『めんたいぴりり』シリーズに有名になってほしい。
こんにちは、Kです。
みなさん、『めんたいぴりり』という作品はご存知でしょうか。
たぶん知らないですよね。
『めんたいぴりり』。
テレビ西日本創立55周年に作られたドラマです。
高視聴率を記録したため、のちに全国各地で放送されました。
はじめに1時間くらいの第一話を放送。
その後第二部として、1話10分程度の短いドラマを全16話。
地方局の制作ドラマには珍しく連ドラ形式で放送されました。
明太子屋さん『ふくや』はご存知ですか?
『めんたいぴりり』よりは知っている方が多いかと。
日本で初めて明太子を作った方。
ふくや創業者の川原俊夫さんです。
このドラマもふくや全面協力のもと制作されたそうです。
この作品は、その川原さんが明太子を作る人生の物語です。
川原さんをモデルにした主人公・海野俊之役に、博多華丸さん。
妻の海野千代子役に、富田靖子さん。
他にも、小松政夫さん。
博多大吉さん(友情出演)など。
福岡出身の方や福岡で活躍されているローカルタレントさんなどが出演されています。
※女優の奈緒さんの初出演作品だったそう。
千代子の学生時代の友人役です。
結果、2013年に放送されたドラマに続き、
2015年のドラマ『めんたいぴりり2』(全二話)、
2015年の舞台『めんたいぴりり〜博多座編〜』、
2018年のノベライズ書籍『めんたいぴりり』、
2019年の映画『映画 めんたいぴりり』、
2019年の舞台『めんたいぴりり〜博多座編〜 未来永劫編』、
2023年の映画『映画 めんたいぴりり〜パンジーの花』
と、シリーズ化されています。
※Kは舞台は見ていません。
映画とドラマ(一応書籍も)の知識でお届けします。
多い。
元は地方局のドラマ。
むちゃくちゃ多い。
それだけ面白い作品です。
端的に言うと、俊之が明太子を作る話。
経営する『ふくのや』という店の仲間との日常の話。
でも面白い作品です。
いったい何が面白いのか。
ネタバレはないように気をつけております。
明太子を作ろうとした経緯が素晴らしい。
第1作目のドラマから。
俊之と千代子の出会いから物語は始まります。
昭和の日本は、韓国の釜山を植民地にしていました。
2人はそこで生まれ、出会い、恋に落ちます。
2人を結びつけたのが、釜山のお惣菜でした。
メンタイ(書籍版では「ミョンテ」と言われています)です。
元は魚卵の塩漬けで、辛子明太子とは別のものでした。
やがて2人は夫婦になりました。
第二次世界大戦が始まります。
俊之は千代子と子供と離れて戦地に。
戦争が終わり、2人が再開したのが福岡県でした。
そこで、ふと思い出の味メンタイを思い出す千代子。
千代子のために、俊之はメンタイ作りを始めるのです。
実話に基づいた話です。
だからこその感動があります。
ドラマチックすぎず、でも感動的なストーリーです。
そして。
全っ然メンタイができない。
「え? そこなんでできないの?」
「え? いや違うやん?」
「え? なんでその材料使うねん?」
と思うほど、全っ然できません。
魚卵の生臭さを消すために蜂蜜を使います。
違いますよね?
こういうことをしています。
俊之は、お人好しで優しい性格。
九州男児の豪快さも持ち合わせた人です。
『男はつらいよ』シリーズの寅さんに近い感じ。
でも作れないんです。
定期的に諦めようとします。
でもまた立ち上がる。
立ち上がって、高級な魚卵を仕入れようとする。
でもお金がない。
こっそり千代子のへそくりを持ち出す。
結局キャバレーに使う。
怒られる。
でも憎めない。
華丸さんの演技力の賜物だと思います。
諦めないこと。
なぜメンタイを作り始めたか?
その気持ちを忘れないこと。
その大切さを教えてくれます。
あと忘れてはいけないのが、この人の存在。
スケトウダラの妖精!
冗談じゃありません。
本当です。
本当に出てきます。
博多弁を喋る、スケトウダラの妖精(メス)。
誰が演じているか。
博多大吉さんです。
夜中、台所でメンタイと格闘する俊之のもとに現れます。
※ほぼアドリブ。
ごく稀に、重い話があります。
ふくのやの従業員が〇〇。
明太子を作った俊之が〇〇と言う。
※ネタバレになるので言いませんが。
そんなとき。
チラッとスケトウダラさんが出てくるとどうなるか。
心の支えになります。
なんでスケトウダラの妖精?
なんで俊之の前にだけ出てくるの?
てか何者?
思うことはたくさんあります。
2回見れば忘れます。
ストーリー的には重要ではない。
でもなんとなくいないと寂しいキャラクターです。
でもやっぱりこちら。
華丸さんの演技力。
本当にすごい。
博多弁がしっくりくるのもあるでしょう。
華丸さんが寅さんを意識しているのもいいのかもしれません。
戦争への怒り。
メンタイがうまく作れないことへの憤り。
千代子と喧嘩したむず痒さ。
俊之さん。
全部をぶつけてきます。
全身全霊で、訴える演技をします。
ただ、演技については人それぞれ意見が違いますよね。
でも、私はあの演技が好きです。
あれだけ気持ちを全力でぶつけられる人。
俊之として感情を見せてくれる人。
華丸さんだけだと思います。
では最後にこちらも。
山笠。
ご存知ですか?
福岡のお祭りです。
山車を担ぎ、町を駆け巡るお祭りです。
ふくや、ふくのやがある中洲の山笠。
〈中洲流〉全面協力のもと、実際に山車を使って山笠のシーンを撮影しています。
祭り好きの俊之ももちろん参加。
実は、戦後に山笠が復活したことにも俊之の力添えが働いています。
そのシーンの迫力。
私はDVDで見たのですがすごかったです。
『めんたいぴりり〜パンジーの花』は映画館で見たのですが、山笠のシーンはありませんでした。
多くのエキストラを呼ぶため、コロナがあって撮影できなかったのでは。
一度見ていただきたいです。
まずは一度でいいから見てほしいです。
やる気がなくなったとき。
頑張る意味がわからなくなったとき。
俊之のめんたいに向き合う姿に背中を押されます。
あ、主題歌もぜひ。
(風味堂『夢を抱きし者たちへ』『足跡の彼方』)