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5.2.2. 副業という選択:本業と並行して「お茶」も仕事にする場合
副業規制と「お茶」
前項(5.2.1.)で見たように,「お茶」と「仕事」のバランスが悪くなった場合,選択肢としては,転職だけでなく副業も考えられるだろう。
現在は,政府の「働き方改革」による副業の規制緩和が進められつつある。
しかしインフォーマントやそれ以上の世代では,副業を巡る状況がより厳しかったと考えられる。
副業禁止の会社に勤めているために,「茶道団体」の代表者のように表舞台に出てこない茶道修練者もいると大輔さんは語る。
そういった茶道修練者が表立って出てこない理由について,大輔さんは以下のように解釈する。
(その人たちも)お茶だけで生きていけないって分かってる。
何に重きを置くか(の問題だ)。
会社を辞める/辞めない
勤務先が副業禁止であれば,会社を辞めるという決断も考えられる。
そのような選択をした茶道修練者に対して,「どうやってお茶一本で生きるんだよ」という疑問を投げかけるインフォーマントもいた。
実際に「お茶一本で生きる」(=「お茶」だけを収入源にする)ことを実現している茶道修練者もいるため,不可能ではないと前置きしつつも,懐疑的な意見を述べる。
どうやって「お茶」(だけで)生きるのかという問いは,生計を立てることを念頭に置かなくてはいけない社会人と,切っても切れないものである。
「お茶をしながら食べていけるか」
仕事と「お茶」にまつわる自己矛盾を割り切れず,退職を考えていた洋平さん(5.2.1.参照)も,収入源を「お茶一本」に絞ることは「まだ早い」と言及していた。
茶道の教授者として生活していくことに対して「そこまで希望を持っていない」と付け加える。
考えたんですよ。仕事辞めることも含めて。
じゃあ今,どうやったらお茶をしながら食べていけるか。
このとき,本章(5.1.3.)で触れた「どうやってお茶を続けていくのか」という問いが,「どうやったらお茶をしながら食べていけるか」という問いに変わって表出した。
お茶「専業」への第一歩目
しかし多くの茶道修練者は,会社員からいきなりお茶「専業」になるわけではない。
実はほぼ全員,ある段階を踏んでいる。
副業可能の会社に勤めながら茶道教室を運営する大輔さんのように,まずは会社員と茶道教室を並行して進めていくのが,最も考えられうるケースである。
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