若年層の投票率が上がると自民党が勝つ?
今回のお話は「若年層の投票率が上がると自民党が勝つ?」です。
クエスチョンマーク付いてます。
こういう見解 ↓ もあるようですが、
今回のお話的には、「ノー」ではないです。
どうにも「若年層では自民党を熱烈支持する要素が多い」と思える。
ほんとにそうだったら、いろいろと怖い。
なので、答えは「ノー:若年層は自民党に反対する」には_ならなそう_に見えて怖い、その理由を書いてみたい、そのための稿です。
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■おさらい:格差が広がると自民党支持者が増える
前回ご説明いたしました。
国民の知識教養や生活水準を低下させると、現政権の支持者が増えます。
■ 階層が下の人間ほど、現政権を支持し、自己責任論を喜ぶ
これは、社会心理学や社会調査などで再々確認されている、かなりヤバいヒト性質なので、よく覚えておいてほしい。
「格差が広がると自民党支持者が増える」というお話
▶ 無力感を抱え「自分らには世の中を変える力なんかない」と自認する下層がありがたがるのは、問答無用に強引なリーダー。バランスの良い民主主義的なリーダーを好まなくなる。
▶ その上まずいことに、人々は生活が苦しくなるほど「社会や政治が悪いから」だとは考えずに、心理的に「自己責任論」で解決しようとしはじめてしまう。自分と紙一重にいる困窮者の存在を切り捨てはじめてしまうのだ。
無慈悲ポイント 🚫 その1:社会が悪化すると与党支持者が増える
社会を悪化させる政党は人気ものになりやすい
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■おさらい:成長期の体験刷り込みは強烈
幼時〜思春期に強く刷り込まれるのは、
〇〇 をしたら素晴らしいことがある
〇〇 をするとイヤなことになる
という漠然とした感情の布置。
幼時〜思春期に、ヒトは自分の周囲世界のどこに最も光明感があり、どこが魅力なく陰って見えるか、試行錯誤しながら敏感に探り取っていく。
この感情観は、実体験だけでなく、フィクションからも強く刷り込まれる。
理性ではない感情チャンネルにとっては、入力される情報がリアルか否かなどは関係ない。脳が成長改変していく時期に体験する感情とその時の状況を、ただただ理性抜きで浴びて、感情反応のベースが築かれていくんだ。
刷り込まれた感情反応のベースは、その後の世界観、自分が世界を見るときの判断に、強く長く作用し続ける。
このあたりについても、別稿でご説明いたしました。
ヒトは、幼時〜思春期に経験した感情体験が行動の根っこに刻み込まれやすい。
若いころの体験が、死ぬまでその者の希望や判断に影を落とし続ける仕様になっている。
『幼少期に強烈な感情刷り込みが生じやすいことについて』
自民党の高齢者がオリンピック開催を死守したがるのも、たぶんこの影響。
→『各種感情刻印と、適応障害などの事例について』
旧来なら説得力がないはずの展開に違和感を感じなくなってしまうフィクション系の刷り込みも、この幼時〜思春期に培われることが多い。
で、今回の稿は「若年層の投票率が上がると自民党が勝つんじゃね?」というお話で、つまり「与党に投票したくなるような文化環境刷り込み」を経て、今の世代は育ってきてないか、という話を、したいわけ。
そうじゃないよ、と反論してもらえれば安心するし、やっぱそうだよね与党に投票したくなってるよね、とか言われると、それなりに(違う文化環境で育った身としては)絶望できるので助かる。
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■ ネトゲという行動馴致を経た世代
特に気になっているのが、ネトゲ、スマホ、あたりの影響。
●未知の世界は、見渡しづらいものだと感得される(スマホの使用感、恣意的なネトゲの設定)
狭いグループ(ゲーム)内の社会作法(しつけ)を浴びる
狭いグループがいくつも統一性薄く併存していて取捨選択に抵抗感が薄くなる
リアル世界もそれら狭いグループと並列的に認識されるようになる
●動画やゲームなどの集金商売メディアによる架空の光明感が強烈過ぎて、リアル世界が印象負けしてしまう(人工甘味料みたいなもん)
そのあたりはまだいい(?)んだ。
ヤバいのはこのへんだと思う。↓
● 神が人間化する
つまり。
プラットフォームを握っている側の専制政治が「あたりまえ」だという世界観が埋め込まれるんだ。
プロバイダ。
SNSの運営者。
掲示板の管理者。
ネットゲーム。
各種ネットサービス業者。
▶ ユーザの立場からは一切太刀打ちできない運営
▶ この世界を命運を握るのは、どこか手の届かない場所にいるシステム側の人間
