なぜ、サイボウズとスコラ・コンサルトは、チームを組んだのか?
サイボウズチームワーク総研(以下、サイボウズ)とスコラ・コンサルト(以下、スコラ)が、noteで共同連載をスタートします。両社は、これまで2年間、「チームワーク」をテーマに対話を重ね、アイディアや気づきを得てきました。ここではそれを、みなさまとシェアしていきたいと思います。連載にあたり執筆メンバーがきっかけや今後の展望を語っています。まずはこちらをご覧ください(以下の文章は、メンバーの対話内容をインタビュー風に再構成しています)。
― noteでの連載、そのきっかけは何だったのでしょうか
スコラ:それは、「楽しいから!」ということに尽きますね(笑)
― 楽しい、、、ですか?
スコラ:はい、サイボウズとスコラのコラボチームで、定期的にミーティングをしているのですが、その話し合いが楽しい。まず、自然体で話ができる雰囲気があり、テーマも一応あるのですが、発散や脱線も多く、はたから見ると、雑談・談笑しているように見えると思います。そうかと思うと、ある時にギュッと議論のエネルギーが渦を巻いて、ポッと新しい発見や、気づきが生まれる。そういうチームなんですね。
― なるほど、それは楽しそうです。創造的な対話という感じもしますね
スコラ:そうですね。こういう場で生まれたアイディアを、これまで少し、メディア等で連載してみたりしたのですが、もっと多くの方とシェアしたいと思い、noteに書くことにしました。そして、楽しさもシェアしたい(笑)。
― ビジネス分野で「楽しい」は、やや場違いだと感じる人もいそうです
サイボウズ:サイボウズでは、昨年の自社イベントを「楽しいは正義」というスローガンで行いました。「楽しい」って本能的で、とても人間的ですよね。ビジネスというと、どうしてもまじめでお堅くなりがちですが、これからは、もっともっと自分たちが本来もっている「らしさ」を解放して、ビジネスを楽しむような社会になればなと思っています。
― なるほど、「楽しい」があふれる社会。壮大な夢ですね。
スコラ:もちろん、面白おかしいとか、ふざけている、ということではなく、自然体で自分らしさを発揮し、興味のあることを追求し、創造的な仕事をする、というような意味です。
― ところで、サイボウズ&スコラのコラボチームでは、なぜ、そういう場づくりができるのでしょうか
サイボウズ:まず、メンバーがみな実践者ということがあると思います。私たちが定期的に話している場は、“お勉強”の場ではなく、実践を振り返って、新しいことを発見していく場になっていっています。理論を学ぶ場だと正解(=理論)があるわけですが、この場では、何が正しいか分からないから、みんなで未知(道)を探索していく。道に迷った時って、何かワクワクしたり、楽しかったりしませんか(笑)
― 根っからの冒険好きか(笑)。探索のテーマは、「チームワーク」ということですね
スコラ:テーマの中心には「チームワーク」を置いていますが、話し合う事柄は、多岐にわたっています。組織開発、オンライン時代のマネジメント、ビジョンをテコに会社を進化させていく方法ビジネスとアート(芸術)のつながり、これからの時代の若者の生き方・働き方、等々
― 確かに、かなり広いですね。各テーマを順番に扱っていくのでしょうか
サイボウズ:いえ、これらのテーマは、実はつながっているんです。私達は様々なテーマを横断して話しています。ですので、発散的な対話になるのです。これまでの時代は、各テーマは分断していて、テーマ毎に専門家がいるという感じだったと思いますが、これからは、テーマを分断せずにつなげて考える。そして、その複雑につながりあったはざまに、新しい「知」を見いだすことができると思っています。
― サイボウズ、スコラについて、あらためて互いに紹介をしていただけませんか?
