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39歳父の竹修行奮闘記 第十五回「竹から宇宙が生まれる!輪弧を組め!」

【前回までのあらすじ 】
39歳でひょんなことから別府で竹細工を学ぶことになった私。竹細工をする上で、とにかく大事な材料作りであるひご取り。竹を割って、剥いで、幅を揃えて、面を取って、うらすきで厚みをそろえて、とうとうひごが出来上がる。まず風車と四海波かごを作って、第一課題「六つ目編み盛りかご」が完成。次の課題は...

いよいよ今回から第二課題「鉄鉢(てっぱち)盛りかご」に入る!

「鉄鉢盛りかご」は、かの有名な竹細工界の至宝、そして別府の誇る人間国宝である生野祥雲斎(しょうのしょううんさい)が考案したと言われる、竹細工の一時代を築いた由緒正しきかごだ。

鉄鉢盛りかご

まずは、今回のかごの胴部分となる輪弧(りんこ)を作ってみよう!

用意するもの
・輪弧立て
・編みひご 30本
(今回使用したのは、長さ520mm、厚さ0.6mm、幅6mmの身竹)

まず下のような輪弧立て(りんこだて)という道具を自作する。

今回は6本立てなので、6本のものを用意する。13cm~18cmまでそれぞれ1cmごとに長さの違うひごを、輪ゴムで1本に束ねる。厚さは0.5~0.8mm程度、幅は4~6mm程度でいい。特に厳密な決まりはない。

では早速組んでいこう!前回と同じように、赤いひごが現在説明している手順のひごだ。まずは1本目。1本目は5すくい、1おさえだ。

おさえ(おさえる)対象のひごの上を通ること
すくい(すくう)対象のひごの下を通ること

はずれないように左手で支えながら、2本目を差し込む。

2本目以降の規則はずっと同じだ。5すくい、2おさえ。この数字さえ間違えなければ、問題なく組んでいける。

3本目。

4本目。

5本目。

6本目。

折り返し地点の15本目。

ラストの30本目!

ここで、最後のひごを押さえていた左手から、右手に持ち替える。

ここからが若干ややこしい。下の図のように、輪弧立てが差し込まれているのと同じ隙間に、最後のひごを1本ずつ入れていく。

ここで確認しよう。組んできた部分の短い方のひご(右上がりのひご)は全て2おさえになっているはずだ。

しかし最後に差し込んだ部分だけは、2おさえになっていない

なので、全ての短いひごを2おさえにしてやる必要がある。まず、対象の長いひごの束を左手で持ち上げる

そして、短いひごを2本だけ残して、それ以外の束を右手で持ち上げる。

ここからは同じことの繰り返しだ。つまり左手のひごを1本落として、

そして右手で短いひごを1本持ちあげる

これを繰り返していくと、以下のような状態になる。

そして、輪弧を均一に締めて、真円に近づけていく。

最後に、短いひごを引っ張って、長さを揃えてやる。

輪弧(りんこ)の完成!

竹細工の技法書でも、あまり輪弧は紹介されてないが、規則さえ覚えれば組み上げるのはそこまで難しくない。

ただ今回は幅の広い身竹(表皮なし)を使っているので組みやすいが、第二課題の本番のひごは、幅2.5mmで表皮があり、しかもひとつの輪弧でひごは40本。

起きやすいミスとしては、おさえ&すくいの数え間違い。そして、重ねていくひごが、気がついたら上下の順番が変わってしまっていることがある。必ず新しいひご今までのひごの下に入れていく。

節の向きや位置に関しても細かい決まりがあるが、ここでは特に触れない。まずは直線から円が生まれる、竹から宇宙が生まれる、その感動を、みんなにも体験してみてほしい。

次回は今回より更にややこしい「輪弧合わせ」だ!組み上げた2枚の輪弧の間に、底を挟んで、2枚をドッキングしていく。訓練生は混乱のあまり夢に出ることがあるほど難易度が高い、とか。

果たして首尾よく先に進めるだろうか。乞うご期待!

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竹遊亭田楽
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