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乗り越えてきた痛みは、必ず誰かの助けになる / 第12回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告

2020年10月21日水曜朝9時からの第12回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting。
60名ほどの方にご参加いただきました。

女性誌に⾒る働き⽅の「本音」と誰一人取り残さない社会のために思うこと

この日の「働き方の新しい波」は、「⼥性誌に⾒る働き⽅の「本⾳」と
誰⼀⼈取り残さない社会のために思うこと」について、ライフスタイルジャーナリストの吉野ユリ⼦さんにお話いただきました。


この日の東京は、朝からいいお天気。
鳥のさえずりが聞こえるベランダで、緑の樹木をバックに、吉野さんはお話され始めました。

女性誌を中心に仕事をしてこられ、その中で「女性」と「働き⽅」について考える機会を多く持たれてきた吉野さん。多くの女性誌で継続的に連載を担当され、さまざまな企業で⼥性や働き⽅を継続フォローしてきました。仕事について取り上げられる際、女性誌ごとに 「仕事への本音」が異なっている。読者の方がどんなメンタリティーで読んでいるのかが違うのです、と
吉野さんは次のようにこまやかに分析されました。

⼥性誌別「仕事への本⾳」
with(27歳)
「真⾯⽬に働いているけれど、特別な成果を出す⾃信も、社会の問題を論じる⾃信もない」
読者に自己評価が低い方が多いとのことで、自己肯定感を高める提案、直接社会に貢献できることを紹介するようにしているとのこと。

GINGER(アラサー)
withよりもより自分らしさを求めている読者が多い印象。
「仕事はその他⼤勢でない⾃分であるためのアイデンティティのひとつ」

ELLE (アラサー)
ファッション性や国際性にも視点が向いているのがELLEの読者。
「ファッションや趣味だけでなく、会社選びや働き⽅の選択も⾃分のスタイルの表現」

25ans(アラサー)
「働くことは社会への還元」/「キャリアを磨いて世界に出たい」
「仕事も、暮らしや育児も、社交も、しなやかにパーフェクトであることがエレガンス」というゴールに向けて頑張っている人が多い印象。

Marisol(アラフォー)
「教育費、ローン、家族の将来の夢のためにも、⻑年勤めてきた会社のためにも、頑張ってくれている後輩、期待してくれている先輩のためにも、いい仕事をしたい」

Harperʼs BAZZAR
「単なる⾃分の働き⽅としてでなく、社会課題の解決に役⽴つ思考をしていたい」働くことで自分の意志を表明したい人が読者。

吉野さんご自身はどの雑誌の読者に近い?

ここには6タイプの読者像が並んでいますが、吉野さんの答えは、「ほとんどすべてに属する」というもの。

ご両親は社内結婚で、転勤族の娘として生まれた吉野さん。結婚相手の海外転勤に同行することになってもできる仕事としてライターが頭に浮かびました。また、子供のころから⼥性としての劣等感があり、まわりの可愛い⼥の⼦を観察・研究し続けていたことから、⼥性誌の編集者ができたらと思ったりもしました。女性のコンプレックスを克服して幸せにする役割が女性誌にはあるからです。

出版社に勤務していた時には、毎晩タクシーで夜の1時、2時に帰宅するのが日常でした。夜中に帰宅して、ご主人の⾷べたものや洗濯物を⽚付け、夜の2時3時に⽝の散歩に⾏く生活。「1⼈の⼦のために10万⼈の読者を捨てられない!」と、子供がいる生活は諦めていました。過酷な労働で、うつ状態になった時にも、ご主人からは「編集長になるまで頑張れ」と言われてしまい、ご主人とのコミュニケーションもすれ違うようになっていきました。
その後、フリーランスとなり、トライアスロンを始めて、ようやく吉野さんのワークライフバランスが整ってきました。そしてご主人とは離婚。

その後、結婚観・仕事観が固まらず、迷いがある中、今のご主人とのご縁があり、再婚し、女児を出産。保育園に入れないと仕事ができないので、50園近く申し込んで、⽣後2ヶ⽉で区外の認証保育園に預けることができました。
夜中に帰宅するのが当たり前の長時間労働をして、うつ状態になったことから、今は仕事・家庭・⾃分の3つ全てを⼤切にするルールを⾃分に課しています。

朝4−7時(⾃分のための時間)
7−9時(家族のための時間)
9−18時(仕事のための時間)
18−22時(家族のための時間)

