世界人口77億人のためにマスクを作る
元来島国根性なのか、ま、英語が苦手っていうのもあって、日本の外の国に大きく関心があるわけではありません。
でも、世界は今、新型コロナウイルスの影響をもろに受けて、人の動きや経済や、はたまた温暖化までも何やら変化をしてきているようです。
日本という国も、非常事態宣言が全国に出され、不要不急の外出を避けるようにとの要請があり、町の店はシャッターが下ろされ、電車は窓が大きく開いて、人も激減しています。
私は、福祉事業を経営していて、事業を継続するように、国から言われている側なので、いつものように電車に乗り事業所まで出向き、一緒に働いている人の一部は、リモートワークをしてもらっています。
私が働いているところは、知的障害がある人の福祉施設で、「通常開いていることが当たり前」とされている事業所。
毎日利用者の人たちが通ってきています。
そして、作業をし、日中長い人では7時間を過ごす人たちの支援をするのが私の仕事なのです。
1.わが福祉施設は布マスクを作れるぞ
さて、わが施設では縫製作業をして、利用者の人には工賃というものを払っています。
生活保護の人もいます。
縫製技術はレベルが高く、丁寧で、お客様に買っていただけるようにと自分のできることを中心に、職員である私たちがわかりやすいよう作業の仕方を支援して、コツコツと縫物などしていただいているところです。
この4月から新しくできる保育園の布おもちゃ約1800個を2月中旬に依頼され、その仕事すべてが終わったのが、4月初旬。
皆さんが持っているマスクの在庫もそろそろなくなる人がいるのではないかと予測を立て、全く市場に出てこないマスクを待つわけにもいかず、試作をくりかえし始めたのは3月末。
自分自身もサージカルマスクを熱湯消毒して、繰り返し使っていましたが、文科省が子供のために布マスクを作るようお知らせを出したあたりで、布マスク作製の気持ちは、本気モードになりました。
2.マスクゴムがないならストッキングがあるさ!
でも、3月半ばには、マスク用ゴムが店頭からなくなりつつあり、その時考えたのは、ストッキングを使うこと。
これは、私の母がストッキングを染めて花を作っていたことがあり、切っても使える優れモノだと知っていました。そして、自分がいた法人の系列施設で、ストッキングを使った商品を作っていたこともあって、伸びる素材でできているストッキングの代用は、すぐにイメージできました。
作ってみると肌触りが良く、マスクゴムより、優しい。
ですから、SNSでストッキングを募集し、今、在庫がある限り、全国から送られてきたものを切って使っていこうと考えています。
ありがとうございます。
(動画がぶれすぎているので、あとで撮り直しか編集か?ごめんなさい)
3.まずは感謝を!
マスクを作るモードに突入した私は、施設がある武蔵新城の人100人に布マスクをプレゼントすることを考えました。
うちの施設が、2012年6月にこの街で開所し、支えられながらここまで来たこともあり、これは、今、私たちの得意な分野で恩返しをする時なのだと思ったからです。
SNSで縫製職人さんたちが「今日は200できた!」などとつぶやいているのを見ていましたが、うちの施設が一生懸命作っても、日に10枚くらいの小さな数にしかならず、100枚すらなかなか到達はできません。
そうこうしているうちに、注文も入りはじめる状態になってしまいました。
それは、以前、当店で布小物をお買い上げくださったお客様たちでした。
「マスク作れるだろ?携帯入れ作ってくれたんだからさ!」
「マスクできないかしら?お医者さんに行くのに困ってるの」
と、いう風にリピーターになってくださり、マスクのご注文が入ってきたのです。
でも、私自身が100名様プレゼントにこだわっていましたので、1枚はプレゼントして、もう一枚買っていただくなどの方法で、ここまで来ました。
4.マスクを作ることは世界を救うこと
さらに、私たちがマスクを作ることは、世界を救うことなのではないかと段々に思い始めたのです。
マスクをつける習慣のない国があることも初めて知りました。
日本は、マスク慣れしています。ですから、海外でマスクの生産をしていて、それは日本に来ると思っていると思います。
でも、世界中がマスクを欲しがり、海外の商社も他国にマスクを売り始める可能性もあります。
となれば、日本が今まで通りの数量を輸入できるかどうかわからない。
NHKによると、
日本は、2020年の2月のマスク国内生産量が2億枚。
そして、2020年4月は7億枚。
(だったと思います。うる覚えですみません)。
でも、この数も、国民一人当たり6枚分なのだそうです。
毎日変えるサージカルマスクでは、全然足りません。
そして、新型コロナウイルスは洗濯や熱に弱く、布マスクが段々に浸透してきているし、うちの施設では布マスクが作れる。
といういろいろな条件が重なり、布マスクをうちの施設が作ることは世界のためになる!という壮大な妄想となりました(笑)
でも、世界のために働いているというフレーズは、うちの利用者にとってもワクワクするフレーズだと思います。
そこに自分たちの役割があるからです。
そして、世界の人口がぞろ目になりました!このタイミングでびっくり!
