これまで自己決定理論について扱ってきました。
外発的動機づけには「外的調整」「取り入れ的調整」「同一可的調整」「統合的調整」の4つがある。
統合的に近づけば近づくほど、だんだん自律性が高まってくる。
そしてその延長線上に内発的動機づけがあるのだ、ということでした。
この自己決定理論を用いて、様々な教科や内容の動機づけが研究されております。
例えば、体育での外的調整とは?同一化的調整とは?…のようにです。
これらの研究を知ることで、自分が関わっている内容の動機づけがより具体的にイメージできるのではないでしょうか。
ちなみにですが、多くの研究では「統合的動機づけ」は省略されています。
これはあくまで推測ですが…
「統合的動機づけ」というのは「自分の価値観に完全にマッチしている」というもので、「こうするのが自分らしさなんだ」「当然自分はこうするのだ」といった、もうわざわざ意識しなくても自然とやっちゃうんだよ~レベルの動機づけなんですね(外発的動機づけの中で一番自律性が高い)。
ですので、アンケート調査なんかで調べても、あまりはっきりと意識していないので回答に現れてこないのではないか、なんて思っております。
全教科はまだ見つけられていないのですが、まずは現時点で見つかったものからご紹介します(見つけ次第、追記していきます)。
”理科の動機づけ” 西内 舞, 川崎 弘作(2017)理科学習の意義の認識が動機づけに及ぼす影響に関する研究
「理科は感動だ!」という言葉もあるように、
理科には実験・観察など夢中になれそうな要素がたくさんありますね。
”社会科の動機づけ” 福谷 泰斗, 皆川 直凡(2022)自己調整学習の理論に基づく振り返り活動が中学生の学習動機づけに与える影響
”体育・運動の動機づけ” 藤田 勉(2010)自己決定理論に基づく運動に対する動機づけの検討
これは大学生の調査なので、例えば小学生だと少し違うのかもしれません。
”学習そのものの動機づけ” 西村 多久磨, 河村 茂雄, 櫻井 茂男(2011)自律的な学習動機づけとメタ認知的方略が学業成績を予測するプロセス
これは学習そのものの動機づけですね。
”登校の動機づけ” 五十嵐 哲也, 茅野 理恵(2018)小中学生における登校への動機づけ尺度の作成
なるほどなーと思いました。「不登校」「投稿しぶり」を考えるうえで、この「登校への動機づけ」は重要ですよね。
”友人関係の動機づけ” 岡田 涼(2005)友人関係への動機づけ尺度の作成および妥当性・信頼性の検討
友達関係も動機づけの視点で見るとおもしろいですねー。
人間関係でぎくしゃくしやすい子どもの中には、「取り入れ的」に動機づけられていたりすることもあるかもしれません。