太知が選んだ最初の志望校は通信制高校! # 母親目線で語る高専入試
意気揚々と教えてくれた志望校に言葉を失う
「通信制の学校はどうかな」
中学2年生のときのこと。
自分なりに進路について調べた太知が、第1志望として私に意見を求めたのです。
それを聞いた私は、間髪を入れず「そりゃダメでしょ」と突っ込みました。
自己管理ができない太知が通学しないままに過ごすなんて、引きこもり予備軍を養成するようなものと思ったからです。
せっかくここまで大事に育てた息子をみすみす引きこもりへ誘うような後押しはできません。これだけは絶対に阻止せねば、私自身が一生悔やむことになるでしょう。
ただし、息子が自分で決めた進路にダメ出しをするとして、どう諭すのが正解なのかさっぱり見当がつきません。
きっと親がダメと強く言えば言うほど、頑なになるはずです。それでも絶対に許すわけにはいかないと思いました。
実業高校推しの母
我が家の場合は経済的な心配が常に先立つため、以前から私立という選択はないと伝えてきました。
予め伝えておかないと、子供達も「私立は選べないのだから、公立に入らなければ」という覚悟ができないと考えたからです。
私の収入だけが頼りの1馬力。経済的なことを子供に隠すのは賢明とは言えません。
そして、実業高校に行けば進学にも就職にも役立つ知識を習得ができる。
そうすれば、高校を卒業した後の進路にも幅が生まれる。
これについて太知は概ね納得していたように感じました。
いつかは自分自身で稼がなければならないという現実があるわけですから。
太知の選択
私としては、通学可能な公立の工業高校や商業高校名を志望先として聞かされると思い込んでいたため、本当に驚きました。
太知が見せてくれた通信制高校のホームページはとても見栄えがよく、学びについても様々な工夫を試みていることは理解できました。
それでも、ここへ進学する太知を応援しようという気持ちにはなれません。
通学の時間とストレスがゼロになり、代わりに自由な時間が手に入るのは大きな魅力です。その点は理解できるのですが、太知が昼夜逆転する生活に浸っていく日々が目に浮かびます。
第1志望は通信制高校。そして、高専と通学圏内にある工業高校。どちらが第2志望と第3志望だったか既に記憶にありませんが、こんな結果でした。
志望校選びの段階で親子の意見が分かれることはよくあることだと思います。しかしながら、それは想像以上のストレスでした。
通信制高校を諦めさせるために私が課したこと
中3になった時点でも、太知は通信制へ行くことを諦めていませんでした。気性は穏やかですが、思い込んだら割と頑固な太知です。
そこで、5月初旬に行われた家庭訪問で担任の先生へ「太知の希望はどうであれ、通信制へ行かせるつもりはありません」と宣言しました。進路指導の機会にそれとなく協力をお願いしたいと思ったからです。
私達が住むところでは、小学校から中学校まで学年が変わる度に担任の先生が各家庭を訪問することになっています。
家庭の様子を知ることで、指導に生かすのだそうです。
また、太知には「1学期の期末テストまでに、地域トップの進学校へ行ける程度に成績がアップすれば通信制でもいいよ」と伝えました。
要は、それほどまでに成績アップできるということは、自己管理がきちんとできる証拠。だから、通信制へ安心して行かせられるという意図です。
太知には、「通信制へ行かせないことを前提に、無理難題を吹っ掛けられた」とバレバレ。それでも尚、私の「通信制を受験させない」気持ちに変わりはありませんでした。
正直、会話がなんとなく弾まないことが増え、「本当に成績を伸ばせるなら、通信制に行かせるのもありなんじゃないか」とほんの少しだけ思ってしまったことも。
でも、冷静になると「やっぱり通信制はありえない」と考え直すことの繰り返しです。親の意見がブレるのはよくないと知りつつも、ブレブレな毎日でした。
このときを振り返ると…
太知の高校受験が終わって3年が経過しましたが、このときのことを話題にしたことはありません。
いつか話す機会があるかもしれませんが、「通信制に行ってみたかった」と後悔の念を聞かされる可能性がゼロではないので、私からは敢えて話題にすることはないでしょう。
子供の意思を最大限尊重できる親が理想と思いつつ、そう簡単にはいきませんでした。
志望校選びは紆余曲折。春の段階で、太知の中で高専という選択肢は、ぼんやりとした程度だったのです。