
ムキムキ強面おじさんともお別れをして最終日。
計画性のない自分を責めに責めたのですが実はこの最終日は月曜日で多くの博物館はお休み…
最後の希望を胸に抱きTateモダンに行くと、
予約なし、金なしで入れるTateモダンへようこそと歓迎してくれました。
ここは普通の美術館や博物館を違って個性派です(笑)
説明文はほとんどなく疑問形で占められています。
なんで__なんだろう?
どうしてこの人は__?
アートが好きな人、考察系ユーチューバーにはうってつけだと思います。
またTateはLiverpoolだけではなくて各大都市に点在しています。
それぞれ雰囲気が全然違うので是非比べてみてください。
そしてバスまでの時間が微妙に余ってしまい、
行こうか迷っていたキャヴァーン・クラブに芋って真昼に突撃しました。
地下にあるクラブは長い階段を下りた先にあります。
下りていくほど鮮明に聞こえる音楽が心をワクワクさせます。
昼間だというのにテーブルは満席で立ち飲みしてる人たちもぞろぞろ。
お酒飲んじゃえよと頭に住み着く悪魔が囁いてきたんですけど、
よくよく考えたらこの後長距離バス乗るんだ、今飲んだらゲロだ。
冷静に自制できたのは今でも誇りに思います。
エルトンジョンのクロコダイルロックに続きビートルズの名曲。
知らない人と一緒に歌い、楽しんだのはいい思い出です。
惜しくもバスの時間がきたのでクラブを後にしました。
大人になってまた来たとき絶対お酒飲むぞ!とあほな意気込みとともに
リバプール旅行は終わりを告げたのです。