77億7777万7777人。
最初に書きましたように、世界に目を向けることなどなかった私です。
77億と書いていても、全くピンと来ていない数字です。
でも、この全人口がマスクを1枚欲しがった時には、77億7777万7777枚必要です。
もちろん、一人1枚のはずがありません。
だから、私は布マスクをたくさん作ることで、日本はそれで対応し、使い捨てマスクは、手に入らなくても、乗り越えていくことも視野に入れないといけないのではないかと思ったのです。
それこそ、全国の障害者施設がゆっくりでもよいので作っていくことは大変大きな役割にもなるのではないでしょうか?
5.ついに100枚は完成!
4月16日ごろからは、自粛要請を受けお店を閉め、施設は開所している要請を受けていますので、そのまま続行。
なんとも、不思議な状態ではありますが、毎日は続きます。
どうやったら、1日にたくさんできるのかと自分のできることを考え直し、一番効果的なのはミシンをマックスのスピードで、曲線が縫えるようにしたり、同じ生地で大量に裁断することを考えたり、工夫を重ね、100枚以上のマスクが出来上がりました。
でも、きっとそれだけでは足りないだろうと、まだまだ作り続け、「マスクキット」も準備を始めています。
6.作ったのはいいけど不安
作ったものをどうやって武蔵新城の人たちにプレゼントしたり、販売したりしようかと考えましたが、コロナウイルスは、人に接触することで感染するかもしれませんので、お客様にお渡しする方法をいろいろ考えました。
いいアイデアだ!と思った瞬間に、いや、それはだめでしょ…と、不安になります。私もお客様もコロナにかかるリスクが高いからです。
郵送などで手渡ししない方法も考えましたが、いろいろな手続きを踏むのは面倒ですから、届きにくい。
本音を言うと、働いている人中心にお届けしたいのです。
これは、トイレットペーパーの買い占めの時に、働いている人は購入しようと思っても、仕事が終わった後では、購入できないことがあったからです。
でも、働くためにはマスクが必要。
おうちにいることができる人は、ある意味そんなに使わない。
だから、働く人が先という考え方です。
また、マスクと聞いて人が押し掛ける危険も考えました。
お店に掲げると押し寄せる可能性。行列ができるのはリスク。
ああ、うまくいかない…
そこで、実験をすることにしました。
SNSを頼り、「今(19時45分ごろ)から、30分だけマスクをプレゼント」と直前に書き込みましたら、来てくださる方がいらっしゃいました。
マスク無料配布中とも、看板も出していないので、道行く人は知らずに来てくださらない。
まあ、当たり前です。
宣伝すれば人が集まり、宣伝しなければ、マスクがあることも知っていただけないのです。
なので、何とか100枚だけはプレゼントして、そのあとは、やっぱりネット販売になると思っています。
(自粛要請が来ている店舗でもありますし)
ということで、ネット通販サイトも作りました(20200428加筆)↓
7.マスクは、さまざまな意味で社会のツールになる
77億人のための1枚は、誰でも縫物ができる人であれば、協力できるミッションとなることでしょう。
そして、そのあとも視野に入れておくと、おしゃれのツールにもなると思います。
精神的に不安でマスクをしている人にも、もしかしたら、良いアイテムになります。
布マスクは、使い捨てではないので、環境にも良いものになるのではないでしょうか?
自給自足的に、縫物という自分のスキルも上がることになります。
衛生用品で、顔がかぶれやすい人には、やさしいマスクになります。
たかが布マスクですが、今までサージカルマスクが主流だっただけに、新たな社会を変えるツールとなることでしょう。
サージカルマスクでなくても、良い人は、布マスクをしていけば、77億以上の人たちと、新型コロナウイルスの収束に向けて、命を大切にしていけるお手伝いをしていけるのだと思います。
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