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「“食”を考えるために猟師になった大学生の挑戦」菅田悠介さん(後編)

柿次郎:
Dooo司会の徳谷柿次郎です。前回に続いて大学4年生でわな猟師をやっている菅田さんにお話しを聞いていくぞ!Dooo!!

鴨の解体を経験したことで、食べ物に対する意識が変わり、猟師の資格を取ったという菅田さんに対し・・・

「ぼくも猟師になりたいんですよね」(柿次郎)

まさかの猟師になりたい発言!でも、柿次郎が猟師になりたい理由ってなんなんでしょうか。


猟師の顔がかっこいいわけ

柿次郎:

菅田:
顔を深くしたい!?

柿次郎:
なんで山の命に向き合ってるおじさんはあんなに顔が深くてかっこいいんだろうっていう漠然とした憧れがあって。

菅田:

「自分は人間なのか動物なのか」みたいなところだったりとか。

そういうような考えることをずっと続けてると顔も変わってくるんじゃないかっていうのは確かにありますし・・・

そういうところで顔つきが動物に近くなってくるというか。

柿次郎:
自然と触れているところというのも単純に菅田さんはどうですか。自分で、友達に「お前顔変わったな」と言われたりとかします?もちろんしゃべることは全然違うじゃないですか。

菅田:
ま、でも狩猟とかに「関わる前と全然違うな」と言われたりしますね。高校の時、僕それこそ狩猟なんて全然興味なかったし。食べ残しとかバンバンやってたちゃらんぽらんな時と大学入って狩猟の活動だったりとか食糧廃棄の活動とかやり始めてから「雰囲気とか変わったよね」みたいなのは高校の同期と飲みにいったりした時とかに言われたりとかしました。



猟師はモテる?

柿次郎:
東京の女の子にモテるようになったとかないですか?

菅田:
あーーーーー。

柿次郎:
雰囲気違うね、みたいな。

菅田:

みたいな感じにはなってきてるんじゃないですか。ははは(笑)

柿次郎:
漁業の取材をしているので魚をおろせるようになりたいと思って・・・

ちゃんとした3枚におろせる包丁を買ってきたんです。それも、記事にできるかもっていうのと、3枚におろせるのってモテるんじゃないかという、それのさらに最上位が自分で食べ物を仕留められる男ってまあ、ホモサピエンス的にはすごく必要な条件じゃないですか。

柿次郎:
猟師はモテるっていうのは語弊があるかしれないですけど、そういう健全さと、モテるっていう不健全さみたいなものを真ん中でみんなが取り組んでいったらもっと増えるんじゃないかなと。人口が。

菅田:
そのモテるっていうのはでもやっぱ大事ですよね。僕、大学1年の時にフラれて、大好きだった女の子に。それがきっかけで「なんか自分って何ができるんだろう」とか、その子に恋愛の価値観とか話してた時に「尊敬できる人じゃないとつきあえない」みたいな話とかされてたから「自分尊敬されるポイントないんだ」みたいなところで考え込んで。「どうやったら尊敬されるような男になるんだろう」とか「どうやったらその女の子に振り向いてもらえるんだろう」みたいなところから、がっつり食糧廃棄問題みたいなところに集中していったみたいなところがあるんでやっぱ大事なモチベーションにはなりますよね。そこは。思い出しました。

*****Dooo*****


ジビエが普及しないわけ

柿次郎:
ジビエブームみたいなのがここ何年かありますけどね、食べたことある人は10年前より圧倒的に増えてるはずですよね。けど、なんかいまいち普及しきらないジビエのお肉の問題は何があると思いますか。

菅田:
お金ですかね。

柿次郎:
ちょっと高い?

菅田:
お金高いっていうところと流通量が少ないというのがあって、

解体場を立てないといけないとかあるんで、そうなるとふつうの豚肉とかと比べて何倍とか違うんですよ。

そうなるとめちゃくちゃ高級料理みたいになっちゃうので、お金が高い、敷居の高いものになっちゃってジビエのお肉とかそんなに食べられないですよね。肉本体で売るってなっても豚肉とイノシシ肉の何倍の差っていうのが見えちゃうから、そういう意味でお皿とかをちょっとこだわったり、料理の仕方にこだわったりとかして、高い高級路線で行ってるところが多いんじゃないかな、と、そういう意味で今多くの人が触れられない、親近感がわかないところになってるのじゃないのかな、というのがありますよね。