スコラ はい、ではまずスコラから見たサイボウズを紹介します。といっても、世間でもとても注目されている企業なので、あまり概要の説明は必要ないと思いますが。私達にとってメチャクチャ興味深いのは、サイボウズが社員総出で壮大な実験に挑んでいるような感じがするところです。その自由な発想と実験精神がすごい。
― 実験ですか。試行錯誤ということですかね
スコラ:まさに試行錯誤ですね。さらに面白い!サイボウズはやること一つひとつがとにかく面白いんです。そして、試行錯誤の中で考え抜いているので、同時にとても合理的でもあるのです。「100人100通りの人事制度」などはまさにそうですね。
― 面白く、かつ合理的。なるほど。社員を試行錯誤に駆り立てるものは何なのでしょうね?
スコラ:私達もその謎を解きたいのですが(笑)、今のところ二つあるかなと思っています。ひとつが「理想を追求すること」。もう一つは、「多様な個性を尊重すること」です。
― 理想と多様性。他の会社でも言われているような気もしますが
スコラ:そう思うでしょ。でも、普通の会社は理想といってもお題目で掲げているだけのところも多い。サイボウズでは超本気で理想を追求している。そこにウソがない。多様な個性の尊重もしかりです。世間で注目されているサイボウズ流の働き方も、「そうは言っても、社員を統制していたい」という会社都合の考えを潔く手放して、「個人の幸せを最大限実現するためには」という考えにもとづいて試行錯誤を重ねつくりあげてきたものなのです。
― 最近、組織開発やティール組織などに関心を持つ人が、サイボウズに学びにいくことが増えています
スコラ:面白いことに、サイボウズでは、「組織開発をやろう」「ティール組織を作ろう」とは、一度も言ったことはないそうです。過去の経営的な危機に直面する中で、「自分たちはどうありたいのか?」という理想をトコトン考え抜いて、多様な個性を尊重して試行錯誤してきたのです。
― それは面白いですね。では、スコラ・コンサルトについては、どうでしょうか
サイボウズ:スコラは、日本における組織風土改革という分野の草分け的存在で、30年以上、企業の経営変革・組織変革のコンサルティング支援に取り組んでいます。まずはそこのノウハウを私たちも学びたいと思ったことから、このコラボは始まっています。。
― 日本の風土や特性に根ざして、クライアントの支援をしてきたのですね
サイボウズ:日本人や日本の組織がどうしたら成長・進化していくことができるか、そのツボをよく知っています。一方で、会社の運営も面白く、例えば入社した人は、自分より前に入社したすべてのメンバーと語り合う「全社員面談」という時間をとるそうです。入社した人が1時間自分について語り、聴いた相手も1時間自分について話す。つまり1回あたり2時間時間をかける。50人と行なうと、それだけで100時間ですよね。こうして社内メンバー同士がお互いよく知るところから始めている。これはすごいなと思いました。コンサルタントとして、外からサポートするだけでなく、自分たちでも個人を大事にするところを実践している。そういう積み重ねがこの良い風土・雰囲気でいる秘訣だなと思います。
― 個人を大事にしている感じ
サイボウズ:そう思いました。実際の定期ミーティングの場でも、基本的にはみなさん、聴くのが上手。
誰かが発言したら、皆さんとにかくよく耳を傾けられる。遮ったり、頭から否定するということはしません。共感・肯定から入られるので、私たちも構えることなくいろいろ発言できます。そういう点も学ばさせてもらっています。あと、知識の豊富さですね。
― 専門知識が豊富?
サイボウズ:そうですね。読まれている本の量やそれをそれぞれが自分の言葉で表現されているところなどはすごいなと思います。本質を突いていくロジックも明確で、話をしていて気持ちがよいですね。
― 最後に、このnote連載はどのように発展させていく計画なのですか
やってみないと分からないところはありますが、主にマネジメント層向けへの発信を中心にしようかなと考えています。コロナ禍もあり、マネジメントを取り巻く環境は劇的に変化しそうです。そのあたりのことで私たちの考えていることを共有していきたいと思います。
また、noteでの情報のシェアなどをきっかけに、多くの方が、何らかの形で、私たちとの「楽しい対話」に参加していただけるような機会もつくっていきたいと思います。