仕事の時間以外には、極力メールも見ないようにしています。

やりたい仕事がたくさんあるし、もらえるチャンスをできる限り経験したい。子供との時間も大切にしていきたい。

仕事と育児、どちらも頑張ることがいいことなのか、迷う気持ちもあるという吉野さんは、柚木麻子さんの「輝くママ」には急に変身できないという、⽇経DUALの記事をご紹介くださいました。

https://dual.nikkei.com/atcl/column/19/072400005/072900001/

自分が頑張って書いていることが若い世代の「圧」にならないかという柚木さんの思いは、一つの真実として、共感していますと吉野さんはお話されました。

吉野さんのしていることは未来につながるか?

記事を通して、ご自身が実際に経験されてきたことも含め、さまざまな分野での解決策や好事例の提案をされてきている吉野さん。

●婚活、妊活、保活情報
●夫育てのコミュニケーション術、家事育児の分担⾒える化
●保育情報、家事シェア、時短家事テク、時短メイク
●働きながら家事育児もしながら美しさを保ち趣味を楽しむライフスタイル
●メンタルを整えるためのヨガ、瞑想、コミュニケーション術

こういったすぐに役立つ情報のほかにも、実際に家事も仕事もパーフェクトにこなす誰かのエピソードや、家事も仕事も緩やかにこなす誰かのエピソードの紹介もしています。

また吉野さんの娘さんや後進にあたる人達は、吉野さんの家事育児も仕事もこなすライフスタイルを見ています。

役に立つ情報を提案することで逆に、スキルや⾏動⼒や財⼒や情報収集⼒がある⼈だけが⼀抜けしていってしまうのではないか。全ての問題は⾃分で解決できるし、解決すべきだというイメージを植え付けていないか、いろんな解決策を提案しているつもりが、結果的に、それができていない人に自分が悪いと思わせることになっていないかという迷いが、吉野さんの中にあるそうです。

ご自身のライフスタイルをふり返っても、ご主人と家事分担すべきだと思うものの、そのために喧嘩するくらいなら、自分がする方がずっといいという気持ちもあるそう。ご主人は吉野さんが家事をしてくれることにいつも感謝はしてくれる。喧嘩するくらいなら、できる人がやればいいと思う。ただ、娘がそれを見てどう思うのか。うちのパパがダメと思わせたくないし、家事は女性がやるものだという意識を娘さんに植え付けたくもない。吉野さんは、「今はママがたまたまやっているだけだ」と、娘さんに伝えているそうです。

誰⼀⼈取り残さない社会のために
政府が語る、そして私たち⼥性誌が⾒せている「活躍する⼥性」「輝く⼥性」のモデルが、誰かを追い詰めていないか、ということを悩んでいると吉野さん。劣等感と疎外感と罪悪感から私もみんなも抜け出すために、いろんなことを提案していきたい。そして一人一人が⾃分の環境を⾃分のためにより良くするとともに、もしそこに差別なり社会課題があるなら(⾃分⾃⾝のすりこみも含め)「 それは⾃分のせいじゃない」と認めることも⼤事だと思う。自分はダメなんじゃないかと感じる人がいなくなるまで、私ができることをやっていきたいと、吉野さんはプレゼンを締めくくられました。

***

まず吉野さんと同じ立場の方と一緒に仕事をすることが多い関さんから感想をききたいですね、と石川さん。

女性誌は男性誌と違って、情報にしても思想にしても、人生に寄り添う面があります。女性誌の場合は、提案という形にして、押しつけにしないことが大切です。いろんなことを経験して考えている人の文章・企画と、何も考えていない人の文章・企画とはやはり違います。吉野さんがそれだけ経験して書いている文章は誰かの助けになっています。そのことをわからないで書くと、浅い内容になってしまうのです。吉野さん自身は迷われていても、すでにだれかの助けになっているという意味では悩みは解決していると思います、と関編集長から心強いお話がありました。

このお話をされるにあたって、ご自分の人生の生きざまを誰一人取り残さないという気持ちでシェアしてくださって、ありがとうございます。伺っていて、痛み・悲しみ・辛さを愛に変えていくには葛藤があったと思います、と島田さん。

