台風19号【岩手】震災乗り越えた三陸鉄道、再び被災(11月5日 JNNニュース)
岩手県では、東日本大震災を乗り越え、運行を再開した三陸鉄道が再び広い範囲で被災し、完全復旧のめどが立たないままとなっています。
佐藤将幸 記者:
「こちらでは流れ込んだ水で線路を支える土台が流されて、線路が宙に浮いてしまっています」
岩手県の沿岸部を南北に走る三陸鉄道。台風19号の豪雨により線路に土砂が流れ込んだり、路盤が流失したりして、およそ7割の区間で運休が続いています。(この放送のあと、宮古ー津軽石間で運転再開済み。12月28日には田老ー田野畑間で運転再開予定。2020年3月20日に残りの全区間で運転再開予定)
1984年に開業した三陸鉄道は、地域住民や観光客の足としての役割を果たしてきました。2011年の東日本大震災では、駅舎や線路が流される被害を受けましたが、2014年に全線で運転を再開。
2019年3月には・・・
JR山田線だった宮古~釜石間の33キロを譲り受け、第三セクター鉄道で、全国で最も長い163キロで新たなスタートを切ったばかりでした。
(2019年3月撮影のインタビュー)
台風19号の豪雨で被害を受けた場所は、線路が77か所、電気設備は16か所におよびます。
運休区間では、バスによる代行輸送が行われていますが、利用者は鉄路の早期復旧を望んでいます。
三陸鉄道は復旧作業を急いでいて、年内までにさらに一部区間で運転を再開する方針です。
しかし、全線での運転再開のめどは立っていません。
震災を乗り越えた矢先の台風被害。道は険しくとも地域の足の完全復旧に向けて、懸命の作業が続きます。
取材後記
佐藤将幸 記者(IBC)
震災を乗り越えての全線運行再開や2019年3月のリアス線開業と三陸鉄道の節目節目を取材してきた立場として、今回の台風19号による三陸鉄道の被害は我が身を傷つけられたような悲しみを感じました。
放送のあと、一部区間で運行を再開した現場の取材をした際、駅のホーム学校に通う高校生たちであふれんばかりとなっている場面に遭遇しました。車両内では参考書を広げて受験勉強をする姿も。三陸鉄道は彼らの日常なのだと改めて実感しました。
地元住民の足としてだけでなく、岩手を訪れる人たちの「観光地」としての役割を果たしていた三陸鉄道。あの大震災を乗り越えられたのだから今回も必ず立ち上がってくれる。そう信じて取材を続けていきたいと思います。
【放送されたVTRはこちら】