解離と断片化された「わたしたち」
このタイトルを見ただけで私が今から何を語ろうとしているかが分かった方は、かなり心理学に精通されている方でしょう。
本日は「解離」のテーマです。精神疾患やメンタルヘルスについてよく知っている人は、解離というものがどんなものなのか、よくわかっているでしょう。
解離とは、感情や思考、感覚など本来統合されている一つの塊を脳がバラバラにしてしまう現象と言えます。
例えば、頭ではショッキングな出来事について理解しているのに、感情が麻痺していて、平然とショックなことを語れる、なんてことも臨床をやっているとよく見かけます。
これも解離の一例です。
解離には三つのステージがあります。一つは感情の麻痺、二つ目は自分の中に別の人格を作り出して辛さを背負わせる、三つめは、作り出した別の人格が勝手に動き出してしまう、いわゆる多重人格状態の三つがあります。
臨床をやっていて最も多く見かけるのは、ステージ2の状態です。
多重人格というほどではないけれど、自分の中に別の存在を感じる、催眠を用いると別の人格に出会うことができる、そんな状態です。
これが「断片化された私たち」になるわけです。
不思議なことに、この断片化された私たち(パーツ)の感情は主人格に影響を与えます。パーツさんたちが辛いと主人格も辛くなりますし、パーツさんが不安だと主人格も不安になります。
このパーツを最近はインナーチャイルドなんて呼び方をしているようですが、正式にはこれらは「自我状態」と言われるものです。
ま、言い方にはそこまでこだわらなくていいわけですが、要するに複数の私たちが自分の中にいると、わけのわからない辛さが出てきます。そして、自我状態をきちんとケアすると長引いていたうつが改善したり、感情が安定したりすることがあります。
不思議ですよね。
うつが長引く人、わけわからない辛さがある人、言葉にならない苦痛や不安に悩まされている人、そんな人たちは、実は自分の中にある別の存在達のせいで大変な思いをしているのかもしれません。
そんな時は、自我状態療法が非常に有効です。
自我状態療法|一般社団法人 Ego State Therapy Japan (EST-J)
最近よく「インナーチャイルドを抱きしめてあげましょう」なんていう怪しいセラピスト?も見かけますね。
あまり信用しないでください。安易にその人たちを抱きしめると、フラッシュバックを起こすこともありますし、あなたの中にいるその人たちは人間不信のせいで、抱きしめられることを拒否するかもしれません。
抱きしめるのは最後の締めの作業です。いきなりそんなことをさせるセラピストは信頼なりません。
まずはきちんと「その人たち」の苦痛度を測り、年齢や性格をチェックし、そのうえでどうすればいいのか決めていきます。
自我状態療法もそんなに簡単ではありません。
適応障害やうつ病と診断されていたり、声が聞こえるということで統合失調症の診断がついている人も、もしかしたら「その人たち」の影響による「解離性障害」だったなんてことも少なくありません。
精神科や心療内科では誤診されてしまうこともあります。特に心療内科は解離性障害に詳しくないお医者様も少なくありません。
長引くうつ、繰り返す適応障害、統合失調症と言われているけれど薬が効かない、そんな時はぜひ一度お話伺わせてください。
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