名前を尾久COMPLEXに変えます。それに関わるエトセトラ。
私の商店街は、コロナ直前まで瀕死状態でした。
東京R不動産さんが、私達の街全体をじっくり時間をかけてリノベーションしようとプロジェクトを始め、希望が見える4軒が同時オープンした矢先、コロナが流行。そして非常事態宣言による休業。
このまま閑散とした町がさらに続くのか…
しかし、これが街を変えました。
外出の自粛が宣言され、会社に行けない人、都心にショッピングに行けない人、エンターテイメントが全て封鎖されたことで、逆に商店街に人があふれました。
この宣言下、許されることは、買い物名目で地元を少し歩くぐらい。スーパーだけではまかないきれません。
「こんなに人がいたのか!」
「まるで自分が小さい頃の商店街全盛期みたいだ!」
と、平均感覚がなくなるくらいの驚きでした。
次に思ったのは、これほど普段はこの街は寝に帰るだけの街だったのか、という事実でした。
寝に帰る街、仕事をする街、仕事帰りに飲んで帰る街、そして休日に遊ぶ街。
すべてが別々に存在していたことを改めて知りました。
地元としてまずは、テイクアウトにしか今は活路が見出せない飲食店と、街の人を結ぶ情報チラシを、街の有志で作りました。
また思いがけない、この街でしかできない、コロナが起きてこその最高のエンターテイメントも起きました。
テレビでも良く取材される「どん平」さんにて。
どん平さんは、燃える酒鍋という宴会メニューで有名なお店であり、真横には女子医大があり、様々なニーズで大繁盛のお店です。
コロナによって、宴会がなくなり、病院関係者も利用がなくなりました。近くにすら寄るのを怖れる人もいました。
そんな時に、若き経営者の妹さんであり俳優の安藤玉恵さんが宴会席を、演じる舞台にして一人芝居をされたのです。(観た後に、ディスタンスをとって、有名なとんかつ定食を食べる、すると時間が許されれば、安藤玉恵さんが挨拶に来て感想を聞いてくれる、という夢のような)
ここですごい面白いのは、火鍋というからには法律的に、かなりの換気が必要な建築物をもともと指示されていて、それにかなう、すごい換気力を持っていることがあるので、コロナ時期に演劇をすることを、感染症対策の人にお墨付きをもらっているんです。だからそこできた。
ストーリーは阿部定です。
阿部定事件は、太平洋戦争が起きる少し前に、愛しすぎた故に不倫相手との性交中に首を絞めて殺してしまい、その局部を切って持っていた女性の事件で、どん平さんの目の前の場所です。
そのエッセンスを一人芝居で演じながら、人を愛するって何だろうと考えさせられるストーリー。
安藤玉恵さんの一人芝居を見てみたいと思っていた私には最高の時間でした。
これら、コロナが起きたことで生まれた化学反応が、いくつとなくこの街に起きました、
いつかコロナ時代も終わり、また、人は仕事場と遊び場と、寝る場を分けて生きるようになるとは思いましたが、それでもこの街の底力というか、可能性を見ることができた時間でした。
すべてをこの街でまかなうのはこれからも無理ですが、寝に帰ってよし、食べてよし、楽しんでよしの、街の底力というかポテンシャルを、地道に紹介していきたいと思いました。
そこで私は、尾久の街を一つの複合施設としてとらえて、尾久COMPLEXという活動を始めました。
COMPLEX(コンプレックス)とは、複合施設の意味があります。
一般的には劣等感という意味にとらえる人が多いですが、元々はいろんなものが複雑に組み合わさった感情みたいなもののようです。
私は若い頃、「なんでこんな街に生まれたんだ」と思っていて、街に劣等感や複雑な感情があり、でも今はそれを前向きに捉えようと思うと、まさに尾久COMPLEXになるのです。
気に入ったネーミングですが、特に活動が多くの人に評価されている訳ではありません。
でも良いです。
この活動は、TwitterとInstagramをメインにやっています。
アイコンは「尾久三業」の看板です。
阿部定事件の頃から自分が小さい頃まで続いた尾久三業という芸能や飲食の文化を考えてみると、まさに当時の尾久COMPLEXだったんだな、と思いアイコンも気に入っています。
このアカウントで西尾久出身の伊集院光さんからレスポンスを頂いたことは嬉しい思い出です。
(伊集院光さんは、地元に複雑な思いがあると、メディア向けによく言われています)
話をテーマに戻します。
最初は下町の持ち帰り天ぷら屋のnoteにしようと思っていたのですが、マイナーな活動だからこそ、noteでのアカウント名を尾久COMPLEXに変えて、note活動をしていこうかと思いました。
今日から、少しの間、前のアカウント名に付け加える感じで行きますが、少ししたら、尾久COMPLEXのみに変える予定です。
こんな私の書き込みを見てくださっている皆さま、ありがとうございます。
これからももっと面白いこと、もっと面白い出来事が起きる街にしていきますので、よろしくお願いします〜!