柿次郎:
コンビニ、ファーストフードでジビエ入ってこないですもんね。

菅田:
もったいないですよね。たしか北海道とかでも鹿とか取られてそのまま廃棄されたりとかされてる現状なんで。

柿次郎:
流通先がないんですよね。

菅田:
流通先がないっていう問題だったりとか、自家消費っていう自分たちで食うっていうのはOKではあるんですけど、

1匹捕まえたところで50キロ、60キロって肉入ったところで、食えないですよね。

柿次郎:
それを都内だったら、冷凍する環境ないじゃないですか。あらゆる流通とか仕組み的になかなか行きわたらないし、しかも豚肉・鶏肉安くてうまいですからね。

菅田:
そうなんですよね。安くてうまいし、やわらかいし、みたいなところが。鶏とか豚とか若くてやわらかくて、肉もいい感じの肉付きのときに解体して、肉にして売り出すみたいな感じですけど、イノシシ肉とか何歳かとかわかんない個体ばっかりだし、雄雌によって、肉のやわらかさ、味違うんですけど、そういうところもあるんで、一定じゃないんですよ。

柿次郎:
野生ですもんね。

菅田:
そういった意味でも味だったりとかも違うし、血の抜き方とかうまくいかなかったら臭いお肉になっちゃって、ジビエってあんまおいしくないじゃんとか感じてる人もちょこちょこいたりするんで。

柿次郎:
食べたときにそんなにおいしくなかったら二度と食わないですもんね。

菅田:
しかもちょっと高いとかなると。「えっ」てなっちゃう人は多いです。


*****Dooo*****

おススメの狩猟本

柿次郎:
なんとなく狩猟に興味を持った人がもっと知りたいとかなったときのオススメの本とかありますか?

菅田:
千松さんて方の・・・

柿次郎:
京都の?

菅田:
京都の。『僕は猟師になった』っていう本があるんですけど、あれはやっぱ見ておくべき本。

猟師になりたい人は。あの本はすごく読みやすい本だし、千松さん自体は京都大学を出られてるんで、面白い。

柿次郎:
文章が。

菅田:
「えっ!京大出て猟師になったの?」みたいな感じでいろいろ読めますし、具体的にイメージを持つ上であの本っていいんじゃないかな、っていうのがあったりとか、もっとハードル低く行くと・・・

畠山千春さんの『わたし、解体はじめました』という本があるんですけど、ああいう本とかはやっぱ読みやすくて、アウトドアだったり自給自足だったり食について興味関心を持ってもらうためにいいんじゃないかなと思います。あとブログ読むのがいいですね。

千春さんに関しては。写真とかもきれいに撮ってますし、見てるだけで面白いし、なんといってもコメント欄が面白いんで。そこはやっぱ見てもらいたいですね。

柿次郎:
『マタギ』っていう漫画とか3、40年前の漫画なんですけどそうそうそれを去年くらいに買って、文庫版で新装されたんですよ。

いろんな民俗学的な知識を漫画で表現していて、ああいうところから入るのって漫画好きだったら・・・

菅田:
漫画はいろいろ入りやすいですし、それだったら『山賊ダイアリー』とかも。

柿次郎:
そっちがありましたね。

菅田:
あれは、僕は狩猟免許取る前もたぶん読んでた漫画ですし、あれは面白いですね。

柿次郎:
今いろんな入口が増えてはいますよね。

菅田:
そういう意味ではありがたいというか、ブームになってるんだな、というのは感じてはいますね。でも免許取ったところで、狩猟実際にやるっていうまでのそこの道がまだ全然ないから。そこまでをどうにか作れないとなと思いますね。その中間地点。

柿次郎:
その時は連絡したら「あ、今度このワークショップあるよ」とか「オーナー制度から始めてみませんか」みたいなある意味窓口に・・・

菅田:
狩猟体験事業みたいなのをやり始めたばっかりですけと、そこはどうにかそういう人たちの受け皿みたいなものを作れたらいいな、っていうのは今考えてるところです。

*****Dooo*****

目指すのは2拠点生活

柿次郎:
大学4年生でこれから就職して東京のでっかいビルで働き始めたら、山との距離がこう・・・

菅田:
そうですよね。そこはやっぱりちょっと。

柿次郎:
そこはどうするんですか?

