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夏が嫌いだった
人生初めて夏を暑い…と認識した中学一年の夏。運動嫌いのクセに部活動に毎日行って(参加させられて)
自分との違いを嫌と言うほど見せられるキラキラ光るレギュラーの為の夏が嫌いになった。
ただ暑いだけのグランド。
砂埃が顔にかかって不快な気持ち。
自宅に帰る頃には全身を包む疲労感と思春期特有の不快な汗の匂い。
全部ひっくるめて人生を賭けて夏を嫌いになるには充分な体験だった。
そう言った気持ちを思い返してみた時、やはり人生賭けた結果、大人になっても夏は嫌いである。
夏は暑い。虫も沢山いる。汗をかくのに逃げ場がない。そう、アウトドア趣味の方々には申し訳ないが、ぼくは夏が嫌いだし、キラキラした人種も嫌いだし、虫が嫌いだから結果、十把一絡げにキャンプとキャンプ趣味の押し売りが嫌いだった。
42年ほど。
人と言うものは何かのキッカケで手のひらを返す速度は光速を超えるのである。セブンセンシズにも目覚める。
何かの思いつきでテントを買った。
キッカケは昔キャンプに行った奥さんが
「キャンプに行きたい」
いつもならば自分の意にそぐわない提案は耳から入って頭の片隅にしまう事もなく、その場で生返事を返すのだけど、 何故だかその日は違った。
多分、奥さんの提案してくれたキャンプの条件が良かった。
夏だけど高原だから暑くない。
虫がいないエリアを作るスプレーがある。
キラキラしたウェイウェイした若者もキャンプにはあまりいない。
テントを買ってグッズを揃え、奥さんもあなたどうせこう言うのが好きでしょ?と言わんばかりに刃物を揃えることを許してくれる。
男はデカいナタで藪を漕ぎ、デカい斧で薪を叩き割り、切れ味の良いナイフで肉を切るのだ。
そして、叩き割った薪で焚き火をし、肉を焼き、葉巻を吸う。
キャンプにはレギュラーも補欠もない。もちろん手際の良し悪しはあるが、楽しめればそれでいい。一人一人がやりたい事をやりたい様に過ごせばいい。
何が正解とかでは無く、どれだけその日一日を自分の中で最高に仕上げていくか。
まんまとオヤジキャンプ好きの完成である。
夏は嫌いだった。
キラキラした夏は未だに抵抗感がある。
何だあのクラスカーストでレギュラーが決まる理不尽な部活動は。
だけど、ここ数年、夏は嫌いではない。
キャンプの帰り道に野生の猿を見つけた。
車内は非常に盛り上がった。
野生の猿など見る事なんてなかった。キャンプに行く気持ちにならなければ。
家族でキラキラ出来る。こう言う夏ならぼくはなんとなく嫌いではないのだ。
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