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宮沢賢治のライフワーク

『銀河鉄道の夜』の作者として知られる童話作家・宮沢賢治は、東北地方の酸性土壌の改良をライフワークとする土の研究者でした。

日本のように雨の多い場所では、乾燥地帯よりも土が酸性化しやすくなります。もともと土の中には炭酸カルシウムが豊富に存在します。この炭酸カルシウムは水にとけやすく,水にとけるとpH8程度の弱アルカリ性を示します。

しかし、雨がよく降るとこの炭酸カルシウムは海へと流れてしまい,土壌全体が酸性へと傾くのです。さらに雨のよく降る場所では植物が多く生息し、植物や微生物のはたらきも活発なので,土壌の酸性化が進みます。

その一方で、酸性土壌は植物の生育をさまたげるため,農業には適しません。宮沢賢治は酸性土壌の問題に強い関心をもち、アルカリ性の炭酸石灰(炭酸カルシウム) を土壌にまいて酸性土壌を中和して収穫量をあげるとりくみを精力的に行っていました。

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