【TEALABO channel_30】私だからできる仕事。人と人の架け橋になる。 -有限会社宮原園 吉海江いづみさん-
鹿児島のブランド茶である「知覧茶」の作り手を直接訪ねて、その秘めたる想いを若者に届けるプロジェクト「Tealabo Channel」。
日本茶は全国各地に産地があり、各産地で気候や品種、育て方が違います。そんな違いがあるから「知覧茶」が存在します。一年を通して温暖な気候がもたらす深い緑色と甘みが特徴である知覧茶の作り手の話を皆さんにおすそ分けします。
第30回目は、『有限会社 宮原園』(以下:宮原園)吉海江いづみさんにお話をお伺いしました。
私が家業を継ぐ決心
宮原園は、明治25年創業。
知覧町にある永里工場をはじめ、宮原園では県内5カ所に冷蔵施設を保有するほど大きな問屋さんです。
今の有限会社 宮原園は、平成9年に設立しており、創立108年の茶寿を記念して作られた「伴左エ門」はいつまでも変わらぬ品質で愛され続けています。
その歴史ある知覧茶「伴左エ門」をいただきながら、いづみさんのお話を伺いました。
高校まで地元の鹿児島で過ごし、大学では福岡にある九州産業大学へ進学。
「大学ではたくさん遊ぼうと思って福岡に行きました」
学生生活真っ最中のいづみさんが大学2年の時、転機が訪れました。
“お母様の病気が発覚”
それから毎週、帰省する日々を大学卒業まで続けたと言います。
きっとその頃の景色を大切に思い出しながら、
確認しながら、お話しくださる、いづみさんの表情が印象的でした。
みんなで楽しく仕事をしたいから
コロナ禍以前は、朝の10時とお茶の時間15時に従業員の皆さんとお茶することが日課だったそう。
コロナ禍以降、皆さんでお茶するということはできなくなっても、仕事で悩んでいる従業員さんがいれば、直接話を聞いて相談にのる時間は大切にしていると言います。
「みんなで楽しく仕事をしたいから」
職場環境をこれからもより良くすることが自分の役割だといういづみさん。
まだまだ改善していきたいところがたくさんあるので、もっと自分から進んで改善していこうと思います、とお話ししてくださいました。
助け合いの連鎖
「自分にできることは極力したい。でも、できないこともある。」
例えば、会社で補助金をもらうために書類をつくらないといけない。でも、どんなふうにまとめたらいいか分からない。そんな時は、分かる人に相談してみる。すると、皆さん助けてくださると言います。
「皆さん本当にいい方なんです。もうありがたくてありがたくて。」と嬉しそうな表情のいづみさん。
そんなお話を聞きながら、取材のはじめから感じていた宮原園の温かさは、いずみさんがつくっている“人と人とのつながり”から生まれた空気感なんだと気がつきました。そして、助け合いの連鎖が生まれ続けている場所だと知りました。
知覧の思い出
生まれも育ちも知覧のいづみさん。知覧の思い出を聞いてみました。
「子どもの頃、お母さんが作ってくれる、じゃがいもを砂糖醤油で煮たものが大好きでした。素朴な味でね。」
「好きな場所は、昔からよく行っていたビーチ、松ヶ浦シーサイドパーク。今でも子どもたちを連れて行きますけど、とっても綺麗でいいところですよ。」と嬉しそうに教えてくれました。
知覧で好きな行事はありますか?と聞くと、「新茶時期かな」と即答。
「よっしゃ!今日もやるぞ!みたいな気持ちで朝起きられることが嬉しい。何かをしときたいタイプだから、することがたくさんあるといいんでしょうね。」と言います。
尊敬する背中
現社長の宮原 高博さん。いづみさんのお父様です。
ここまで会社を大きくしてくれたこと。
いつも着飾らず、贅沢しないで、全てをお茶に注ぎ込むという選択をしていることがすごい。
「売上も伸びたし、いい車でも買おう!いい服でも着よう!」
そう思ってもおかしくないのに、全然欲張らなくて。
年がら年中『お茶、お茶、お茶』だと言います。
いづみさんが、いい服とか買わないの?と聞くと、
「おいは、全く興味はなか!」と答えたそう。
お茶に対する揺るがない情熱を持つお父様の背中を見続けているからこそ、いづみさんもまた、新茶時期の本気度が高まっているのかもしれません。
家業を継ぐという決心をしてから、
“私だからできる仕事”を続けてきたといういづみさん。
話を聞けば聞くほど、人情深く懐が大きい。
まずは、手の届く範囲の人を幸せにしたい。
そんな精神で生きている真っ直ぐな人でした。
人は、一人では生きてゆけなくて、
助け合ってこその喜びや感動があるということを
再確認させてくれる時間でした。
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