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50号のキャンバスに筍を二本 福田平八郎

東京は恵比寿にある山種美術館で開催されている福田平八郎✕琳派展の入って最初に目にする平八郎の筍

福田平八郎 筍 1947(昭和22年)

真正面にどん!と展示されている大きなキャンバスは50号
1167✕910 ※調べてみたら50号には色々あり日本画だとだいたいFだということから出した数字

そこに筍を二本

自分ならこの大きさにもっとあれこれ埋めて描いてしまいたくなるところを筍2本の潔さ

山種美術館で12/8まで開催されている『福田平八郎✕琳派』の特別鑑賞会に参加してきた。

山種メンバーズと名付けられた山種美術館の会員限定に開催されるなんとも贅沢な時間。

先の筍の解説は館長の山崎氏によるもので、ただ見てもすごいなぁと感想をもらす絵画たちの別の視点を教えてくれた。

『筍二本の潔さ』

なるほどそういう風に聞くと確かにそうで、私なら足元にフィフィでも描いてしまいそう。

1枚の作品の理解が深まり、この絵をついあれこれ盛り込みたくなる癖が出たときの戒めに思い出そうと考える。

そちらの大きな絵は落選してしまったものだとか、この作家は色使いが独特であるとか、自身が釣りが好きで鮎を好んで描き、見ていると鮎が食べたくなる話しだとか。

福田平八郎 彩秋 1943(昭和18)年

対象物をリズミカルに画面いっぱいに描きながら端はトリミングされたように断ち切るのは琳派の手法でそれにより続きがあるように感じられる仕掛けだとか。

枝にとまった鳥の種類が「うそ」でその脚の指まで細やかに描かれている絶筆となった1枚など。

撮影が許されていたのが上の一枚で、筍の絵はフライヤーから拝借。上記説明いただいたのが印象に残っていて文字のみで書いたけれど実物御覧になったら、ああこれかと思いだしてみてください。

初期から晩年までの作品があって、作品の横にそれを描いた年齢が記載されている。自分の歳と重ね合わせてみたりして。

春に土牛の醍醐の桜が見れるとあって出かけてみてから山種美術館へは今年3回目。

地下にある展示室はこじんまりとして大きすぎず日本画の力強さと静けさになんとも言えない心地よさを味わい、カフェではその時々で展示品に因んだ限定菓子が味わえるのも手伝ってちょっとした楽しみになっている。

恵比寿駅から徒歩圏内という気軽さもいい。

学生のころも勤めてからもほぼ毎日渋谷を通っていたというのに山種美術館に行った記憶がないのだから近くても見えていないものってあるんだなぁと思う。

小さなミュージアムショップではポストカードをはじめチケットホルダーや一筆箋、マスキングテープなど山種美術館ならではの日本画による魅力的なものたちを入手できる。

展示はどの作品もよかったけれどなかでも紅白の饅頭を画面いっぱいに描かれた作品が手を伸ばしたくなる様子で好きだった。

12月8日(日)まで
福田平八郎×琳派

着物で行くと一般200円引きだそう。絵の前に人がいるとちょっとどくのを待ってしまったりするけれど、日本画を見る着物の後ろ姿ってそれがまたひとつの絵になっていてとても素敵で眼福。着物を楽しまれる方は是非お着物で。


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noly
読んでいただきありがとうございます。 暮らしの中の一杯のお茶の時間のようになれたら…そんな気持ちで書いています。よろしくお願いいたします。