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【古書巡り】電燈の巻

 明治期に小学校の教員を経て、科学読み物などを出版した石井研堂の著書「電燈の巻」を古書店で見つけたので、10、000円と高かったが購入しました。
 日本の技術が未熟な時代に、電気について理解して、明治期ならでは解説をし、独自の視点の発明品の着想も書かれています。当時の時代背景も垣間見れてとても面白い。
 

内容の一部を抜粋してご紹介します。
 
「第3話 自動機械」
 今日、力というものに人馬の力・蒸気・電気の力などがあるが、そのもとは皆“食物”から来る。人も馬も、肉や野菜などを食べると、それが力となって車を回したり、何かをすることができる。
 蒸気機関や電気機械が驚くべき動力を出すのも、石炭や石油の類をたくか、風力水力をかりて運転しなければ一本の釘を動かすこともできない。この石炭や水風などが“食物”です。
 もし、食物なしに力を生じる発明をすれば、全世界の経済界・工業会を一大変革することになる、エジソンよりも、マルコニーよりも全世界に広まるだろう。いまだそんな人物は現れていないが私にはよい発明がある。今は、水を高いところから低いところに落下する重力に働かすのが一番簡単な動力源となっている。風力を使うもよいが、わが国のような気象の国では風力の方はまず望みなしと言うべきです。私の考えでは、海の波の高低を利用し、機械を運動させる原動とする工夫をすれば、効率がよいと考えます。
(その後、波力発電は世界的に研究されましたが、発電コストが高く、実用化されていません。)
 

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