公務員が一番挑戦できる
タイトルの「公務員が一番挑戦できる」という言葉は、島根県海士町の町長として、4期16年の任期中に様々なまちづくりの挑戦を実現させてきた山内道雄・前海士町長の言葉です。
私の職歴は、教師から文部科学省職員と転職して大きく変わりましたが、一貫して「公務員」です。それは、岩手県教育委員会に出向した今でも変わりません。
私自身、公務員を目指していたわけではなく、学校教育や教育行政の仕事に携わりたいという想いから出発して、結果として公務員になったのですが、それでも「公務員」であることに変わりはありません。
ちなみに、私の父も市役所の職員を定年まで勤め上げた公務員で、私の中にある公務員のイメージは「安定している」の一言でした。バブル期であっても、バブルが弾けても給与に大きな変化はなく、法律や公務員の倫理に反するようなことがなければクビになることもない。
そんな公務員のイメージを根底から変えてくれたのが、海士町での実体験であり、山内道雄・前町長の冒頭の一言です。前町長は「公務員が一番挑戦できる。公務員はそれが住民のためになるのであれば、どんな分野にも挑戦できる。それに、安定して給料をもらっているのだから、失敗をしても食べられなくなるわけではないのだから、どんどん挑戦すればいい」と熱く語ってくれました。
公務員は安定している、、、だから挑戦しやすい、という文脈でこれまで考えたことはありませんでしたが、言われてみれば確かにその通りだと納得しました。それに、住民のためになることであれば所属している部署や肩書を超えて取り組んでも非難されることはありません。それは目から鱗の体験でした。
そして、その言葉を裏付けるように、海士町役場の職員はそれが住民のためになると判断すれば、これまで自分が経験したことのない未知の分野であっても飛び込みます。また、頼られれば住民が本気でやりたいという挑戦に最後まで役場職員が伴走し続けます。
そんな役場文化の背景には、前町長のもう一つの口癖である「人がいない、予算がない、前例がない、だからやならない、とは絶対に言わない」という信念があると感じています。挑戦できる人がいなければよそから集める、予算がなければ知恵を絞る、前例がなければ前例を創る、というこれまでの役場らしからぬ文化が、海士町を地方創生の挑戦事例として注目が集まる島にしている要因だと私は考えています。
近年、地方創生の必要性の高まりもあって、全国の色んなところでスーパー公務員と呼ばれる挑戦者にスポットライトが当たっています。これから公務員の挑戦事例は益々増えてくると確信しています。そして、その公務員の中には全国に約百万人いる公立学校の教師も当然に含まれます。公務員である公立学校の教師が学校や教育の分野を超えて、積極的に挑戦していく事例が今後増えていくことを願っています。
もちろん、私も公務員の一人として、これからも挑戦を続けていきたいです。
追伸)写真はファーストペンギン(天敵が海に潜んでいるリスクがある中で最初に飛び込んで群れを率いるペンギンのこと。一番最初に未知の領域に挑戦するチャレンジャーの比喩。)をイメージしました。私の中で海士町役場はファーストペンギンがたくさんいるイメージです(笑)
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