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タイワンタナゴ(台湾石鮒)が棲む水辺へ 3日目〜雨の新北、短時間勝負〜【台湾タナゴ遠征】

予報外れて雨の最終日

ホテルを出ると、雨だった。松山駅前の道路はしっかり濡れていた。

予報では朝6時頃までに止むことになっていたのだが、7時を過ぎてもしとしとと降り続いていた。すぐ止むかもしれないからと、予定通り新北の公園へ。

池最寄りのMRT駅を降りても、雨は降ったまま。駅のコインロッカーにスーツケースを預けて行こうかと思っていたのだが、池の横まであえて引いていった。スーツケースの空きスペースに濡らしたくないものを入れられるからだ。どのみち駅から池まではたいした距離ではない。

池に到着。前日とまったく同じ足場から釣りをしようとしたら、風で浮き草の位置が変わっている。全長120cmの幸釣二三四で届く範囲のポイント、前日にタナゴの群れで真っ黒だったポイントは浮き草に覆われてしまった。雨の影響で水位や水色に変化があるかもしれないとも思っていたが、その点はあまり変わらないようだった。とはいえ、近くにはいるはずだ。浮き草の穴を狙うか、長い竿を出して外側を狙うか。普段あまり出番がない、約2.7mまで伸びる幸釣七八九を出し、まず外側に仕掛けを入れてみることにした。

最初はあまりアタリがないが、少しエサをまいてみたり仕掛けを上下させたりすると何かが寄ってきた。ウキがゆっくり沈み、居食いするようなアタリで掛かったのは、案の定グラミー。

少しウキが沈んで、そのままあまり動かないようなアタリはグラミーのことが多い。SNS上の熱帯魚好きの皆さんによると、どうやらスリースポットグラミーと呼ばれる種類のようだ。魚体に点が2つあり、目と合わせると3つスポットがあるように見えるからスリースポット。図らずも本来はペットとして知られるはずのグラミーのアタリに詳しい日本人の1人になってしまった。

次に小ティラピア。なかなか本命の居場所が見当たらないのと、長竿用の仕掛けはウキが大きめで浮力設定も大ざっぱなままだったので、細かいアタリがとりづらかった。

雨の台北。旅の拠点とした松山駅周辺を後にした。
帰国の準備をして、MRTでいつもの池へ。
グラミーが元気。長竿で浮き草の外側に仕掛けを通すと、次々アタリがあった。
小ティラピア。


タイリクバラタナゴの居場所を発見

浮き草の外側は他魚ばかりだったのもあり、竿を普段の幸釣二三四に戻して、ウキがゆっくり沈むシモリバランスに設定した仕掛けに、掛かり重視の極端な形状のハリの組み合わせで浮き草の穴やエッジを探ってみた。

すると、豆バラが1尾釣れ、その後徐々にアタリが多くなっていった。少し風があったが、風で仕掛けが流れずにゆっくり沈めていけるようなスポットがいいようだった。

きれいな婚姻色が出たオスも釣れた。タイワンタナゴを求めてやってきた今回の旅だったが、タイリクバラタナゴの美しさを再認識させられた。

国際線は出発3時間前までに空港入りしたい。名残惜しかったが、10尾ほどタナゴを釣ったところで、今回の釣りは終了。空港に到着した頃、遅れて顔を見せた青空が私を見送ってくれた。

いた!タナゴだ!豆バラを釣り、周辺を探る。
タイリクバラタナゴを追加。浮き草の穴の中というより、外側のエッジにいたようだ。
発色が美しい。
なんとか10尾くらい釣って、納竿とした。


台湾タナゴ遠征のいいところ

台湾は漢字表記が日本に近く、看板や飲食店のメニューなど日本人でもなんとなく意味がわかることが多い。これが大陸側の中国だと、略字のようになっていて(簡体字)、おそらくは漢字が複雑すぎるといろいろ大変だから(?)略したんだと思うが、日本人にとっては逆に読みづらかったりする。MRTは日本語のアナウンスもある。MRT移動しているときは、外国に来た感じがあまりしなかった(日本でも中国語と韓国語のアナウンスはある)。なお、台湾の皆さんはおおむね人柄もおだやかだ。

また、地下鉄移動で行ける範囲内にいくつもタナゴポイントがあるのも素晴らしい。台北市民がフル活用していたレンタサイクル(電動あり)も使えれば、さらにポイントはあった。水元公園や淀川など東京や大阪にもタナゴポイントがないことはないが、台北では私のようなよその国からふらっと来た人間が手軽に釣りができて、しかもよく釣れた。また、仮に大陸側でタナゴをイチから探そうとしたらかなり壮大な話になってしまうだろう。タナゴ釣り師は新北の公園にはいたが、それ以外では見かけなかった。人的プレッシャーや釣獲圧にはあまりさらされていないようだ。

メインの目的が台北観光だとしてもついでの釣りで十分楽しめると思うし、1泊2日の弾丸日程でもいけなくはない。バラマンディ釣り堀やライギョ釣りなどほかの釣りと組み合わせて、例えば早めに到着する便を選んで着いた日に楽しむとか、帰る前にちょっと竿を出すとかでもよさそうだ。

「旧字」や「常用外漢字」のような表記も多いが、なんとなく意味はわかる。言葉の壁は薄め。


小物竿は最強のトラベルロッド

今回改めて認識したのはタナゴをはじめとした小物釣り用のノベ竿のコンパクトさ。念のため長さ別に4本持っていったが、それでもほとんどかさばらない。折りたたみ椅子の方がよほど荷物だった。エサも初日に混ぜた激グルにんにくの分包1袋で3日間足りてしまった。

しかも、エサ釣りだから必ず何かしら釣れる。今回はタイワンタナゴ、タイリクバラタナゴ、グラミー、ティラピア、フナ、小さなハゼなどが釣れた。せっかく海外まで行って、ルアーにこだわりすぎて何も釣れなかったらさみしい。かと言って絶対釣りたいからとみっちりガイドを受けるのもなんとなく性に合わない。そんな私のような人間には非常に合っている。

都会のすみっこの池で釣り糸を垂れる夢のような4日間だったが、唯一の心残りはタイワンマスを見に行けなかったこと。本来、台湾行きの目的の半分はタイワンマスだった。しかし、旧正月と日程がかぶってしまったことで断念せざるを得なかった。本当なら、レンタカーを借りてタイワンマスの生息地にある施設「観魚台」まで行くつもりだった。そのために免許証の中国語訳も取得していたのだが、年に一度の超大型連休、多くの台湾の人が実家に帰る時期、混雑が予想される中で、しかも初の外国での運転をトラブルなくこなす自信がなかった。近いうちに再訪したいと思っている。

気持ちばかりが焦って急いでホテルを出てきたため、この日最初の食事は空港。牛肉麺を食べた。山椒が効いていて、肉も大きかった。
チャイナエアラインの機内食は牛肉飯。朝昼ともに牛肉に…。

(了)

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