WEBデザイナー、写真撮影に立ち会う| デザインのお仕事体験談
元WEBデザイナーが、noteで目にして気になった事をつらつらと書いていきます。今回は「WEBサイトに使用する写真の撮影現場に立ち会った」という話です。WEBデザイナーをめざして職業訓練、スクールで学んでいる人、就活中の人、フリーランス志望の人に読んでいただければ幸いです。
WEBデザインの写真調達方法
WEBサイトで使用する写真の調達方法はいろいろなパターンがあります。
主なパターンは
クライアントから提供される
ストックフォトを利用する
カメラマンを手配して撮影する
自分たちで撮影する
の四つになるかと思います。
今回のお話は筆者がWEBデザイナー時代に、「カメラマンを手配して撮影する」に立ち会った時の体験談です。
デザイナーがやらねば誰がやる…
組織の規模がそこそこになってくると、WEB制作の現場はディレクター、デザイナー、コーダー、エンジニアで案件ごとにチームを組んで作業することがよくあります。状況によってはライター、カメラマン、イラストレーターといった専門職が加わることもあります。
チームを組んだ場合、現場の指揮はディレクターが行いますが、細かい事まで仕切るタイプ、何の指示も出さずに全てを丸投げ、上がってきたものに対してあれこれ口をだすタイプ、基本は担当者にお任せで、締めるところは締めるタイプ、チームのメンバーを巧みに誘導する羊飼いタイプ等、人それぞれ仕事のやり方が異なります。
当時所属していた制作会社には営業兼ディレクターがいたのですが、営業は得意だけれども、実制作、特に現場の仕切りやアートディレクションが苦手で、外部業者、現場担当者に「丸投げ」をよくやる人でした。
それは筆者がとある動物病院のWEBサイト制作案件に携わった際の事。別件の写真撮影立ち合いにて、いろいろやらかして自信喪失したディレクターが、撮影に関する細々とした仕切りを筆者に丸投げするという事態が起こりました。
事前準備、顔合わせはやっておこう
かくしてディレクターから写真撮影の諸々を丸投げされた(カメラマンの手配はディレクターが既に済ませていた)筆者ですが、まず何をすればいいのかを知るために、過去にカメラマンを同行させて撮影した案件の資料を探すところから始めました。
その結果、「香盤表」なるものを作成して、撮影日当日のスケジュール、何を撮影するのかの洗い出しををしている事が判明。撮影に必要な資料を作成後、クライアントへのご挨拶と撮影現場の下見、カメラマンとの顔合わせと事前説明を行いました。
ディレクターがクライアントとのやり取りの窓口を一本化していると、デザイナーが直接クライアントと接触する機会がなかったりしますが、デザイナーも制作ばかりに集中せず、時間があれば客先訪問に積極的に同行した方が、クライアントに対する理解が深まり、より良い提案ができると筆者は考えます。
また、外部パートナーとも顔合わせをしてお互いの事を知っておくと、その後の仕事の進行がスムーズになります。こういう時にコミュニケーション能力、良好な人間関係の構築スキルは必要になりますので、身に着けておきたいところです。
撮影現場は予想外に肉体労働だった…
実際に撮影に立ち会って一番驚いたのはこの点でした。撮影時は基本立ちっぱなしなので、当然と言えば当然なのですが。
動物病院の案件はカメラマン、クライアントのスケジュールと予算の都合、撮影モデル(ペット)の都合等の理由で、一日ですべての撮影を終わらせる過密スケジュールを立てざるを得ず、 結果、かなり過酷な現場となりました。
動物病院の撮影なので犬猫等、ペットの撮影もあるのですが、相手は動物、人間の都合などお構いなし。(特に猫。犬は割と協力的。)おやつで誘導しつつ、シャッターチャンスが訪れるのを待つ、の繰り返しで、通常の撮影現場以上に労力を費やす事になってしまいました。
相手がプロカメラマンでも撮影指示は必要
ここは勘違いをしている人が結構いるのではないでしょうか。プロのカメラマンなのだから、何も指示しなくてもいいように動いてくれるだろうと…
件のディレクターが勘違いしていたのもこの点です。
プロカメラマンの仕事は基本的には写真機材と撮影技術の提供です。何を撮影したいか、どのように撮影したいかを決めるのは依頼者側(ディレクターなりデザイナーなり)であり、カメラマンに指示を出してコントロールするのも依頼者側になります。
長年にわたり取引があり、カメラマンとツーカーの仲になっていれば「おまかせ」もできますが、初取引のカメラマンであれば当然ながら撮影時の打ち合わせは必須になります。
フリーランサーは自分で撮影することになるかもしれない…
この体験談ではカメラマンを手配する予算があるような価格感の案件だったので、デザイナーが写真撮影を行う必要はありませんでしたが、フリーランサーが受注する案件の場合、予算によっては自身で撮影に赴かなけらばならない事もあります。
筆者がかつて就活をした際、業務委託も視野に入れて応募していたことがあったのですが、とある制作会社に業務委託待遇で応募したところ、デザインだけでなく写真や動画の撮影スキル(と機材一式)を要求されたことがありました。
フリーランスでの活動を希望している人は、仕事に使えそうなグレードの一眼カメラ、レンズ各種(標準・望遠・広角、ズーム・単焦点一式)と撮影スキル(物撮、ポートレート、風景)を持っていた方が良いかもしれませんね。
最後に
WEBデザイナーだからといって、WEB関連のデザインだけやっていれば務まるというわけではありません。
会社員としてデザイン職についている場合(特にインハウス)は「人手が足りないから」「他にできそうな人がいないから」といった理由で、自分の守備範囲外の仕事が降ってくることは多々ありますし、仕事の選り好みも拒否もほぼできません。(退職願片手に強気にでれば通るかもしれませんが、その後もその会社に居場所があるかどうかはわかりませんw)「仕事ができる=楽ができる」ということはなく、できればできるほど仕事量が逆に増えるなどということもあります。
フリーランスであれば、クリエイティブのことは右も左もわからないクライアントから「一から十までなんでもお任せ」をされることもあるので、できる仕事の幅は広い方が自身の身を助けます。自分の得意分野、好きな事に絞って仕事を受注することももちろんできますが、余程の強みがなければ、それだけで生活するのは難しいでしょう。(特に駆け出しの頃は。)
あれこれつまみ食いして器用貧乏に陥るのも問題ですが、デザイン職はできる仕事の幅が狭いと生き残るのは難しい職業である、と筆者は考えます。