▶ 聖性や超越性のない、ただの人間としての神
▶ 運営(政治)は密室で行われ、内実について知る由もないのがあたりまえ
このような環境馴致では、世界に対しての自己有効感(自分の意志と努力で世界を変えられる感)が乏しくなりがち。
たいていの契約書には「その他、運営側が不適切だと判断した場合はアカウントを削除できる」類の項目が明記されているわけで、運営側の気分1つでアカウントの命運が決まるし、運営側の都合しだいでサービス終了(世界の終わり)も来る。
最高権力者である運営側(中の人たち)がどんな作業や判断をしていたのか、ユーザに知るすべはないし、サービスの恩恵を受け続けたいのであれば、できることはただ、運営から目をつけられないようにしながら、ひたすら従順に応援をするしかない。
すでにラノベやアニメの異世界で「一般の人(のような神)がこの世の支配者の位置にいる」という設定が、あふれかえるほどに描かれている。
この「一般の人(のような神)がこの世の支配者の位置にいる」設定は、ネット普及以前にはそんな多くはなかったと思うし(神は不可知、超自然的な存在…)、ましてや一神教圏ではちょっと宗教的にかなりマズイもんがあったりするんじゃないかと懸念もしちゃうんだけど。
無慈悲ポイント 🚫 その2:ネトゲ世代は専制政治に親和的になりやすい
今の運営を応援しないと世界が壊れる(サービス終了)、というクリティカルな感情学習を受けている
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■ 3つの無慈悲ポイント
無慈悲ポイント■その1:社会が悪化すると与党支持者が増える
与党が社会を悪化させると与党を支持する困窮者が増えがち。
大変なことになっているのは運営のせいではなくユーザ側の姿勢が悪いからだ、と解釈する心理的傾向が強まり、政権交代を望まなくなる 。
無慈悲ポイント■その2:ネトゲ世代は専制政治に親和的になりやすい
今の運営がつぶれること=世界が壊れる(サービス終了)、というクリティカルな感情学習を経て育っている。
現政権を倒そうとする人の姿を目にすると、「今の平和な世界が壊れる」的な不安が惹起されてしまうんだ。
そして、
無慈悲ポイント■その3:世襲議員による政治の劣化
与党第一党に有利な選挙制度が整備されすぎていると、世襲政治家や保身第一主義の議員が増える。
世襲政治家は反知性主義者になりやすく 、治世に無知な(それでいて忖度的上昇志向の強い)人間ばかりで党を固めるようになる。
この3点が、がっつりと組み合ってゴロゴロと転がりだしている。
社会設計のスキルが乏しい政治が、人々の暮らしを劣化させ、暮らしが劣化すると、政権の支持者が増える。熱烈に支持してしまうし、政権が交代することを恐怖してしまう。
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※ 政権交代を忌避する層の意向は、前回の政権交代への失望に根ざすものだけではないことに留意。
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■ この時代を歓迎する世代と、一昔前の世代
一昔前の世代がよく浴びていたフィクション上の光明感は、
人智を超えるほどの災厄と苦難に見舞われて、最悪の底まで行ったら、絶大なるご褒美(素晴らしい展開)で打開されて開放され、新しい展開、新たな世界へと進むことができる
というパターンが多かった。
ドラマ、映画、そして、世界を崩壊から救うRPG。
「苦難が訪れても大丈夫、なんとかなる」パターンで量産されてきたフィクション群。
そして、世の中には災厄が極まれば救済され開放されるのだと、ついつい妄念してしまう人が、なぜか多くいる。
災厄の極まりには「革命」も含まれる。スゴイことを引き起こして、敵(苦難の源)をやっつければ、一気に世の中が開放されるというフィクション…
実際には、そんなことはないのに(世界をよく見るんだ)、なぜか旧世代たちは、変革・打開=解放・救済感を強く刷り込まれている。
それに対して。
今のネットの世界には、たいがいゴールがない、というか、ゴール感や打開&解放の図式が薄い。
今の世代が経験する仮想世界は、どこかのプログラマによって恣意的に構築された「異世界」であり、どこかから集まった異形のぼくら(仲間)と協力しながら世界の維持に努めることによって、目の前の仮想娯楽世界を長続きさせていこうとする。
そんな行動馴致を浴びて育つ人が増えてきた。
●ヒトは社会的に、「自分の首を絞める」性質を持っている。
生活が苦しくなればなるほど、生活を苦しくさせている現政権を支えたくなる。
