39歳父の竹修行奮闘記 第二十四回「目指せ、竹取の翁!」
【前回までのあらすじ 】
39歳でひょんなことから別府で竹細工を学ぶことになった私。竹細工をする上で、とにかく大事な材料作りであるひご取り。竹を割って、剥いで、幅を揃えて、面を取って、うらすきで厚みをそろえて、とうとうひごが出来上がる。まず風車と四海波かごを作って、第一課題「六つ目編み盛りかご」、第二課題「鉄鉢盛りかご」が完成し、夏休みを経て、いよいよ二学期、第三課題「網代編み小物入れ」、第4課題「菊底編みバスケット」が完成し、家でも竹仕事をスタートした!
昨日クラスメートの住む古民家へ青竹を採りに行ってきた。
場所は別府市から車で30分ほどの宇佐市。英語にするとUSA。
あえてすべて大文字にしてるあたり、なかなか意図的なものを感じる。こんなに近くにUSA。
前回8月に採った分がほぼなくなったので、再度採りに伺った。
ちなみに竹には「採り旬」もしくは「切り旬」というものがある。竹を切るのは10月〜12月までがよいとされている。その理由は、この時期の竹にはデンプン質が少なく、虫が付きにくいからだ。
通常竹細工で使う竹は、しっかりと手入れの行き届いた竹林の竹を使うのがよいとされているが、私としては荒廃した竹林を整備する途上で出る竹材を活用したいと考えているので、今回も全く整備されていない急斜面に生えた竹を採る。
今回はひご用に2本、縁用に1本の竹(マダケ)を切る。ひご用は3年生〜5年生、縁用は1年生を採る。縁用はとにかく柔らかい竹が必要なので、今年の春出てきたばかりの若い竹を使う。
まず竹林に分け入って、なるべく太い竹をチョイスしてのこぎりで切る。倒したい方向とは180度逆側にのこぎりの刃を入れるといい。
切り倒したら、好きな長さに切っていく。今回は愛車のラパンに入る長さなので2.4m程度に切りそろえた。
ちなみに切ったばかりの状態はこんな感じ。左が縁用の1年生(新子竹)で右がひご用の3年生〜5年生だ。お分かりの通り、一年生の竹は青々としている。
長さを切りそろえたら、枝を払う。枝の払い方は、まず下の部分に切り込みを入れて、
枝を持って、外側の下方向に引っ張る。
こうすると少ない労力できれいに枝を払うことができる。枝を払ったら、竹の表面を洗う。洗う前はこんな風に汚れている。
これをスチールたわしでゴシゴシして水で洗い流す。
するとあら不思議。鮮やかな緑色が現れた。
これを少し乾かしてから、車に積み込んで、私の住むアパート(イエローフラミンゴ)の部屋へと運び込む。
ご覧の通り、全くもって普通のアパートの一室ですが何か。
竹細工の職人さんの場合、竹材屋さんから晒し竹(油抜きをしてある象牙色の竹)を仕入れている人が多いが、私の場合まず仕入れるお金が惜しい。そして何より、私がはるばる別府まで竹細工を学びに来たのは、「身近にある地域資源が活用できる」という点が極めて大きいので、そもそも「竹を買う」という選択肢は想定していない。
竹を切ったことのない人が恐らく多いと思う。一度切ってみるといい。一度だけでも、きっと「竹取物語」が生まれた理由をなんとなく感じ取ることができるはずだ。
竹林には、外の世界とは異なる、大気と音と風と時間が、流れている。
こんなことを言うと、スピリチュアル系と怪しまれるかもしれない。だが一度竹林に足を踏み入れてみれば体感できるに違いない。光る竹からお姫様が出てくるのが、そう現実離れした話ではない気がしてくる。
【おまけ】
今回、とにかく長い竹が欲しくて、長い竹をむりやり愛車のラパンに入れたところ、誤って竹がフロントガラスに当たり、大きなヒビが入ってしまった(泣)
フロントガラスの交換には最低でも五万はかかる、としょげ返っていたのも束の間、せっかくなので、サインペンでハロウィン仕様にして、再来年6月の車検まで楽しむことにした。
竹取の翁への道はかくも遠きものかな。
竹を運ぶ際には、フロントガラスにはくれぐれもご注意を。ちょっとの衝撃で簡単にヒビが入るので。
さあ採ってきた竹で何を作ろう。青竹はやはり色が鮮やかで美しい。そして採りたては竹の香りがするので、割り剥ぎしていてとにかく気持ちがいい(手もスパスパ切れて危ないが…)。
竹修行はまだまだ続く!