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《転がる母に苔は生えないvol. 21》勝手に期待、勝手に失望

息子が大泣きした夜に発した、
忘れられない一言がある。

「いっそのこと、
 日本語なんて話せなきゃ良かった」


これがどういう意味かわかりますか?


もし、日本語が話せなかったら、
わからなくても指摘されないし、

もし、日本語がわからなければ、
指示を聞き直しても呆れられないし、

もし、日本語を知らなければ、
日本人として知っていることを期待されない。



これは、サードカルチャーキッズの話の中で、
よく言われることだけど、
分かっていても
実際に子どもから言われると、
こんな言葉を言わせてしまった、と
とても苦しくなった。

言語能力は本人とその家族が
努力して努力して獲得した力。
頑張ってきた結果の力を
いっそのことない方がよかった、と
言わせてしまう残酷さよ。。。


言語能力の話は今は置いておいて、
何が言いたいかと言うと、
日本語が話せる
=日本のことを同じレベルでわかっている

と期待されてしまうこと。
これがなかなか他の人には伝わらない。
さらに見た目が日本人だから、
期待通りに行かなかった場合、
相手もまた戸惑う。
「え?日本語わかるよね?
 日本人だよね?」というふうに。
そして相手が戸惑う様子をみて、
本人たちは毎日神経をすり減らしていく。
そして疲弊していく。

それゆえに
冒頭の発言が出たのである。


誰も悪いわけではない。
誰かが悪いわけではない。
ただTCKと周囲とを
橋渡しをする作業が必要になるかもしれない。

私は、親の理解が
それを手助けできるんじゃないかと思っている。

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fumi @ 国際移動する家族の子どもnote
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