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【ぼくは"元"航空管制官】ステージ11 ~シンガポールを知ろう~

こんにちは。元航空管制官の田中秀和(たなかひでたか)です。
前話の「ぼくは元航空管制官」ステージ10 ~憧れのシンガポール航空に~ はお読み頂けましたでしょうか?

このコラムに携わるスタッフ達もシンガポール旅行に惹かれ始めているようです。そんな皆さんの背中を更に押すべく“私が体感したシンガポール”をご紹介します。

シンガポールにある、高級ホテル マリーナベイ・サンズ

シンガポールと日本の時差は1時間で、日本の方が1時間進んでいます。たった1時間の時差という点でも、日本から気楽に旅行しやすい場所と言えます。私が搭乗したセントレアからチャンギ空港間の往路は6時間35分、復路は6時間40分の空の旅でした。機内アミューズメントで映画を2本程見るにはちょうど良い時間ですね。

とても広いチャンギ国際空港
とても広いチャンギ国際空港

シンガポールには雨季と乾季があり、一般的に雨季は10月下旬頃から3月上旬頃まで、乾季は3月頃から10月頃とされています。私が訪れた10月の頭でも、雨季名物のスコールに見舞われました。雨が少ない乾季の方が良いようにも思えますが、乾季にはヘイズと呼ばれる煙害もありますし、乾季の日中気温はとても高くなるのでどちらの季節も善し悪しがあります。

シンガポールの雨季。晴れ間にのぞく青空
雨季の晴れ間にのぞく青空

シンガポールの公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語の4種類で、言語からも分かる様に多民族国家となっています。公用語に英語が入っているからといって誰でも英語が通じるかというとそうではなく、中国語しか通じない店員さんもいました。ただ、大体お店の中の誰かは英語が通じますので、「あの人英語だからよろしく」的に店員が代わり、英語が通じなくて困ると言うことはほぼありません。但し…シングリッシュ(Singlish=Singapore+English)と呼ばれるシンガポール独特の英語はなかなか手強く、手強い理由の一つは多言語の影響を受けた発音で、私も聞き取れないことがしばしばありました。例えば、金額を英語で言われているのに聞き取れず、元管制官としては日常の無線交信で多用するので最も得意な分野であるはずの数字すら聞き取れないなんてと愕然としました。また、省略されたり短縮される構文も独特で、意味は分かるのですが聞き慣れない言い回しも多く感じました。日本人が多く集まる観光地では簡単な日本語で話しかけてくれる方もいますし、ごく稀に日本語のメニューや表記もあったりしますが、基本的にはほぼ英語か中国語が求められます。

どちらかでも喋れる方以外は団体旅行をお勧めします。理由としては、様々な場面でWebページからのオンライン登録やチケット購入が求められますが、日本語表記は無いからです。例えばシンガポール入国時にはSGAC(SG Arrival Card)と呼ばれる電子入国カードが必要となります。この申請は必ず行う必要があるのですが、公式サイトでは言語を日本語で選んだとしても英語が混ざった状態で登録を行う必要があります。下手に日本語で「SGアライバルカード 公式」等と検索すると、偽物の有料登録サイトに誘導されてしまいます。民間業者が開いているページなのですが、有料で公式への申請を代行してくれるだけなので詐欺として訴えることも出来ません。この辺りに引っかからずに公式サイトから自力で登録出来る方は、個人旅行でも安心だと太鼓判を押せるでしょう。他にも飲食店ではQRコードからメニューを開いて注文したり、顧客にまずオンライン登録したりするパターンだらけなので、シンガポールはかなりデジタル化が進んでいると言えます。例えばUniversal Studios Singaporeに至っては、園内での現金使用は一切不可で、全てキャッシュレス決済となっています。このように、現在のシンガポールはアナログ人間さんにはかなり辛い環境ですね。

デジタル化が進むシンガポール
デジタル化が進むシンガポール

両替については繁華街の両替所のレートを見比べて両替するのが一番お得ですが、空港で少しは現金に替えておきたいと思いますよね。そんな時は「シンガポール航空利用割引有り」等の表示を見逃さない様にして下さい。ちょっとだけレートがお得になります。なお、タッチ決裁可能なクレジットカードを旅行者人数分お持ちの場合、それを各自がかざすだけでMRTと呼ばれる電車に乗れますので、空港では両替せずに、取り敢えずMRTに乗って繁華街に繰り出すのもアリだと思います。

