DO!の精神でアフリカに教育と雇用を 銅冶勇人さん(後編)
今年3月に3校目の学校を作るなど、アフリカに「教育」と「雇用」を生み出す活動をしている銅冶勇人(どうや・ゆうと)さん。
9月には、日本人で初めてある会議に招待されたのだといいます。
ミイナ:世界的な財団として知られる、ビル&メリンダ・ゲイツ財団にご招待されたという風にうかがったんですが・・・
銅冶:そうなんです。こんな私が、ビルゲイツさんの財団にご招待いただいて、ニューヨークで会議を一緒にさせて頂いたという、そんなことがありまして・・・
ミイナ:世界中から?
銅冶:そうですね。世界中からゲイツ財団のセレクトで集まった200人位の方々が一堂に・・・これからの未来に対してどんなことが解決できるか。どんなことが問題で、どんなプロジェクト、新しいITを駆使したり、現代の技術を駆使してどんなことができるんだろう?っていうのを、みんなで話し合う。そういう会議にご招待いただいて、行ってきました。
ミイナ:日本人で初めてなんですよね?
銅冶:聞こえがいいんですけど、確かにそうなんですよ。日本人で初めて ご招待いただきまして・・・僕らの考えているこれからの世の中をどうしていこうかなっていう問題意識の違いっていうのはやっぱり欧米に比べてものすごい劣後してるなっていうのは自分自身ですごく感じましたね。
ミイナ:日本がですか?
銅冶:そうですね。まあ日本始めアジアだと思うんですけど、やはり彼らが問題意識に対して本気で解決をするために色んな技術、思い、色んな人たちを使ってどんなことができるかっていうのを本当にみんなで・・・知恵をふり絞って考えて、それに向かって走ってるんですよね。
やっぱり我々の活動もそうですけど、まだまだ草の根的なところが強い。ただそれも大事な部分もあるし、だけど今の現代の技術を使って何か走っていくこと。それが何かに繋がっていくっていうことをより一人でも多くの人たちがそれを意識として持ったら、すごく強いじゃないですか。それをビルゲイツさんが先陣切って走ってるっていうのは、ある意味「背中で見せる」というありきたりな言葉かもしれないですけど、感じさせてもらったなっていう感じですね。
ただ僕の知り合いは「おい、あいつ行って大丈夫か?」と。「英語分かってんのか、あいつ?」っていう心配もあると思うんですけど、ちょっとずつ英語は理解できるようになってきたので会議も少しだけ英語は聞くことができました。
ミイナ:英語苦手なんでしたっけ?
銅冶:英検4級ですね。はい、英検4級です。僕は一生懸命・・・4級です。英語できなくても、どうにかなる部分はあるんです。もちろんできたほうがいいんですよ、みんな!できたほうがいいんです・・・
ミイナ:でも相当希望が持てる話で。英語ができなくてもゴールドマンで活躍し、更にビル&メリンダ・ゲイツ財団に招待されると・・・。
銅冶:ただ一生懸命努力は続けて、英語ができないから海外に行けないとか英語ができないから海外の人と仕事ができないとか、そういうことじゃないですよと。できてる人いますよ!・・・ということで、夢を持っていただけたら幸いでございます。すみません。
***** Dooo ! *****
銅冶:「稼げるようになったら寄付するね」とか「もうちょっと将来安定してきたら、また一緒に何かやるね」とかって言ってくれるんですけど、誰かのために何かするって本当に身近なことだなっていうのはいつも思っていて、それを感じていただけるようなアクションをするというのが僕らの大事にしていることなんですけど、先日小学生の女の子が、僕の元々の会社の上司の方のお子さんなんですけど、「銅冶くん、娘が『私も何かしてみたい』と・・・「こんなモノを作ってみたの」といって貯金箱を・・・
じゃじゃん!
ミイナ:なんかかわいいですね。これはどんな貯金箱なんですか?
銅冶:これは「ためる」「つかう」「きふ」この三つのお金を入れる場所を作った「やさしい貯金箱」っていう貯金箱です。彼女は将来の自分のために使うお金とすぐに何かを買うために使うお金と、それからアフリカの人たちのために何か自分の寄付を繋げられるようにしたいなということでこの寄付という窓口を作って、三つの貯金箱で幸せの「やさしい貯金箱」というのを作ってくれました。
まあ誰かに何かしたいなって思うことは、アフリカのためじゃなくても、それは家族でもいいし、彼氏、彼女、友達でもいいんですけど、そういうことがどんどん増えていったらやっぱりすごくいいなって改めて思わせてもらったきっかけになったのが、このやさしい貯金箱でした。
ミイナ:何歳からでもこういう気持ちは持てるっていうことですよね
銅冶:そうですね。自分で前に出るかどうか。まさにこのタイトル通り「Dooo」できるかどうか・・・それがすごく大事ですね
ミイナ:今の事業をする上で、壁とか苦労とかってありました?