菅田:

東京とそれこそ小田原みたいな田舎みたいなところを両方知ってるっていうのは都会の人にもいろいろいえるし、田舎の人にもいろいろコミュニケーションできるし、みたいな関係になっておくことが大事なのかな、っていうのは思うんで、東京のビルとかで働きつつ、住む場所は小田原で、狩猟をやりつつ、働きながらっていうのができたらいいかな、っていうのは今考えているところです。

柿次郎:
それめちゃくちゃ大事だと思います。僕も2拠点してますけど、

東京に10年くらいいて、長野に住み始めて、いうても町中の方なんですけど、頻繁に山の方にいったりとか取材でおじいちゃんおばあちゃんの話を聞いたりしてて、たまに東京来ると、東京すごって思う。当たり前なんですけど。「楽しい」という言い方もできますし、どんどん満員電車のストレス値があがったり、高層ビルにみんなが「わー」って吸い込まれていって、朝の出社時間にエレベーター待ちで行列できるとかあるじゃないですか。ああいうの見ると「ああなんでこうなっちゃったんだろ」みたいな。外の視点だからえって思ったりする。両方の価値観を知るっていう。ただ両方の東京の価値観と田舎の価値観を常にとらえ続ける、こっちとこっちぐるぐる動いているんで、真ん中に立つのはすごくダイナミックで大変。だからこそ価値があるって言っていて、そこに気づいてる。もうやりましょう。めちゃくちゃビル100階くらいの一番上の方で働いて、極端に、小田原に帰って山に入る

菅田:
いや、めちゃくちゃやっぱ大事ですよ。違和感なくなっちゃいますからね。ずっと東京に働いてたりすると。考えるフックみたいなものがなくなっちゃうし、たぶん田舎にいてもたぶんまったく同じで、ずっと田舎にいてもそれに慣れすぎちゃって、たぶんどれが普通だったか、どんな生活を自分がやってたかとかわかんなくなっちゃうし、田舎の課題点とか見えてこなくなっちゃうんじゃないかな、って思うから、そういった意味でも2拠点生活はいいかな、って。

*****Dooo*****

最近気になるニュース

柿次郎:
最近気になってるニュースを何か。

菅田:
最近何か外務省の人とおしゃべりする機会があって、その人が滅茶苦茶べらぼうに面白い人で。その人が「外務省、最近ユーチューバーとコラボしたんだよね」って話を言ってて、見てみたらすごい面白い企画で、ユーチューバーの人がその外務省が色々今動いてるSDGs(持続可能な開発目標)だったりとか、気候変動みたいな話についてをすごい分かりやすく色んな人が触れやすいようなコンテンツを作ってくれて。

「二人組でどれだけ太陽光の電気を集められるか勝負してみた」みたいな感じで「どこに行ったら太陽光集められるかなー」って言って、

一人は「富士山の一番上まで行けば太陽に近いからいいんじゃないか」って言う人と、

あとは「いや、沖縄っしょ」みたいな。沖縄でグダグダしながらもうビーチみたいな感じでやるみたいな、その対比構造だったりとかすごい面白くて。

こういう風なことをきっかけに電気について考えたりとか太陽について考えたり気候変動について考えるって、こういうやり方があったかみたいな感じで。僕ユーチューバーとかあんま好きじゃなかったりとか、外務省とかも堅苦しいからあんま好きじゃないなと思ってたんですけど、そことそこがコラボしているっていうのもまず面白いし、何か見てみたらユーチューバーにも親近感沸くし、外務省にも親近感沸くしって言う感じの中で良いとこずくめの物になってて、これ滅茶苦茶学べるというか、学ばないといけないものだなって言うのはすごく思ったっていうのは、自分として気になるニュースですかね。


気になる人 岸本華果さん

柿次郎:
こいつかっこいいなとか、先輩でもこの人すごいんで是非喋ってほしい
みたいな。狩猟の世界じゃなくても何でもいいです。尊敬してる人。

菅田:
会ったことない人でメッセージとかもやり取りしたことない人なんですけれども、東大の農学部の4年生かな、の人で岸本華果(はるか)さんっていう
人がいるんですけれども。

その人は食料廃棄にすごい興味を持って、それどうにか出来ないかってうことで、まあ一番興味がある物として選んだのが恵方巻ロスどうやって減らせるのかって言うのを略して「えほロス」って言って署名を集めるみたいな活動をし始めた大学生がいて。

食料廃棄どうやったら恵方巻なくせるかみたいなことについて署名をいっぱい貰って、それを農林水産省とかに提出したりとか、全国の生協のリーダーみたいな人に提出したりとかスーパーとかいろんなところに提出したりとかして。

まあ一番興味がある物として選んだのが恵方巻ロスどうやって減らせるのかって言うのを略して「えほロス」って言って署名を集める、みたいな活動をし始めた大学生がいて。食料廃棄・・・どうやったら恵方巻なくせるかみたいなことについて署名をいっぱい貰って、それを農林水産省とかに提出したりとか、全国の生協のリーダーみたいな人に提出したりとかスーパーとかいろんなところに提出したりとかして。

