制作日記|プランナー編07 シナリオ
こんにちは、ヒヅメです。
少し間が空いてしまいましたが、テバサキゲームズが現在制作しているノベルベーム「コメンテーター」の制作日記を書いています。
※ヘッダー画像はあくまでイメージです
前回までに画面レイアウト案やコンセプトアートなど、およそゲームの動いている部分のイメージがついてきましたので、今回はいよいよシナリオについて書きたいと思います。
▼第1回目はこちら▼
1.下調べで助かった本
漫画家なので「シナリオ」については少し知っているつもりなのですが「ゲームシナリオ」を知らないのでちょっといくつか本を買ってみました。
…のですが!
ゲームシナリオについて書かれた本の多くは、僕が期待していた「ゲームならではの細かい基本、ノウハウ」は記載が少なく、シナリオの基本について多く書かれていました。
ですので、結果的に今回大きく役に立ったのは、シナリオに関する本とゲームプランナーの業務全般に関する本の2種類でした。
ベストセラーコード
ゲームシナリオの本でもいくつか言及のあった「シナリオの型」に関するベストセラーの1つです。
ちなみにこの本、洋書らしい書き口で「つまり何が言いたいんだ?」となることが多かったので、僕なりに型の定義をまとめ、型ごとにあらすじ例を用意しましたので、よければご覧ください⇩
SAVE THE CAT の法則
「SAVE THE CAT の法則」という本も同じく型について描かれたベストセラー本です。
およそ型としては「ベストセラーコード」と同じ感じです。
こちらも僕なりに検証した記事があるので、よければご覧ください⇩
プロフェッショナルゲームプランナー
ゲームプランナーの仕事全般について書かれているのですが、プランナー目線の細かいノウハウが満載の本でした。
僕が知りたかった、フォントの大きさの標準、行内のテキスト数、テキストボックスの行数といった「ゲームならでは」のノウハウも記載されていました。
むしろこのノウハウ部分を詰め込んだゲームシナリオの本が欲しかったんだけど、ご存じありませんか?
おまけ
フォントについては上の記事に助けられました。そうそう、こういうのが知りたいんだよー。
2.プロット、あらすじ、シナリオを書く
シナリオを書くにあたって、いきなり本文を書きだす人はいないと思います。今回僕が実施した方法を順番に書くと
ゲーム全体のプロットを書く
各章のあらすじを書く
各章のシナリオを書く
と、なりました。
プロット、あらすじ、シナリオと似たような単語が出てきました。これらの定義はいろいろですが、端的に「プロット⇒あらすじ⇒シナリオ」の順に内容が細かくなっていくと考えればいいと思いました。
つまり上の3つを言い換えると
ゲーム全体のおおまかな話を書く
各章のおおまかな話を書く
各章の細かい話、セリフ、ト書きなどすべてを書く
といった感じになります。
2-1.プロットを4行で書く
「ゲーム全体のおおまかな話」を「プロット」と呼ぶとして、何のために書くのかが大切になってくると思います。
今回のプロットは、以下2つの理由で書きました。
今後細々としたシナリオを書いていくと忘れがちな基準(シナリオの骨子)を忘れないため。
シナリオを簡潔に人(プログラマーの手羽先くん)に伝えるため。
つまり、見やすさ、簡潔さが大事だなと思い「プロフェッショナルゲームプランナー」に書いてあった4行プロットの通りに書いてみました。
4行は起承転結なので、日本人には書きやすいですよね。
※ちなみに「ベストセラーコード」に倣うなら3幕構成(3行プロット)になります。4行よりも物語として勢いがあり、現代的なシナリオ構成になるかなあと思います。
2-2.キャラクターを考える
今回「コメンテーター」ではほとんど実施していませんが、プロットよりも詳細なお話をブレずに書き進めるためには、キャラクターの設定が必須です。
キャラクター制作に関してはより詳しく書かれた本が世の中にはたくさんあるので詳細は省きますが、最低限設定しておくと便利な項目はそのキャラクターの「目的」です。
「なぜ旅に出るのか」「なぜ戦うのか」「なぜ仲間になるのか」の答えが「目的」です。
「コメンテーター」はプレイヤーが主人公となり、周りの少数の登場人物もほとんど記載はありませんが、この「目的」だけは各登場人物に設定しています。
2-3.人物相関図を書く
これも「コメンテーター」ではほとんど実施していません。
ただ恋愛モノのようにキャラクター同士の関係性が大切になるものや登場人物が多いものでは、設定がブレないために必須かと思います。
「クラスメイト」といった関係性だけでなく、感情、利益関係、シナリオが進むことによる変化などを書いておけばブレが少なくなりますし、シナリオが進んで変化した時に、人物相関図に書き足したり振り返ったりも出来るので便利です。
2-4.あらすじを章別に書く
プロットを作成し、キャラクター設定と相関図を終えたら、次はプロットに沿って章を分割していきます。
4行プロットで作った起・承・転・結それぞれを1章とするならは4章構成で書きます。それでは区切りが大き過ぎるのであればさらに分割して8章、16章などとしていきます。
この時もあらすじでは細かいことを書き過ぎず、その章で起きることをおおまかに書いていきます。
個人的にはやはり各章のあらすじも4行くらいがちょうど振り返りやすくて良かったです。
2-5.ゲームプレイを考え、章を再考する
あらすじを章別に分けて書いていくと大体何章くらいになるかが決まってきたかと思います。
そのタイミングで僕が悩んだのが「シナリオが長すぎるんじゃないかな問題」です。
ここはゲーム開発知見の無い僕には完全に未知の世界なのですが、シナリオが冗長だとプレイしていて「ダレる」と思うんですよね。
加えて長すぎるとその分制作負荷も上がってきますし、僕ら完全素人には「長すぎるシナリオ」は良いことが無いと判断しました。
そこで「ちょっとキツいな」くらいまで章数を減らし、1プレイ5~10分で終わるようにあらすじを再構成しました。
2-6.シナリオを章別に書く
章別のあらすじまで書けたら、次にシナリオです。
シナリオでは、時間や舞台設定といった背景から、誰がそのセリフを言っているのか、人の動き、ゲーム上の演出まで、シナリオに関することを全て記載していきます。
ここに関してはさらに細かくなっていくので、別記事にしていこうと思います。
長くなったのでいったんここまで
やっぱり下調べって時間かかりますね。
知らないことをやろうとすると特にです。
今はネットでもかなり調べられる世の中ですし、書籍もさくっとベストセラーというか名作を調べられます。
ただ、やっぱり書籍ってすごいですね。
体系的にまとめられてて、読みやすい。
あとやっぱり仕事、勉強する時は紙本良いです。ぜひみなさんも何か調べたいことがあったら紙本を手にしてみてください。
それではまた次回!
ヒヅメ