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(ヘッダー画像はイメージです。本日参拝した香取神社での撮影は、神域である事から遠慮しました)
リハビリテーションの一環として、近頃1日1時間程度のウォーキングを実施しているのですが、本日その延長線として、自宅から徒歩で片道40分程の場所にある地域共生センターに利用者登録して来ました。
今後、創作活動の一部(イラスト作成等)に関しては、地域共生センターのフリースペースを活用する予定です(行き帰りの移動がそのままウォーキングも兼ねる感じです)。
登録を済ませた後の帰り道、ふと目に止まったのが以下の看板でした。
![](https://assets.st-note.com/img/1719999462348-YBrwlbD44e.jpg?width=1200)
【香取神宮】と言えば、刀剣を司る武神・経津主尊を祀る社として頓に名前が知られています。
経津主尊様の【経津】とは、一説には刀を振り下ろした際に生じる空を斬る音を文字化したもの、とも言われています。その、香取神宮に祀られる経津主尊様を勧請したのが、今回訪ねた香取神社です。
ワタクシと経津主尊様とのファーストインプレッションは、アニメ・まんが日本昔ばなしの【椿の海】と言う一編でした。
千葉県の民話を翻案したもので、同作では経津主尊様は国津神・猿田彦尊の朋友として登場します。
このエピソードがあまりにも好みだった為、ワタクシは過去、ついなちゃん二次創作の長編冒険小説【Evil Yggdrasill】にて経津主尊様や猿田彦尊様、【椿の海】の故事をネタとして取り上げた事があります。以下、軽く引用します。
一行は、豊洲埠頭沖が見渡せる江東区の一角に辿り着いた。
皆が注視すれば…成る程、豊洲埠頭沖に巨大な樹が海を踏みしだき空を穿つ勢いでそそり立っている。樹皮は黒く葉は青く、広がる枝は豊洲の街に巨大な影法師を落としている。人影の絶えた街に、一種不気味な気配が漂う。
そこには、青銅製の甲冑に身を固めた屈強な武人が、鋼で作られた両刃の剣を携えて立っていた。
雪人と鬼一法眼が目を丸くする。
「あなたは!」
「貴殿が手回しして下さったか、心強い」
その武人は香取神宮の祭神にして刀剣を司る天津神・経津主尊だった。
日本誕生から存在する古株の神で、天界でも武勇の誉れ高き一柱である。
「おお、弥那津鬼殿に鬼一法眼殿か、暫く」
経津主は一同が近寄ると気さくに手を振った。この神、些か貴族然と生きる者が多い天津神の出自らしからぬ豪放磊落な性格の持ち主で、国津神である雪人や在野の神である鬼一法眼とも対等に付き合う。
乞われれば共に盃を交わし、乞われれば共に日本を護る為に闘う。そんな漢である。
「豊洲の街の民は」
「儂の配下の者達が近隣へ避難させた。今やこの街は無人の巷、居るのは儂等だけじゃ」
鬼一法眼の問いに経津主は力強く頷く。そして、海面からそそり立つ巨大樹を小手を翳して眺めた。
「全くあの時と同じじゃわい」
「あの時?」
貊が訝ると経津主は貊の顔をちらと見て、ニヤリと笑った。
「そこなヒトの子よ、お主は下総の地に住まっておるな」
「確かに浦安市に住んでいます。でも、何故それが」
「お主からはかすかに潮風の匂いがする。下総の磯から吹く潮風の匂いがな」
そう言って経津主は頷き、それからまた口を開いた。
「下総の地に住まっておるのなら、お主も一度は【椿海】の話は耳にしておろう」
「存じております」
貊は神妙に頭を垂れた。
ついなが雪人の袖を引く。
「ねぇ雪人はん、椿海って何?」
「確か日本神話の逸話のひとつでしたか、龍熊子さん」
「その通りです」
此処でざっと【椿海】について解説しよう。
神代の昔、まだ【下総】と言う地名すら無かった頃の話。
経津主と並び武勇の誉れ高き国津神・猿田彦尊が、伊勢に住まう恋人・天宇受売尊を訪ねて旅に出る事になった。
その旅立ちの日。
天から椿の苗が一本降ってきた。
猿田彦はこれを何かのしるしと考え、椿の苗をその場に植えた。
植えられた椿の苗は尋常ではない速さで成長し、遂には山をも睥睨する巨大樹に成長した。
花の盛りの時は白昼の最中に青い空が椿の花の照り返しによって赤く染まる程であった、と言う。
ところで、椿の巨木には昔から魔の者が住むと言われる。
この椿の巨木もご多分に漏れず、いつしか鬱蒼と繁った枝葉の暗がりに隠満國大王と呼ばれる魔神が住み着いて塒とし、付近の人々を甚だしく害した。
経津主からの報せでそれを知った猿田彦は急いで椿を植えた場所に戻り、経津主の助力を得た上で悪戦苦闘の末、遂に魔神を追い詰める事に成功する。
深手を負った魔神は自棄になり、それまでの住処だった椿の巨木を腹立ち紛れ・力任せに引き抜き、そして力尽きた。
その折、倒れた椿の巨木の根方になった地域が【下総】、倒れた椿の巨木の梢があった地域が【上総】と呼ばれるようになり、椿の巨木が抜けた窪地には水が溜まって湖となった。
これが【椿海】の故事である。
「因みに【椿海】は江戸時代までは存在していましたが、江戸時代に大規模な干拓が行われ、現代では【干潟八万石】と謳われる米どころとなっています」
貊はそう結んだ。
経津主尊様には拙作で大活躍していただいたので、いずれ香取神宮に御礼参りに行きたい…と考えていたのですが、体を壊しそれは叶わなくなりました。
然し、在所に経津主尊様を勧進した社があるならば、この不自由な足でも御挨拶に行けます。
ワタクシは迷う事無く鳥居を潜り、経津主尊様に向けて手を合わせて帰宅しました。拙作にて、正義の武神として活躍していただいた感謝の念を込めて。
因みに、拙作に置いては(引用にもあります通り)経津主尊様は豪放磊落で義に厚い好漢として描かれております。経津主尊様はこの描写を受け入れてくださるでしょうか…?