●ドラクエ世代は、運営からは切り離されたカートリッジの中の「自分が世界を救う俺TUEEE」セカイ系だったけれど、後続のネトゲ世代は、
常に運営の支配下で一喜一憂し、
支配者に対しては全く働きかけることができず、
運営が倒れれば世界が崩壊し、
ルール違反一発ですべての権利を失う、
そんな心理的馴致をされてきている。
●生活の困窮と、ガチ支配者に従順な心理馴致、その相乗効果で、困窮する若い世代は自民政権支持しまくり…。
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観測範囲では、フォロー・フォロワ数1〜2桁の辺縁アカウント(情報交信より自己慰撫が目的となっているユーザ)が、「専門家からの情報も考慮した上で政治的に判断した結果がこれなのだから、政府の方針に反対するほうがおかしい」 との旨、発信している例が多めだった。
このあたり、ビッグデータ系の人は何か調べてないかな。
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■ 次の時代は、今までとは違う
そもそも、誰彼となく心中に抱いている「社会に危機が訪れても、いずれ正しい方向に向かうはずだから大丈夫」的な観念は、単に、そのヒトが生育過程で浴びた フィクションによって刷り込まれた幻想 に過ぎないのではないか。
そこから、そのレベルから、いったん肝に銘じてみてほしい。
ちょっとスジは違うけれど、かつて、70〜80年代メディアやアニメから刷り込まれた観念「だって、女は足手まといだから」を素(す)で信じていた人物に遭遇して驚いたことがある。
それほどに。
そこまで「社会に危機が訪れても、いずれ正しい方向に向かうはずだから大丈夫」は、無根拠な刷り込みでしかないもの、かもしれないんだ。
え、言われなくてもわかってるって?
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江戸時代の人々は、明治の文明開化を予想していなかったし、明治時代の人々は、のちの大正昭和の変節を予想できなかっただろう。
江戸の時代はもう戻らないし、ましてや、今の社会環境下で高齢政治家が好むサザエさんの時代を再現しようとしても、原始人呼ばわりされるだけで、詮無いこと。
そして、 (みんな、もう、実感してるだろうけれど) 次の時代は今までよりマシな時代だとは限らない。
団塊世代の高齢者が新しい時代に不安を感じ、昭和の戦後にナツカシベリーを求めているように、
別の世代は「災厄が極まれば救済と開放が実行されるのだ」という観念に突き動かされて政府を糾弾し、
さらなる次の世代は、「国の運営は現状でいい、変えるなんて不安すぎる」と黙々と保守応援に走る。
ヒトは、生育期に体験した感情の布置、光明感や不安感のマップに影響を受けながら、世界を見続ける。
今の政権与党が安泰であることに安心感を感じ、素直に応援できる心性に育ちたかった。
■ 以上
今回の稿のお題は「若年層の投票率が上がると自民党が勝つ?」である。
中高年層に「若者の投票率が上がれば社会が変わる」と無根拠に思い込んでいる人が多いことにうんざりした関係で、記した稿でもある。
実際には、若年層はただでさえ高齢者層に比べて人口が少ないマイノリティなので、少々若年層の投票率が上がろうとも、当面の選挙結果にはほぼ影響はしてこないだろうとは思う。
そして、どっちにしろ自党に有利な選挙制度を完備した自民党が、今後も勝利し続けるのだろうと思う。
ではなぜこんな稿を書いたのか。
単に私が不安だからだ。
今の展望を寿げるような教育を受けてこなかったからだ。
ヒトは、生育期に体験した光明感や不安感の感情の布置マップに影響を受けながら、世界を見続ける。
そんな中、自分は、こう書くほうが、心理的にトクだと感じている。
その結果の、この稿だ。
誰彼となく心中にインストールされている「社会に危機が訪れても、いずれ正しい方向に向かうはずだから大丈夫」的な妄念の、危うい根拠と恣意性について、怯え震える人間を作りたいという邪な動機もある。
正常性バイアスに震えて眠れ。
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粗雑ながら、一連の稿の最終回です。
以降、潜伏状態に戻り静かに夏祭に備えます。
若者は自民党を支持してないぞと反論なさる方、統計を探してきてくださいますと助かります。
世襲政治家は反知性主義者になりやすいというお話↓
国民の教育水準や生活水準を低下させると、政権の支持者が増えるというお話 ↓
山岸俊男さん問題の件については、お声の募集を続けてます。(追記あり)
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