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陶磁器の歴史

粘土や陶土は水でねって形をつくり、それを高温で焼くと固くなる性質をもっているため、人びとは太古からその性質を利用して各種の器物をつくってきた。最初は焼く温度も低く、釉薬(うわぐすり)も塗らない土器が一般的であったが、やがて800~1000度の高温で釉薬を塗った粘土を焼くことができるようになり、陶器が生み出された。

陶磁器の歴史の中で重要な国は中国だろう。Chinaを英語の辞書でひくと、"磁器、陶磁器、焼き物“とある。このことは、中国の陶磁器が、いかに優秀なものであり、世界中から求められていたかがわかる。

1300度もの高温を必要とした磁器は、陶器よりはるかに高度な技術を要したが、中国では早くも漢代の1世紀ごろに青磁が、6世紀ごろには白磁が焼かれていた。

宋代は中国陶磁の黄金時代とされている。製陶技術面でも芸術性においても宋代のものは、現在においても世界の陶磁器のピークをなすといわれ、現在の最先端をいく製陶技術をもってしても、どうしても創り出すことができないという名器もつくられている。
宋代は、貨幣経済が発達して、多くの商業都市が生まれ、繁栄し、庶民の生活も向上した中国史上画期的な時代であった。

その背景には、長江デルタ地帯などの開墾が進み、農業生産力が増大し、人口も増加し、人びとのさまざまな商品への需要が増したことがあった。また、南海貿易も盛んになり、大量の中国陶磁が輸出されたことも陶磁器生産を発展させる要因であった。その後、中国最大の窯業地となる景徳鎮が発展を始めたのもこの宋代からであった。

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