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39歳父の竹修行奮闘記 第十回「竹で風車を作れ」

【前回までのあらすじ 】
39歳でひょんなことから別府で竹細工を学ぶことになった私。竹細工をする上で、とにかく大事な材料作りであるひご取り。竹を割って、剥いで、幅を揃えて、面を取って、うらすきで厚みをそろえて、とうとうひごが出来上がった!

いよいよ出来上がったひごで、モノを作る!

と、その前に、竹ひごについて補足説明をしておこう。

妻に指摘されてはじめて気づいたが、普通に生きている一般の人々は「竹ひご」と言った場合、以下のようなものをイメージするらしい(ごめんなさい知りませんでした)。

こういうのは丸竹ひごと言うそうで、通常竹細工ではあまり使われない。竹細工で「竹ひご」といった場合は、平らな状態に加工された平竹ひごを指す。

この説明を最初にしておかなければいけなかった。誤解や混乱を招いていたら申し訳ない。

さあ気をとりなおして、できあがったひご(平竹ひご)を使って、風車(かざぐるま)を作る!今回作る風車は、実際に売られているれっきとした商品だ。価格はミニが200円、小が600円。内職のおばあちゃんがすさまじいスピードで作っていたが、こちらも後継者不足に悩んでいるらしい。というか、価格安すぎる。

作り方については、ここでは詳述しない。「竹」「風車」でググっていただければ、Youtubeの動画も含めて、いくらでも作り方を教えてくれるからだ。

とはいえまあせっかくなので、簡単に紹介しよう。まず4本のひごを右回りに上に重なるように置いて、固定する。

そして、下の左から順に反時計回りに①~⑧の番号をつけるとすると、まず①~④の順に上に曲げて重ねていき、⑤は①の下へ、⑥は②の下へ、⑦は③の下へ、⑧は④の下へ、①は⑤の下へ、②は⑥の下へ、という感じで組んでいくと、以下のようになる。

これを少しずつ絞っていけば、丸い形ができあがる。感動だ。

そして余分なひごをカットして、四角にカットしておいた和紙を貼る。ナチュラル志向の人はクラフト紙を貼ってもいいかもしれない。

そして火曲げ(火で炙って曲げる加工)した細い竹の先に通して、木製ビーズを先に固定したらできあがりだ。

たった4本のひごから、こんなかわいい風車ができあがるなんて、まるで魔法のようだ。しかもひごから自分で作ったとなれば、感動もひとしお。39歳のおっさんが風車をきゃっきゃ言いながらしきりに吹いて回している。それにしてもよく回る風車だ。

竹ひごから自分で作った風車がくるくる回るだけで、こんなにも嬉しい。

私は竹細工職人を志す、というよりも、将来的にはもっと広く一般の人に竹細工の魅力を伝える伝道師(かっこよすぎるか)のような仕事をしたいと考えている。もちろん専門的で高度な伝統技能を継承していくことも大事であるとは思うが、一部の職人のみがその技能を占有する世界が豊かだとはあまり思えない。

そもそも竹細工も、かつては一般家庭で広く行われていた、いわばありふれた仕事だった。それがプラスチック製品の普及によって急速に失われ、「伝統工芸」という技術と品質を重視した高級路線を選択した(選択せざるをえなかった)こともあって、いつしか技能が専門家(職人)に占有されてしまった。

だが職人の仕事や技能が本当の意味でリスペクトされ、技能が継承されていくことを望むのならば、その仕事自体が身近な存在であった方がいいと私は思う。竹細工を家でやっているからこそ、職人の仕事が全く別次元のレベルで行われていることがわかる、というように。

そんな意味で、単発のワークショップの開催は、取っ掛かりとしてはハードルが低く、気軽に体験してもらえていい。今回作った風車も、いつかワークショップを開催したいと思っている。

そしてゆくゆくは竹道場を作れないかと夢想している。教室ではなく道場。趣味と仕事の間。いわゆる「お教室」のように指導者が教え、生徒が教わる、という固定された関係ではなく、先に教わった人が教え、それぞれの得意を生かしながら、そこに関わる人全員でモノ作りを行い、それを顔の見えるお客さんに売り、関わった人には相応の対価を払う。そんな場が作れたらきっと楽しいに違いない。いつになるか全くわからないが。

さあ次回からいよいよ第一課題「六つ目編み盛りかご」に突入予定!一体どんな苦難と喜びが待ち受けているのか?!乞うご期待!

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竹遊亭田楽
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