【サケ有効利用調査】調査名目で行うサケ釣り
特別な許可を得て実施する「調査」を名目としたサケ釣り
河川を遡上するサケを捕ることは水産資源保護法で禁止だ。漁業の免許を受けた漁師だけが獲ることを許されている。その上で、別途漁業法には特別な許可に関する記述がある。新潟県での有効利用調査は新潟県知事による許可を受けた上、サケの資源量などの「調査」を名目として行うものだ。ただの釣りではなく、普通の釣りとは異なるルールがある。このルールは川によって違いがあるが、採卵に利用するメスザケを持ち帰ることができないのは概ねどの川も同じようだ。
基本的に事前申し込みのみ
三面川はメールやファックスで申し込み、当選者に書類が送られてくる。調査参加料支払いは当日受付時。
荒川はネットでの申し込み。メールで抽選結果が知らされ、当選していたら銀行振り込みで事前支払い。悪天候で中止になった場合のみ払い戻し。
基本的にはどの川も事前申し込みのみだが、荒川は枠が余っている日のみ2次募集を行う。私は2023年は2次募集で参加した。
面白さとデメリット
日本人、特に新潟県民にとってサケは特別な魚である。
大型の魚とのやりとりを楽しめる点はよさのひとつ。また、普通には釣ることができない特別な魚を釣ることができる。遡上魚の釣りであり、ある程度の実績ポイントはあるものの、天候や水位などをもとに魚の動きを読む面白さがある。
デメリットとしては、気軽に挑戦できない点。思い立った時に川へ向かうような釣りが好きな人には向かない。申し込みは夏の終わりに始まり、実際の釣りは1ヶ月以上先。その時点では予定が見えていないことも多いだろう。
遡上が極端に少ない、単に食いがシブいなどといった時に、「隣の川へ移動しよう」みたいな臨機応変な行動が一切できない。中止になった場合は代替日程での参加もできるようだが、ギリギリ中止にならないような悪天候の際は基本的に釣りをせざるを得ない。
また、調査参加料は1日5,000〜7,000円。管理釣り場と同額〜少し高い程度だが、渓流釣りに比べれば高額である。どんなにサケ釣りが好きでも、シーズン中毎週行ったらすごい金額になってしまう。
持ち帰れるのはオスザケのみ
調査で捕獲したサケは増殖に活用する。メスザケは採卵をするため生かしたまま有効利用調査委員会に託す。イクラをお土産にしたい場合は購入しなければならない。
オスザケの精子はそれほど必要がないのか、川によって尾数の違いはあるがお土産として持ち帰り可。
また、川を遡上してくるサケは基本的には海で獲れたものと比べると脂のノリなどの面ではどうしても劣ることが多い。食味を重視するなら区間最下流で、海から遡上したての個体を狙い撃つ。
釣法は「竿釣り」のみ
ノベ竿を用いたエサ釣りの人が多いが、ルアーやフライ(毛バリ)も可。
ルアーにはサンマの切り身などエサをつけてもOKで(三面川と荒川では問題ないことを確認済み)、釣り方は自由すぎるほど自由だが、報告書に記載する必要がある。荒川では「ルアー餌」という項目がしっかり用意してある。
ミノーやビッグベイトなどで勝負したい気持ちもあるが、食いのよさの面ではサンマの切り身があった方が圧倒的にいい。そして、刺し方次第では意外とスプーンの動きも損なわない。
新潟県内は3河川
下越北部の鮭のまち村上の三面川。
水質3年連続日本一の清流荒川。
金物の町三条を流れる信濃川支流の五十嵐川。
新潟県内では3河川でサケ有効利用調査を楽しむことができる。三面川と荒川は割と歴史が長く、五十嵐川は比較的最近始まった。ちなみに、五十嵐川はいからしがわと読む。
他にも2023年秋は魚沼地方を流れる名川、魚野川でも実施されたが不漁により2024年は中止になった。日本海からはるばる100kmも川を遡上してくるサケに出会うため、多くの人が夢を見に魚野川へ向かった。しかし、結果としてはかなりきびしかった。特に期間前半は遡上が少なく、実際、私も参加したが何もなく終了。今年の組合員による調査ではそれなりに釣れているようなので、2025年の一般調査再開に期待。