効率的な学びに必要なたった一つのこと
身体トレーニング時に意識すべき「5つの原則」をご存じでしょうか。実はこれは身体のトレーニングだけじゃなく、あらゆる学びに適用できるというお話をします。
トレーニングの「5つの原則」
筋トレなどの身体的トレーニングにおいて、
「5つの原則」というのがあります。
全面性の原則:全身バランスよく
個別性の原則:自分に合った方法で
意識性の原則:どの部位をどう鍛えているのか
漸進性の原則:コツコツすこしずつ
反復性の原則:規則的に長期間
今日のお話は、上記「意識性の原則」を
筋トレ以外に適用するというお話です。
タッチタイピングにおける「意識性の原則」
私は新潟市でパソコン教室と、
「楽読」という速読スクールをやっています。
パソコン教室では、「タッチタイピング」
(手元をみないで入力する)を習得したい
という生徒さんがたくさんいらっしゃいます。
最初は100文字/10分間未満の生徒さんが、
たかだか3か月程度で800文字/10分間を
超えてくるケースもある一方、
なかなか100文字台を抜け出せない
生徒さんもいます。
この違いを一言でいうと
「努力の方向性が間違っている」と
いう言葉に集約されます。
じつは、ここに「意識性の原則」が
働いてきます。伸びにくい人は
「回数練習すれば数字は伸びる」という
成長の信念があります。多くの人が
陥りがちな思考のワナです。
でも、伸びやすい人は
「回数ではなく意識して行うこと」ことを
知っています。
私たちの多くが、たくさん勉強を
したら成績が良くなる。そういう
教育をうけてきました。
これは、ある種の固定観念で、
特に運動機能(タイピングは
運動機能です)の向上においては
必ずしも最善策ではありません。
「勝手にやっちゃう回路」を構築する
100人以上の生徒さんを見てきた結果、
タッチタイピングは無意識レベルで
体が反応する「身体トレーニング」と
して練習するのが一番です。
人の無意識の力は強大です。無意識は
コンピュータにおけるプログラムを実行する回路と同様、
人間においてのプログラムを実行する回路です。
一度プログラミングしてしまえば、
あとは実行するだけ。
楽に何回でも正確に繰り返す
ことができるようになります。
コンピュータの本質は、
人が介在しなくても仕事を
こなせることです。
無人状態で勝手に動作する仕組みを
「プログラム」といいます。
「無意識レベルで体が反応する状態」とは、
そんな「勝手にやっちゃう回路」を
自分の脳内に作る行為です。
あなたが普段なにげなくしている、
歩く、話す、箸を持つ、瞬きする、etc. これら
すべて無意識にインプットされたプログラムです。
そして、人間の無意識への
プログラミングの方法は、
「意識して行うこと」です。
回数をこなすことではありません。
ニーチェの言葉に「すべての知識の
拡大は、無意識を意識化することから
始まる」という言葉があります。
すごくないですか?「すべて」らしいです。
正しい方法でやらないときに起きること
「回数をやらないと効果が出ないじゃないか?」と
そう思われるのも当然ですし、
回数はある程度、有効な指標です。
それでは、「意識しないで回数だけを
積み重ねたときに起きること」に
ついてもお伝えしておきます。
同じくタッチタイピングの時の例で
お話します。この時、意識しないで
タッチタイピング練習をすると、
「手元をみながら」
「どの指でどのキーを押すかを意識しない」で、
打つことになります。
この時、反復運動として
無意識に打ち込まれていくのは、
「手元を見て打つ」
「使いやすい指で打つ(一本指打法)」
です。これが一打一打、毎秒毎秒
無意識に刻み込まれていきます。
人の脳はいちいち何かを判断しながら
行動することを「めんどうだ」と感じます。
「手元を見ないで打つ」ことは、
「(どこだったかなぁ)」と考えることであり、
人にとって面倒な作業です。
無意識に自分が望む正しい形で
習得できるまでは、意識的に
「手元を見ないで」
「どの指でどのキーを押すかを意識して」
判断しながら打つことが必要です。
これは脳にとっては結構なストレスを感じる
トレーニングです。
この「意識しながら行動
(有意識でトレーニング)すること」が、
「無意識へのプログラミング」に相当します。
練習時に「ラク」だと感じる方法を、
優先して行いつづけると、最終的には実践で
より多くの苦労を続けることになります。
これが、20年パソコンを使っていても、
一本指・二本指打法を卒業できない人の
脳内回路に刻み込まれている動作です。
さぁ、あなたは練習時の苦労を選択しますか?
それとも、実践時の苦労を続けますか?
まとめ
学びを無意識で発動できるように
するためには、ある程度の期間の
「意識して行動する」が必要。
これは、すべての学びにおいて、
同様に適用できる技術です。
ぜひ、今日から意識的に学んで
みてくださいね。練習時に
「つらさを感じる」ことは、
正しい練習を積み重ねている
証拠なのです。
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