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1000万の価値を探して。⑤タイムスリップ、できたかも?

最近、空五倍子色うつぶしいろのインバネスコートを着こなした人とよくすれ違います。
空五倍子色うつぶしいろは、少し灰色がかった焦茶色。

そしてインバネスコートとは、ケープが背中まであるコートです。
日本には明治時代から入ってきたとのこと。

私の推しが着ていたのと、和装にもよく似合うとのことで、前々から気になっていたのですが。
昨日、初めて本物を見て、衝撃を受けました。

ケープのひらひらが本当におしゃれで、とても品があるのです。
シルエットもシュッとしていて、格好良くて。

今書いている小説の主人公に着せてあげようと思っていたのですが、本当にぴったりだと思いました。
むしろその人が、主人公が成長した姿に見えてきて、
物語と現実の間の距離が縮まったような、そんな気すらしています。

今日も、退勤後にまたすれ違ったのですが。
一瞬、暗がりから大正時代の学生さんが出てきたように見えて、すごくびっくりしました。
レトロモダンな建物の近くだったので、余計にレトロな雰囲気を感じた、というのもありますが。

夕暮れは、昼の世界と夜の世界との境目で、それぞれの時間の流れが出会うときだと、私は思っています。
ですからその人影を見たとき、息を呑みました。
いつの間にか、明治時代にタイムスリップしてしまったのではないか……、一瞬、本気でそう思いました。

それがいつものおしゃれな人だと分かったとき、まるで術が解けたような、過去から戻ってきたかのような感覚がありました。

ほんの一瞬の出来事でしたが、とても貴重な体験ができました。

今書いている物語は、人の世界とは違う世界も出てくるので、今日得た感覚をうまく落とし込めたらいいなと思います。
インバネスコートのおしゃれな方には感謝しかないです。
(これからお仕事で関わるかもしれないので、全力で恩返ししたいと思います)

小説を書く意欲が増した、すてきな出来事でした。

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