ペティナイフ
高校を卒業して就職し、独り暮らしを開始するタイミングで様々な食器や台所用品を購入した。その殆どは経年劣化の末に処分してしまったが、唯一、ヘッダー画像に掲示のペティナイフだけは、未だに現役でワタクシの手元にある。
このペティナイフを何処の店で購入したか、もう覚えていない。何しろ今から30年以上昔の事だ。ただ、高級な品ではないと言う事だけは記憶している。
その後ワタクシは最初に就職した会社を辞め、様々な職を転々とした。その暮らしの間、常にこのペティナイフはワタクシの傍にあり続けた。
ワタクシはこれまで、このペティナイフの他に包丁を都合3本購入している。その中には、ちょっとお高い包丁も存在する。然し、これらの包丁は購入後僅か数年で錆びてボロボロになり、使い物にならなくなった。
そんな中で、このペティナイフだけは錆も出来ず刃毀れもせず、何なら切れ味すら購入当時のままの鋭利な切れ味を保持している。
近頃自宅に居る時間が増え、自炊の機会もそれに比例して増えて、改めてこのペティナイフの息の長さに感じ入った次第である。独り立ちしてからの長い年月、このペティナイフは文字通りワタクシと苦楽を共にして来た訳だ。
後何年、ワタクシはこのペティナイフに世話になるだろうか。ワタクシには判らないが、ペティナイフが口を利く事が出来たなら案外、
「何、まだまだこれからも一緒だよ」
と言いそうな気がする。