【技術史】ジュラルミンの発明
ドイツのアルフレート・ヴィルムは、陸軍省の依頼で薬莢(やっきょう)に使われている黄銅を軽量なアルミニウムに置き換えられないかと考え、アルミニウムの合金の研究をしていました。
アルミニウムは、一円硬貨やアルミホイルでおなじみで軽さが売りですが、強度がそれほど大きくないため、構造材料には向かないのです。強度を上げることができれば、軽い金属素材のメリットが全開になります。
1906年のある土曜日、ヴィルムは助手とともに、銅とマグネシウムを添加したアルミニウム合金を作り、急冷加工しました。鉄は急冷していくと硬さが増しますが、アルミニウムは急冷しても硬化せず、むしろ柔らかくなることが知られていました。
ヴィルムは面倒な硬さの測定を月曜日に持ち越して、休暇(湖でのヨット遊びだったようです)をガッツリとりました。月曜に測定したところ、なんと土曜日よりも時間がたったことで硬くなっていることがわかったのです。“時効硬化”という現象の発見でした。これにより、アルミニウムに硬さをもたせた“ジュラルミン”が実用化されました。
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