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【室蘭のピㇼカノカ】地球岬で地球の大きさを体感した

 今回は、母恋駅から室蘭駅に向かって、室蘭市の南部にある絵鞆半島えともはんとうを散策しました。
絵鞆半島は、室蘭市の南部にあります。内海岸は工業地帯、埋め立てて造られた港が広がっています。一方、外海岸は、直角の崖や複雑に入り組んだ入江によって複雑な地形になっており、美しい景色を創り出しています。
この絶景の土地のことをアイヌ語で、「ピㇼカノカ(美しい形)」と言われています。アイヌの物語、祈りの場、言語というアイヌ文化が色濃く残ります。
その室蘭の絶景の中でも、地球岬は室蘭に行くきっかけになった場所です。地球という漢字を見て、広大な岬だろうと興味を持っていました。10年かけてようやく、行くことのできた念願の場所です。

室蘭さんぽ

 室蘭市の南岸は複雑な地形が広がっています。5月上旬は桜が咲き誇り、白樺の若葉が美しく、新緑を感じられました。母恋駅から、トッカリショ、金屏風、地球岬、チャラツナイを経由して旧室蘭駅まで歩きました。

今回の散策ルート

母恋駅

 始発の札幌駅発東室蘭行に揺られること2時間半、東室蘭駅。東室蘭駅周辺は現在の室蘭市の中心市街地。隣の登別市まで市街地が広がります。東室蘭駅で室蘭駅行きに乗り換えて3駅、10分ほどで着きます。母恋駅が、地球岬への最寄り駅です。

母恋駅

母恋めし

 北海道西の太平洋側で豊富に獲れる大きな北寄貝。北寄貝を使った炊き込みご飯が、母恋めし。ベンチで絶景を眺めながらいただこうと思いました。しかし、今回は、売店が定休日だったため、断念しました。かつては、東室蘭駅、室蘭駅でも販売されていました。現在では母恋駅のみ販売されています。

母恋神社

 母恋駅から北へ15分。小高い丘の上に、母恋神社があります。境内の石段を抜けると、歴史ある狛犬、本殿が目の前に広がります。1892年に町の開発者が設立しました。1908年、日本製鉄所が室蘭に設立され、人口が急増し、衣食住の神様であるトヨウケヒメを祀りました。日頃の感謝の気持ちをこめて参拝しました。

母恋神社社務所

トッカリショ浜

 母恋神社から、さらに北へ15分ほど登ります。トッカリショは、アイヌ語で「アザラシの岩」という意味です。近くには、「鮭場」と呼ばれた好漁場があり、そこに餌を求めたアザラシがたくさん訪れていたといわれています。白い断崖が波によって削られてできた姿は、青森県下北半島の仏ヶ浦に似ていました。表面を覆うように染めるクマササの葉、波によって浸食された白い崖の美しさ、遠くから見えるクジラの親子のような地形に圧倒されました。

トッカリショ浜

仏ヶ浦について、詳しくはこちら

金屏風

 10分ほど西へ歩くと見えてきます。赤色に帯びた鮮やかな崖。太陽光に当たることにより、金屏風を立て連ねたような姿に見えます。太陽の力で美しい金色に見える風景も美しく感じました。

地球岬

 さらに10分西へ歩きます。地球岬は、知名度が高いためか、数十人の観光客が集まっていました。一方、トッカリショ浜、金屏風は貸切状態でした。
 地球岬は、アイヌ語で「ポロチケウェ(親である断崖)」と呼ばれていました。チケウェ→チキウに訛り、地球という当て字が取り入れられました。1985年、朝日新聞社主催の「北海道の自然100選」で1位に選ばれました。晴れた日は、道南の渡島半島、青森県の下北半島まで見えます。100mも断崖絶壁で下は青い海が広がっています。地球岬から地球の丸さを感じることができます。春から秋にかけて、ミンククジラ、イルカが沖合で見ることができます。運が良ければ、野生のオットセイも眺めることができます。室蘭には、イルカをモチーフにしたマスコットキャラクターやクジラのぼりがあり、シンボルになっています。
 チキウ岬灯台は地球岬の突端、海抜130mの断崖の上にあり、全体が白い灯台で美しいです。1920年に点灯しました。灯台の光は約44㎞まで届き、沖に出る船、室蘭港に出入りする船の安全を見守っています。毎年、海の日の祝日などで、一般公開されています。

地球のオブジェが見られる


地球岬灯台

チャラツナイ

 室蘭駅の方向へ15分ほど歩きました。アイヌ語の「チャラルセナイ(滝をなしてさらさらと流れる小川)」が由来。海沿いを見渡すと円錐上の大小の岩がずらりと広がります。地球岬より西側で見られる花崗岩由来の白い岩とは反対で、玄武岩由来の黒みがかった岩になっています。
 一番大きな岩は、アイヌ語では「ムカルイソ(マサカリの岩)」、現在では蓬莱門と呼ばれています。アイヌ伝説によると、この岩には天地創造の神「コタンカラカムイ」に関係します。天地創造のためにコタンカラカムイが、クワ、マサカリ、石づちを使いました。天地創造が完了した後、道具を捨てて天に戻りました。道具は腐り、魔神、悪い水になりました。しかし、マサカリだけ重いため、岩になったと言われています。ムカルイソは、陸からは見えません。しかし、満潮時には小船が通れるほどの空洞があり、船から拝むことができます。東向きに穴が開いていることから蓬莱山(中国の伝説で東海中にあり、仙人が住み、不老不死の地とされる霊山)に通じる道ということで、蓬莱門という名前がつきました。

チャラツナイ

 その後、30分かけて歩き、室蘭駅へ戻りました。室蘭駅周辺は、かつての室蘭市の中心市街地です。
 今回は、室蘭市の海岸を散歩しながら、美しい景色を眺めました。室蘭には、工業地帯と絶景の広がる海岸が両立している場所でした。散策の後、自分へのご褒美として室蘭のグルメを楽しみました。続きは、近日公開します。

旧室蘭駅

参考文献


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たびてく@一人旅ガチ勢
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