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リモートマネジメントの悩みの構造③”理想を共有できない”

悩みの構造①ではチームマネジメントをする上で基盤となる情報流通と関係性について整理しました。今回は最終回として、基盤の上で機能する目的共有やモチベーションについて考えます。ワクワクする理想をメンバーで共有できないという悩みをセミナーで集めて構造化しました。

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ワクワクする理想をつくる条件

企画者の想いが乗った企画は内容が荒っぽくても結果につながることが多い、という参加者の体験談を皮切りに意見がたくさん出ました。構造図でいうと頂点にある、「目的」や「モチベーション」といった三角形の部分の話です。

三角形の中の要素は「チームワークの条件」をもとにしていますがWill-Can-Mustのフレームにも似ています。そのため、次のように定義して悩みを整理しました。

・ Will:個人視点で何をしたいか
・ Can:個人がどういう強み・役割で貢献するか
・ Must:会社の方針とも合致するか

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この条件を満たすポイントを見出せれば、それはワクワクしたり腹に落ちたりする理想に近いのではないかと思います。

参加者の会社の状況としてわかったことは

🌴方針や指示は上から下りてくるものという意識が強い
🌴個性を活かして取り組むことができずワクワクしない
🌴会社の方向性に合わせる格好になっている
🌴こういった状況によりチーム全体のモチベーションにつながっていない

ということです。

この状況を打開するためには、会社の方針について「自分の職場でいうとどういうことだろう?」と考えて自分ごとになるようにしたり、自分の仕事や会社が顧客にとってどういう存在でありたいかを問い直すことが大事です。

簡単なことではありませんが、そのようにして会社の方針や個人個人の想いを背景レベルで理解できると、個人と会社の方向性の重なりが見えてきます。人をワクワクさせる理想が綺麗な言葉として生まれることを期待するかもしれませんが、そうではなく、理想を自分たちなりの言葉にしてみて、それを意識しながら仕事をする中でだんだんワクワクしていくと考えてみてはどうでしょうか。

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Will、Can、Mustをあぶりだすノウハウも色々とあると思います。

🌹個人の原体験や価値観を語り、振り返ることで、本当にやりたいことを再認識する(Will)
🌹メンバーの得意領域と苦手領域を共有して役割分担する(Can)
🌹外部環境などにも視野を広げることで、会社の方針に対する納得感を醸成する(Must) 
🌹会社の目指す姿から個人が目指す姿までを、長期から短期の視点でマップにする(Will-Can-Mustが重なるポイントの整理) ※下図参照

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目的議論のために基盤も必要

今回は「目的に向かってモチベーションを持てる状態」をどうつくるかがテーマだったので、構造図の上の方の意見が多いですが、下の土台に関する意見もありました。

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悩みの構造①で触れたように、雑多な情報のやりとりに慣れていない状況があります。(「対話に慣れていない」など)。仕事に関係のない話はするな、という雰囲気の職場もあり、ふわっとした情報をたくさん流すのは苦手な人もいるようです。雑談も仕事のうちと言いたいところなのですが(参考記事「雑談は仕事です」)。逆に、仕事の状況があいまいな段階でも「今こういうことをしている」と共有することでうまくいっている職場もありました。

他には、ビジョンや理念をつくったとしてもメンバーを巻き込むのが難しいという声もありました。会社の方針への共感を広げる上で、「浸透『させる』」という言葉や意識がそれを阻んでいるように思います。「私つくる人、あなたやる人、だから浸透させる」という関係に固定化してしまう感じです。そうなると、みんなの共通の問題にならず、他人ごとになり余計に考えなくなるかもしれません。

本来「浸透」という言葉は、じわじわ広がるといった意味ですが、仕事で使われたり、「させる」という言葉が付くと、強制の意図が透けて見えてしまいます。巻き込みが難しいと感じても無理に巻き込まず、まずは広がりやすいところ(全体の2割の人たちと想定)から始めて、その環境に順応する人(同6割)は後からついてくると考えてみてはどうでしょうか(2:6:2の法則)。自然な流れに任せるのも1つの手です。

サイボウズでは「チームワーク」という理念が社外に発信されるまでに6年かかったそうです。2割にも満たない20人が自主参加した場で初めて「チームワーク」が話題にのぼり、その後じわじわと数百人に共感されて浸透していった。ビジョンや理念が浸透するのはこのくらい時間がかかるという例ですが、先例を参考に要諦やノウハウを知ることで、この道のりは早めることができるのではないかと思います。

終わりに

全3回のまとめになりますが、マネジメントが機能するためには、メンバー同士がフラットな関係で、あいまいな情報もやりとりし、Will-Can-Mustやチームワークの条件を満たしていくことが大事です。

何をやったら成果に直結しやすいかという因果関係で示すのが難しい領域ですが、意味を感じる人たちから取り組み、自分たちに合ったやり方で実際に結果を出すことで周りにも広げることができると思います。

情報共有(悩みの構造①)を起点に、その基盤となる信頼関係の築き方(同②)、そして、理想をつくって共感を広げること(同③)について、構造的にまとめてまいりました。今回は限られた情報量でしたが、今後もリモートワーク時代のマネジメントの知見を蓄えていき洞察を導き出したいと考えています。

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