多くの方が気になっているであろう物価については、非常にケースバイケースです。円安のせいで総じて高く感じるのは間違いありませんが、幾つか実例を挙げてご紹介しましょう。まずホテルですが、家族でも安心して泊まれる様なビジネスホテルが家族3人で2~4万円位です。正直最近の日本とそんなに変わらない値段ですが、過去を知る方からすると、ビックリする程高額に上がっているそうです。なお、トイレとシャワーが一緒(仕切られていないので、シャワーを浴びたら便器が濡れる)のようなスタイルも多いため、値段は日本と同じでも質は低いと言えるかもしれません。とは言え、私が一泊目に利用したシンガポール各地にあるホテルチェーンHotel 81は、駅近ホテルも多いため、とにかく予算を抑えたい方にはお勧めです。ちなみに、それなりのシティホテルだと5~10万円位で、屋上にプールがあるので有名なMarina Bay Sandsだと、一泊3人で最低でも15万円はします。公共交通機関は非常に安く、MRTは最大運賃でも2シンガポールドル(1シンガポールドル=約115円 2024年11月時点)程にしかなりません。なお、シンガポールの国土は東京23区と同じ位だそうですので、23区内を端から端まで移動しても230円位と考えればお分かり頂けるでしょうか。

シンガポールのホテル。仕切り無しのバスルーム。
仕切りのないタイプ
シンガポールのホテル。仕切りのあるバスルーム。
仕切りのあるタイプ

肝心の食費ですが、これこそがケースバイケースです。分かりやすい500mlのペットボトルドリンクだと2.5~3シンガポールドル位。日本より若干高めという印象ですが、日本の3倍もするということはありませんので、ヨーロッパよりはかなりマシです。なお、日本語表記そのままのお菓子や飲み物も数多くコンビニの棚に並んでいます。砂糖が加えられていない甘くないお茶は「日式緑茶」と書かれていますが、英語で「Jasmin(ジャスミン茶)」と併記されていたりして、かなり怪しいものもあります。ホテルではまず間違いなくペットボトルのミネラルウォーターがサービスで置かれていますので、甘くない飲み物の確保はこれを活用するのがお勧めです。部屋に置かれている紅茶やジャスミン茶のティーバッグを夜の内にペットボトルの中に沈めておけば、朝には水出し茶となっていますので、これがベストです。でも、もし勇気があれば是非日本では売られていない様なペットボトルドリンクにも手を出してみては如何でしょうか。当たり外れが激しいですが、良い思い出となるでしょう。
レストランはお店の質によります。開放的な大衆路面店やホーカーと呼ばれる様な屋台村ですと非常にリーズナブルに楽しめますので、日本と変わらないか、ものによっては日本より割安と感じることもある程です。

大衆路面店やホーカーと呼ばれる様な屋台村ですと非常にリーズナブルに楽しめる庶民の味。
とてもリーズナブルな庶民の味
シンガポールでテイクアウトした、チキンライズ。
テイクアウトしたチキンライス

一方で、きちんとしたレストランだと、日本の2倍以上はすると感じました。シンガポール全体の外食費が高い訳ではなく、中級以上と庶民用の値段の格差が非常に激しいと感じました。どちらを選ぶかは思い出や体験を優先するか、美食を追求するかで分かれるところです。それではシンガポール旅行の概要はこの辺りまでにして、次話では具体的なお勧めスポットをご紹介していきます。次のステージもお楽しみに。
Good day!!

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田中 秀和(たなか ひでたか)
1983年生まれ、愛知県出身。「ぼくは航空管制官」や「ぼくは航空管制官2」をプレイし、航空管制官志望を固める。2001年国土交通省入省、那覇空港での勤務を経て2008年から2020年セントレアで航空管制官として勤務。2020年3月末に退職し、現在は全国の空港やミュージアムでの講演・トークショー、小中高校での職業講話、学童・児童センターで航空教室や紙飛行機教室等を実施する。テクノブレインではテクニカルアドバイザーを務める。Facebookアカウント:元航空管制官のCafe&Bar準備室