銅冶:一番壁、苦労と思ったことは、やっぱりものさしの違い。これが一番大きくて・・・現地で学校建設をしました。その時に6か月誰も来ませんでした。言われた言葉は「神様が休んで良いって言ったから」。
あるとき工場で女の人たちのためにミシンを新しくして、みんなに働いてもらっていました。ある日ミシンがなくなってました。ある女の人がミシンを勝手に売っちゃいました。自分自身何のためにこんな活動やってるんだろうってすごく思ったんですよ。なんですけど・・・ふと冷静に考えた時に、その女性は子供がいて、子どもも毎日働いていて、彼女も必死に働いているっていう現状がそこにあって・・・
同じ環境で自分が育って生きていたら、同じことしちゃうだろうなと。自分しか親がいなくて、子どもがいて、学校に行かせられないし、明日のご飯もないとなったときに、ミシン売っちゃうかもしれないなって僕自身も思ったときに、やっぱり何事も自分のものさしで判断しちゃってるなと、僕自身が思って、これはある意味アフリカのものさしがあって、この村のものさしがあって、この人たちのものさしがあって、僕のものさしとはもちろん違う。
だから、そのものさしをいかに共有しながら、一緒にものさしを作っていけるかっていうのは、ものすごく大事なことだと思っていて、それは多分僕の活動でやってるアフリカだけじゃなくて、今の日本の企業にも同じようなことが言えるのかなと思っていて、やっぱり自分が教えてきてもらったようなやり方で部下に対して何かを教えたり、先輩に何か自分の思いでそれを話したり、だけどそこに世代ギャップもあるし、生きたきた環境も違うし・・・だとするならば、ものさしをしっかりと埋めていく、しっかりと共有していくってことは、やっぱりコミュニケーションをしっかり取っていかないといけない・・・
ミイナ:ものさしを押し付けるんじゃなくってことですよね
銅冶:そうですね。だからお互いのことをしっかり理解しながら、お互いの大事なものさしっていうのは何なんだろうっていうのを作っていくことが、一番大事だなっていうのは、僕がぶつかった「壁」であり「学んだこと」かなと。
***** Dooo ! *****
ミイナ:人生を変えた本とか映画ってあるんでしょうか?
銅冶:これがね・・・今回ご用意させていただいております!
ミイナ:ありがとうございます。
銅冶:一冊目がですね、イネス・リグロンさんという方の『世界一の美女の創りかた』という本ですね。ミスユニバースの日本代表の方を育てて、世界大会に向けてコーチングしていくのを担当されていたのがイネス・リグロンさんで・・・これを是非男性に読んでいただきたい。っていうのはこのイネスさんの視点からいかにこの日本代表の女性に世界大会に向けて自信を持ってもらって、成長してってもらって、輝いてもらうステージを用意するかっていうのが、このイネスさんの役割なんですけど、女性がどうやったら輝くか、どうやったら気持ちがどんどん上がっていくかっていうことのヒントがものすごくここに含まれているんですね。
ミイナ:なるほど
銅冶:なぜ男性に読んでもらいたいかというと、銅冶みたいな女性心があんまり分かってないぞ・・・という男性、世の中にたくさんいると思いますけど、これを読んでいただいて、なるほどと・・・。女性はこういう風に喜んだり、つらい思いの時にこう・・・また気持ちが昂ったり、色々なことをするんだなっていうのを学んでいただきたいな・・・という、そんな一冊でございます。
ミイナ:意外な視点ですね。
銅冶:次の本がですね、みなさんご存知かと思いますが『世界で一番貧しい大統領のスピーチ』という。これ絵本でございます。銅冶、毎月絵本を一冊買うというのを決めてるんですが・・・
ミイナ:へえ・・・そんなかわいいことしてるんですね。
銅冶:そうなんです。本を読むのが苦手で、絵本は大好きなんです。
銅冶:ウルグアイの大統領の、ある国際会議でスピーチをしたときのメッセージが全部この絵本に含まれているんですけど、彼の一番言いたいことっていうのが、このモノで溢れた、欲で溢れた世の中で本当に幸せなことって何なんだろうというのを、みなさんもう一度考えてみましょうというメッセージが含まれている本です。さっきのものさしの話をさせていただいたんですけどそのものさしの話に通ずるインパクトを僕もいただいた一冊になりました。
銅冶:三冊目がですね・・・
ミイナ:あら、これまたかわいらしい・・・
銅冶:これが『My Princess Boy』という本です。
ミイナ:ちょっと星の王子さま風の。星に乗っかってるんですけど、これはどういう本ですか?