柿次郎:
すごい活動っすね。

菅田:
すごい活動で、大学生の一人がそういうの活動してるってすごい熱いというか、めっちゃすごいなっていう風に思って、しかも食料廃棄っていうところで頑張ってる大学生ってことで何か似たところは感じるんで。

柿次郎:
最近ね、同世代のね、同じテーマで取り組んでる人たちがもっと繋がりを持って頻繁に会っていけたらもっとより大きなダイナミックな活動ができますよね。

菅田:
そうですよね。何か一緒にそこでコラボしたら面白そうですよね。

*****Dooo*****

モチベーションは“違和感”

柿次郎:
まあ同世代というか、まあ同じように大学生とか、これから社会に出る、こういうことに興味持って大学生活送ると楽しいかもとか、色んな生き方とかやり方あると思うんですけど、実体験的に何かあれば。

菅田:
自分が食料廃棄について興味持ったきっかけにもなったし自分が色々活動するモチベーションにもなってるものって「違和感」なんじゃないかなって思って。何か「違和感」ってすごい重要なことなんじゃないかなって思って

ちょっとした何かモヤモヤだったりハテナみたいなものを言語化して、それをメモしてみて、それについて実際にやってみるみたいなものをひたすらやってきたから自分が食料廃棄問題見つけて色々きっかけとかも見つけて行動することが出来たんじゃないかなって思ってるから。

柿次郎:
Doooに繋がったわけですね。

菅田:
そうなんですよね。なので・・・

っていうのはすごい重要なんじゃないかなっていう風に思ってるし、よく言ってる話なんですけど違和感って一回放置とかしちゃうとどんどんどんどん放置が溜まっていくんですよね。違和感がもうどんどん鈍感になってわかんなくなって、どんどん違和感が溜まっていってるはずなのに、何かそれが当たり前になっちゃって、自分が何に興味があるかとか自分が何をしたいかだったりとか何か段々分からなくなってきちゃうんじゃないかなっていう風に思うんで。ちょっとした違和感も見逃さないっていうのがすごい大事なことなんじゃないかなっていう風に思って、そこをすれば色々自分に納得を持って色んな活動ができると思うし、納得を持って色んなことを考えたりすることが出来るんじゃないかなっていう風に思うから、何か大学生活とかもすごい楽しい生活になると思うし、社会人になったところで何か自分って言うのを見失わないためにも大事なんじゃないかなってのはすごく思います。


柿次郎:
めっちゃいい話ですね。

菅田:
あざっす。

柿次郎:
特にまあ令和になったっていう所と、その社会の変化が滅茶苦茶激しいじゃないですか。違和感多分滅茶苦茶増えますよね、これから。なんでだろうみたいな。なんでこういうことが普通に行われてるんだろうみたいな。多分ね、時代的に違和感を見つけやすくなるし、違和感があって声を上げたら助けてくれる大人も滅茶苦茶多分、まあそれはメディアを使ったりとかね。ツイッターで直接DM送れば、千春ちゃんみたいに会いに行けたりするので、フル活用ですよ。その違和感をちょっとずつ。

菅田:
違和感についてすぐ解消できるような何かアプローチ方法だったりとかやり方があるってすごい良い時代というか。今だからこそできる。でもやらないと逆に違和感が溜まってくみたいな感じだからそこはまあ諸刃の剣みたいな感じではありますけど。言語化とかメモするって言うのはすごい大事なんじゃないかなっていうのは思いますね。僕でも違和感とか忘れちゃうので。何か思ったこととか感じたこととかすぐメモするようにしてて、何か一日10個くらいは多分メモしてるんですよ。

柿次郎:
え!?違和感メモすごい。

菅田:
そうっすね。違和感メモみたいなのがあるんで、今Evernoteとメモアプリ溜まってて、今メモアプリが3500件溜まってて、Evernoteも多分2000件ぐらいはあるんで、だからまあ今6000弱ぐらいメモが溜まってるんで。

柿次郎:
違和感のメモが。

菅田:
違和感のメモが溜まってるんで。何かそうしたものを振り返ったりだったりとか、そこを忘れないための手段みたいなものになるんでそこは大事なんじゃないかなって。

柿次郎:
そっか結構それ中々違和感っていう言葉で言語化して活動に移してきたからこその何か説得力すごいありました。

菅田:
いや、ありがたいですそういうこと言ってもらえると。


柿次郎:
それをまたDoooに繋げてもらえたらね、この番組出た意味があるといいっすね。ありがとうございます。

菅田:
ありがとうございます。


【前編はこちら】