2022阪神JF(GⅠ)+香港国際4競走

阪神JF

2歳牝馬限定GⅠは当レースのみで、ここの勝者がそのまま最優秀2歳牝馬になる。
3歳春のチューリップ賞、桜花賞と同じ阪神芝外回り1600mで行われるので、クラシックにそのまま直結する一戦でもある。
それだけに好走馬のレベルも高く、近5年だけでも前走ステップ別の成績を見ると、

アルテミスS (3-0-2-11)
 ➊着馬 (3-0-0-2)
ファンタジーS(2-0-1-12)
 ➊着馬 (2-0-1-1)
他重賞     (0-1-1-4)
OP特別    (0-1-0-4)
1勝クラス  (0-3-1-24)
新馬・未勝利  (0-0-0-13)

二つのステップレース=アルテミスSとファンタジーS組が優勢で、特に近5年はそのいずれかの➊着馬がそのまま本番を制している。
ファンタジーS➊着馬4頭で馬券になった3頭は芝1600mで勝利があるか、デビューから芝1400mを2戦2勝だった馬であり、スプリンター志向が強い馬は本場で最後に脚が止まる(2020年メイケイエール➍着=デビュー2戦は芝1200m)。
今年の勝ち馬リバーラはデビュー2戦が1200mと臨戦過程はメイケイエールと酷似、今回は展開のカギを握る一頭だが、最後に脚が止まる可能性が高い。

一方、ここ2年で勝ち星を出しているアルテミス➊着馬だが、近5年の成績とアルテミスSの内容を見ると、

アルテミスS勝ち馬の成績、アルテミスの通過順位と勝ち時計 白丸数字は頭数
2017 ラッキーライラック ➊着 4-3⑮ 1:34:3
2018 シェーングランツ ➍着 13-13⑮ 1:33:7
2019 リアアメリア ➏着 7-8⑨ 1:34:3
2020 ソダシ ➊着 2-2⑯ 1:34:9
2021 サークルオブライフ ➊着 7-8⑪ 1:34:0

馬券外の2頭は後方からの瞬発力勝負で勝った馬で、本番では差し届かず敗退している。
阪神JFは差し有利のレースで瞬発力勝負の馬が強いイメージだが、近5年の阪神JFのレース内容を見ると、

近5年の前半-後半3Fラップ、上がり1位馬の成績(通過順位と上がりタイム)
2017 35.3-34.4 ラッキーライラック 8-8 33.7(タイ) ➊着
2018 34.8-35.0 クロノジェネシス 17-17 33.9 ➋着
(➊着=ダノンファンタジー 15-16 34.0 上がり2位)
2019 33.7-35.2 レシステンシア 1-1 35.2 ➊着
2020 34.9-34.4 ユーバーレーベン 15-14 33.6 ➌着
(➊着=ソダシ 5-4 34.2 上がり7位)
2021 34.1-34.8 ナミュール 13-17 33.6 ➍着
(➊着=サークルオブライフ 11-10 33.9 上がり2位)

上がり最速で勝ったのは僅か2頭で、うちレシステンシアは逃げ切りだった。
一昨年のソダシのように上がりが速くなくても勝つこともあるように、元々前傾ラップで進むことが多く、一瞬のキレだけでは通用せず、急坂を超えるタフなスタミナも求められることが分かる。
今年の勝ち馬ラヴェルは昨年人気を裏切ったナミュールの半妹だが、前走のレース内容と勝ち方が全く同じ、しかもナミュールと同じく過去では(0-0-0-15)と不振の8枠に入ってしまった。
今年はレベルが高いとみられるアルテミスSだが、それが本番では災いする可能性がある。

前置きが長くなったが、今年は二大前哨戦の勝ち馬に不安要素があり、別路線組からも狙えるとみる。
そんな訳で、今年の阪神JFの本命馬。

◎⑤モリアーナ

本命は2戦2勝のモリアーナ、新馬とOP特別を連勝した馬で重賞は今回が初だが、そのポテンシャルの高さで実績馬を完封するとみる。

そもそもデビュー戦が東京芝1600mで、好位から上がり33.0で脚を伸ばし、➋着以下を3馬身千切るという横綱競馬だった。
現在の阪神芝マイルGⅠは、右回りと左回りの違いこそあれ、形態が似通っている府中芝マイルとの関連性が強く、当レースに限らず桜花賞や阪神開催のマイルCSでも府中芝マイルで結果を出した馬が必ず上位に来ている。
アルテミスSが強いのはそんな理由だが、府中芝マイルで強い勝ち方をしてデビューした当馬には重賞経験を補完できるポテンシャルがあるとみている。

前走の札幌1800mコスモス賞も正攻法の競馬で他馬を圧倒しているように、コース形態不問なのは今後にもつながるとみている。
そのコスモス賞を負かしたのが札幌2歳Sで➋着だったドゥアイズで、これだけ見ても重賞級と判断できる。
本来なら札幌2歳Sに進めるパターンだが、陣営は敢えてぶっつけ本番を選択したことから、現状でも通用できると踏んだものと解釈できる。