銅冶:これがですね、男の子が女の子の気持ちを持って生まれてきて、女の子の恰好をして過ごしている男の子のお話で、世の中からはすごく冷たい目をどうしてもされてしまう。ただ・・・彼の母親の思いとしては、彼らしくしっかり彼の気持ちとか彼の生き方を尊重していってほしいなっていう色んな思いが詰まった一冊で『My Princess Boy』というタイトルが付いてると思うんですけど、最近LGBTとか色んな問題も日本でもちょっとずつ、みなさんが認識し始めてるというか・・・テレビでもそういう話をされたりすると思うんですが、
ミイナ:日に日に見る機会が増えますよね
銅冶:生まれ持って、そういう思いを持ってらっしゃる方たち、たくさんいらっしゃると思うんですけど、それを差別するのではなくて尊重できたりとか、それをすごく魅力に感じられるような世の中になったらいいなっていうことも感じさせてもらえるような一冊の絵本です。
***** Dooo ! *****
ミイナ:気になってる応援したいなという方、こいつ面白いよ!とか、そういう方はいますか?
銅冶:僕の同期で武蔵小杉の方で寺の住職をやってるやつがいてですね。法田寺の岸顕正(きしけんしょう)副住職という人がいるんですけれども、この彼がですね、寺の位置づけを変えたいと・・・
ミイナ:どういうことでしょう?
銅冶:寺でヨガをやったり、寺でフェスをやったり、お坊さんのファッションショーをやったり、色んな新しいお寺の在り方を今、考えてる人がいまして、お寺でお祭りがあるんですけど、このCLOUDYの、アフリカのファブリックを使って、お坊さんの袈裟をですね作りまして・・・
ミイナ:作っちゃったんですね!
銅冶:このファッションショーをやると
ミイナ:すごいコラボレーションというか・・・
銅冶:日本の寺×アフリカ。新しいプロジェクトなんです。
ミイナ:寺リカ・・・
銅冶:寺リカ・・・うまいじゃないですか。
***** Dooo ! *****
ミイナ:銅冶さんが若者に伝えたいことは?
銅冶:これはすごく大事にしたいな・・・と思うこと2つお伝えしたいなと思うんですけど、まさにこの番組のタイトル・・・「Dooo」ありますけれども、どうしても最近の人たちって物事考えすぎてしまってアクションまでにものすごく時間がかかっちゃう人が多いなと。学生のかたと話してても色んな企業の方と話してても、ミーティングの時間が長すぎたり、結果が出るまでの考える時間が長くてなかなかスタートしなかったり。
一番大事なのは「やる」ということなんですよね。やらないとやっぱりわからないし、僕自身も行ってみてわかったし、やってみてわかったし。やってみないと立ち止まることもできないし、立ち止まって考えることもできないですから。しっかりアクションを起こして、こんなのは誰にでもできますから、何かをするなんてことは・・・。あまり頭でっかちにならずにやってみて何か考えることの方がすごく大事だなというのはお伝えしたいなと。
ミイナ:いつも何かやれと?
銅冶:そうですね。どんどんやっていこうと
ミイナ:「Dooo」ですね!
銅冶:おっしゃる通りです。「Dooo」・・・すごい言いますね(笑)
ミイナ:はい。せっかくなんで(笑)
銅冶:もう一つは、どうしても他人の目とか評価とか・・・洋服もそうですけど、他人にどう見られてるかなとか、誰かがいいと思ってくれるかもしれない、このTPOはこうだなって、やっぱり世の中の目をものすごく気にして生きてる・・・
ミイナ:銅冶さん気にしてないですよね?
銅冶:人の目を気にして私も生きてる一人でございますので、それを教訓にですね。ただ人の目を気にしてると、結局自分のものすごく大事にしたいこととか、こうやりたいな、ああやりたいなって本当にやりたいこととか思っていることを人の意見ばかり気にしてしまって、なかなか大事にしているものを忘れてしまったり、やらなかったりしてしまう。
だけど本当に大事なのは自分の判断とか自分の気持ちなので、自分の目を大事にしたほうが、色んな意味ですごくいいんじゃないかなって思うんですよね。
ミイナ:この写真は・・・
銅冶:これは、子供達と一緒に水を運んでいる写真。井戸とか水道が無いので毎日30分を6往復くらいしながら水を運んで生活しているんですけど、時間をこれだけ・・・6往復×30分って・・・結構長い時間使うんですよ。これは色んな意味で問題にもなっていてその分、自分の好きなことができなかったり、勉強ができなかったりするので水の問題というのは色んなところで意識している。
僕もやってみましたけど、本当に大変で・・・まあまあ重いですからね。でもみんな歌ったり踊ったりすれ違った時にアクションがあったりして、水運びだけでもすごく面白い、まあ~現地の人たち、良く笑っていますね!
幸せの見つけ方とか、日本人よりよっぽど長けているんじゃないですかね。
ミイナ:そういう所にも学びたいですね・・・