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私が抑うつ状態と診断されるまで

 原因不明の体調不良

 (上の記事の続きになります)
 仕事を休んだ初日、内科に行っても結局、過労ですねって言われてまた漢方薬を処方されるのだろうなと思った。というか、今回は明らかに以前に増して体調の悪化具体がおかしかった。まさかとは思ったが、おそらくメンタルがやられているのかと思った。でも、特に精神的に参っているとかそんなことはないのに、なぜだろう。そんなこと考えていても仕方がない。というわけで、似たような境遇を経験した同僚に相談して、いろいろと教えてもらうことにした。とりあえず同僚から心療内科の予約をしましょうと言われたので、すぐにネットで調べて病院を探した。自宅から少し離れた場所に病院を見つけたので、そこにすることにした。今、この記事を書いていて、俯瞰して当時の自分を振り返ると、やはりおかしくなっていたのだと思う。日中にも関わらず、暗闇の部屋でスマホ片手にいろいろと調べていた自分がいたからだ。その時は何も感じなかったが、人は精神的に参っていると、無意識に暗闇を好むのか、もしくは、眩しいのが嫌なのか、医者ではないので分からないが、とにかくずっと布団の中から出たくなかった。何もしたくなかった。正直、同僚に相談することもかなり時間を要した。これまでの自分とは明らかに動きが別人だった。

 適応障害

 別に喉が痛いとかそういった風邪症状があったわけではない。なのに、なぜか声が出しづらくなっていた。これも精神的苦痛からくるものなのか。とはいえ、早く病院に電話しなければ、予約で埋まってしまうかもしれない。そう思い、勇気を出して心療内科に電話をした。
 電話をすると、女性の方が電話に出た。とても丁寧な対応だったのを覚えている。初診であることを伝えると、どんな状態なのか、細かく聞いてくれた。一通り体調不良のことを伝えると、「おつらいですね。」と、顔も知らない自分にとても優しく声をかけてくれた。事務的な感じではなく、本当に心配してくれているという感じで泣きそうになった。今までそんな言葉をかけられたことがなかったこともあるだろうが、自分を苦しめる何かから解放させてもらえたような気持ちになった。ゆっくりしていいんだよって言われたようなそんな感じだった。
 自分は変なプライドをもっているせいか、家族にすらいまだに抑うつ状態と診断されたことを話していない。プライドというか、家族に心配をかけたくないというのが正解かもしれない。職場の人にも下手に迷惑をかけたくないという思いで、だれにも相談できなかった。結果、こんな状態になってしまった。しかし、電話を終えて、少し気持ちが楽になった。楽になったとはいえ、外出できるとか、そんな気持ちにはなれなかった。
 あまり良くないことだったのかもしれないが、とりあえず自分の状態をネットで調べてみることにした。すると、そこに出てきた言葉に「適応障害」というものがあった。どうやら学校で働く先生たちに多く見られるらしい。自分も適応障害なのかなと思った。というのも、症状がほぼ一致していたからだ。おそらく適応障害と診断されるのだろうと思っていた。

 このサイトで試しにチェックをしてみた。今は便利な時代だなと思った。ちなみに、適応障害という言葉をこれまで全く知らなかったので、そういう症状に苦しんでいる人がたくさんいることも知ることができた。さて、チェックしてみた結果、重症のゾーンにいることがわかった。すぐに病院に受診するように書かれていた。電話で予約したのは正解だった。

 事前準備

 文章を書くことに抵抗はなかった。だから、初診の際にきちんと自分の状態を伝えられるように、タブレット内にメモ書きでざっと書いておくことにした。自分はそこまでの気力があったが、人によってはそういったこともできないという状態の人もいることだろう。メモを書きながら、きっと適応障害と診断されると思っていた。それでも、過去を振り返りながら、いつどんな症状が出たか、思い出しながらメモを書いた。初診で伝えた内容というメモは、いまだにタブレットの中に保存してある。今、ふと見返しても、なんでこんな働き方をしていたのか理解できない。というか、なぜそこまで仕事ばかりしていたのか、全く理解できない。それくらい、今回の病気の件で私の人生観は大きく変わった。

 抑うつ状態と診断された日

 結論から言うと、「うつ」という言葉を聞いた時に、ものすごくショックを受けた。適応障害と診断されると思っていたからだ。抑うつ状態と適応障害の違いは何か、ネットで何度も調べた。症状は似ている。そういったことばかりが書かれている。まさか自分が「うつ」状態になっているなんて思いもしなかった。本当にショックだった。自分は「うつ」とは無縁の人間だとばかり思っていた。
 初診当日、私は病院まで車で向かった。駐車場にはすでにたくさんの車が停まっていた。こんなにも苦しんでいる人がいるのかと思った。車を停め、病院内に入ると、すぐに受付がある。女性スタッフが丁寧に対応してくれた。待合室に数名の患者がいた。自分と同じ症状の人もいるのだろうか。そんなことを思いながら、問診票を書いた。
 問診票を受付スタッフに渡すと、番号札を渡された。待っている間、特に何も感じなかった。ずっと心が無の状態だった。おそらく虚な目をしていたと思う。今なら暇つぶしにU-NEXTで漫画でも読んでいるだろうが、何もしたくなかった。何も考えたくなかった。心療内科は待ち時間が長いとか、そんな口コミがあったが、心の状態が無だった自分にとって、そんなことはどうでもよかった。ずっと塞ぎ込んでいた。しばらくすると、自分の番号を呼ばれた。どうやら初診では、最初に相談員との面談があるようだ。私は相談員さんに精一杯の挨拶をして、個室に入室した。自分なんかのために、時間をとってもらって申し訳ないというそんな気持ちもあった。
 相談員さんにいろいろ聞かれた。久しぶりに声を出したせいか、思うように声が出なかった。というか、タブレットにメモを書いてきたのだから、それを見せた方が早いと思い、そう伝え、タブレットのメモを提示した。この間、私は一度も相談員さんの目を見た記憶がない。目を見て話せなくなっていたのだ。どこを見て話をしていたのかすら記憶にない。もっというと、相談員さんの顔を覚えていない。女性だった記憶はある。声も特徴的だったから覚えている。ただ、どんな顔だったかは全く覚えていない。申し訳ない。
 続いて、血液検査をすることになった。私は特に注射嫌いではないので、抵抗なく血を差し出したわけだが、これは私のよくない癖だが、血液を抜かれるのをじっと見つめてしまう傾向にある。看護師さんからすると、さぞかしやりづらいかもしれない。こちらも申し訳ない。
 再度、相談員さんに呼ばれた。そこで、バウムテストというものをやった。これで何が分かるのだろうか。まぁそんなことはどうだっていい。言われるがままにテストを受け、簡単な質問にも答えた記憶がある。相談員さんのお腹のグゥッと鳴る音が聞こえた気がした。夕方過ぎだったし、そりゃあ小腹も空きますよね。とりあえず聞こえなかったことにしておこう。一通りの作業を終えると、また待合室で待っているように言われた。
 ここまでですでに1時間以上はかかっていたと思われる。そして、ようやく診察という流れだった。番号を呼ばれ、扉を開けて個室に入った。やはり目を見て話せなかった。医師からいろいろと説明をされる中で、「抑うつ状態ですね。」という言葉だけがものすごく印象に残った。同時に、ショックだった。医師から、1か月程度、お休みするようにと言われ、診断書を渡された。診断書にもやはり「抑うつ状態」と書かれていた。

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