枠は3枠5番で、絶好枠に入ったことも追い風になる。
土曜の阪神芝レースは5レース中4レースが逃げ切り、もう1レースも3番手からの先行押し切りで、その勝ち馬が2~5枠だったように、好枠からある程度位置を獲らなければ勝ち切るのは難しい。

鞍上は6年目の武藤雅だが、意外なことに中央重賞は未勝利。
しかし、今年のGⅠは1人気が(1-2-2-15)で、昨年の(6-6-2-6)と比べて明らかに悪く、特に川田(0-0-0-3)、横山武(0-0-0-4)、松山(0-0-0-3)と本来は人気で結果を出すべきトップ騎手が悉く人気を裏切っている。
今回の1人気はその川田騎乗のリバティアイランドだが、取りこぼしとはいえ前走2着に負けている点はマイナスだろう。
因みに、昨年のGⅠで最も勝ち星を稼いだのは(4-2-0-1)のルメールで、今年は(1-0-1-1)と1人気騎乗機会が激減、しかも今週は香港で騎乗のため不在。
一方で、高松宮記念の丸田、春天の横山和、スプリンターズSの荻野極、秋華賞の坂井瑠と初GⅠ制覇の騎手が続出、先週のチャンピオンズCも石川裕紀人がGⅠ初勝利したばかりだった。
トップ騎手が人気を裏切る裏で若手騎手がGⅠで台頭する流れを踏まえれば、今回は武藤騎手にも出番ありとみている。
モリアーナの馬名は「スラブの伝承に登場する風の女神」ということだが、名付け親は元アイドルの武藤彩美、武藤騎手の姉である。
管理するのが父親の武藤厩舎、父子・姉弟でのGⅠ制覇に一票を投じる。

印は以下のようにつけるが、気持ち的には◎の単複一本で勝負したい。
◎⑤モリアーナ
△⑨リバティアイランド
△⑯ドゥーラ
△⑰ウンブライル

香港4競走

今日は同日に香港で国際競走が行われる。
日本馬や有力騎手が揃って参戦するだけに注目だが、ここでも軽く本命馬を取り上げる。

香港ヴァース

◎⑨ウインマリリン
芝中長距離は日本馬のお家芸で、ここで2勝のグローリーヴェイズが今回も参戦する。
しかし、すでに7歳で近2戦からも衰えがあるとみるなら、他馬にもチャンスありと見る。
ならば、札幌記念3着→エリザベス女王杯2着と復調してきたウインマリリンに期待。
前走は外枠から好走したが、本来は内から立ち回る競馬が得意なタイプで、3番ゲートは絶好枠だ。
牝馬ゆえに斤量アドバンテージがあるのも好材料で、引き続き騎乗のレーンの手綱捌きにも期待。

香港スプリント

◎⑬メイケイエール
短距離は地元勢の独壇場で、過去にさかのぼっても日本馬の勝利はロードカナロアのみ。
今年は4頭出走するが、良くても2~3着あれば上々だろう、というのが下馬評だろう。
しかし、ここは敢えて日本馬から狙ってみたい。
本命は前走不本意な結果だったメイケイエール
セントウルSをレコード勝ちしてから中2週で長距離輸送挟んでの臨戦は、繊細な牝馬には酷だった。
今回は間隔開けて臨むので、状況好転するのでないかとみる。
それまで騎乗していた池添が負傷とはいえ乗り替りで新味を出せないかとみている。

香港マイル

◎⑩ダノンスコーピオン
スプリントほどではないが、地元勢が強いレース。
今年もゴールデンシックスティが参戦し、3連覇に挑むが、それを止めるのは日本馬とみる。
出てくれば買うつもりだったサリオスの回避は残念だが、唯一の3歳ダノンスコーピオンに期待する。
勝てば2019年のアドマイヤマーズ以来だが、同じNHKマイルCの覇者でもある。
前走こそ不本意な結果だったが、香港に強いロードカナロア産駒だけに、ここなら好走の余地があるだろう。
こちらも主戦川田が降りる形だが、こういう馬が別の騎手に替わって勝つパターンは多く、それを狙ってみたい。

香港カップ

◎①パンサラッサ
藤岡佑を降ろして武豊を配したジャックドールが気になる存在だが、同着ながらドバイターフを制したパンサラッサの逃げ切りに期待する。
福島記念で初重賞制覇後はもっぱらGⅡ以上で走り(2-2-0-2)、着外2回が2000m超の有馬記念と宝塚記念だったように、(2-2-0-0)と崩れていない1800~2000mがテリトリー。
大逃げを打って2着に残った前走の秋天は驚嘆もので、ここでも自分のパターンに持ち込めば崩れることはない。
同じ豊でも勝つのは吉田豊の方、乗り慣れた馬でもう一つ大舞台での勲章を手に入れたい。

結局はすべて日本馬に本命を打った形だが、いずれも単複一本で遊んでみたい。

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