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今日の吉野さんのお話からは深い学びをいただいた。人としての働き方に突き刺さる深い視点を提供いただいた、と箕浦さん。女性が活躍していない組織・輝いていない組織は、男性も活躍していないし、輝いていない組織だと思います。社会的バイアスという意味では、ボーイズクラブ的な男性社会は、女性にとってだけでなく、男性にとってもよくないはずです。これに浸っていると頑張って働き続けるのは当たり前、頑張らないといけないと思ってしまいます。その時頑張るか頑張らないかの自由は、男性であっても選べた方がいい。仕事をもっていることにより、子供と向き合えないことについて、男性が考えられる社会にしていきたいと思っています、と箕浦さんはまとめられました。

多くの参加者が、自分の生き方・働き方に照らし合わせながら共感し、自分事として聴き入った、等身大の吉野さんのお話でした。

今回のお悩み相談は、石川さんから

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このうふふ*に参加されている山岡さんにエシカル就活かかわる団体をご紹介いただき、21歳のバイリンガルのかつみ君にお会いしました。

かつみ君は、日本の企業は17個のSDGsを通知表にならべてCSR報告をしているだけのように見える」「外資系企業はともかく、日本の企業は学生に何を求めているかわからない」「この状態をなんとかしたい」と熱く語ってくれました。

就活への疑問や、今の社会への疑問を解決するプロジェクトをおこし、ぜひ推進していきたい。かつみ君のような本気で社会を変えたい学生と本気の企業を結びつけて、未来を創っていけるプラットフォームができたらいいなと思います、と石川さん。

これから新たに社会を変えるプロジェクトに取り組んでいきたいという石川さんの意気込みを伺うことができました。

関編集長の編集後記

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映画「82年生まれ、キム・ジヨン」を週末見てきました。
82年生まれで韓国で一番多い名前がキム・ジヨンが主人公。
キム・ジヨンは結婚して子供が生まれて普通に暮らしているが、多重人格。

多重人格というのは、子供のころからのさまざまなことの積み重ねの結果。
女の子だから手伝いなさいといわれて育ったり、何にもしていないのに、電車の中で痴漢にあったり、女性だからこその集積がたまってきたからこそ、多重人格に、そうなったんだと思いました。出産や家事だけでなく、女性には女性だからこそ受けてきたプレッシャーがあることを社会全体で理解していき、男性もそのことを学ばないといけない。

「一人じゃないということ」「頑張らないことに頑張る」ということが、吉野さんの今日のお話に関係しているので、ぜひ皆さんみてください。

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本日10月28日(水)朝9時からの「働き方の新しい波」は、<36年間ファッション業界で体験した”変化”と”感性”の働き方>について、藤戸善啓さんにお話いただきます。

後半のコーナーは、参加者皆さんのお悩みの相談をうかがえればと思います。悩みはその人だけのものではなく、みんなのヒントにもなるからです。

お申込みまだの方はこちらから

FRaU WFH*(うふふ*) Meetingは、毎週水曜日朝9時から10時。お時間取れるタイミングで、ぜひご参加ください!


文:宮崎恵美子

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第0回(2020年7月29日レポート):WFH*については、こちらでご覧ください。
https://note.com/teamwaa/n/n22a021812f1d

WFH*の読み方は「うふふ」 / 第2回FRaU WFH* Meeting開催報告(2020年8月12日レポート)
https://note.com/teamwaa/n/n18a7a94ee6fc

政策につながる組織のミッションとして行えたからこそ、環境省の「選択と集中」プロジェクトは成功した / 第3回FRaU WFH* Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1b74d08d63dc

ロンドンで、日本の「働き方」がすべてではないと気づいた / 第4回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n72e227a57b21

ワーケーションで、人や自然に感謝し、幸せを感じられるようになろう! / 第5回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n0bf44fc20fda

"はたらく"に歓びを 誇りを持てる仕事をしていこう ! / 第6回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n54aeaf037d4f

自分の得意なこと・やりたいことでキャリアを築くには / 第7回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n4529ab67eb37

真のダイバーシティにつながる働き方とは? / 第8回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n49a14e4cef62

2拠点生活から見えてきた大切なこととは? / 第9回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1e9bdedba70e

楽しみながら仕事をしていくコツは?/ 第10回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n51b79973453e

週休3日で、自分の時間を自由に創造的に使えるようになる !! / 第11回FRaU WFH*(うふふ*) Meeting開催報告
https://note.com/teamwaa/n/n1b92b13d48dc

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