39歳父の竹修行奮闘記 第二十五回「NHVXを解読せよ!~亀甲編み~」
【前回までのあらすじ 】
39歳でひょんなことから別府で竹細工を学ぶことになった私。竹細工をする上で、とにかく大事な材料作りであるひご取り。竹を割って、剥いで、幅を揃えて、面を取って、うらすきで厚みをそろえて、とうとうひごが出来上がる。まず風車と四海波かごを作って、第一課題「六つ目編み盛りかご」、第二課題「鉄鉢盛りかご」が完成し、夏休みを経て、いよいよ二学期、第三課題「網代編み小物入れ」、第4課題「菊底編みバスケット」が完成し、家でも竹仕事をスタートした!
先週から第5課題の「亀甲編み平皿」がスタートした。
亀甲編みは以前に紹介した「六つ目編み」の親戚のようなもので、編み目はシンプルに見える。
だがいざ編んでみると、非常にややこしい。画像とテキストのみでレクチャーするのは不可能ではないかと思われるほどの複雑さだ。
だが私はこの連載で日本一分かりやすい編み方講座を目指しているので諦めるわけには行かない。
ちなみに「亀甲縛り」とは関係がない。SMや緊縛に詳しくないので、間違えてそれを求めてこちらを訪れた方には申し訳ない。
では早速編んでいこう。今までどおり、現在の手順のひごは赤色にして、見やすくしている。
1本目
右上斜めに置く。
2本目
1本目と平行に置く。
3本目
1本目をおさえて、2本目をすくって、左上斜めに置く。
4本目
1本目をすくって、2本目をおさえて、3本目に平行に差し込む。
5本目
1,3本目をすくって上から差し込む。
6本目
2,4本目をすくって、下から差し込む。これで中心の「かざぐるま」ができた。
7本目
1,2本目をすくって、上から差し込む。
8本目
60度反時計回りに回転し、右側2本をすくう。
9本目
60度回転し、右端2本と左端1本をすくう。
10本目
60度回転し、右端2本と左端1本をすくう。
11本目
60度回転し、右端3本と左端1本をすくう。
12本目
60度回転し、右上へ向かう右から2,3,番目と、左上へ向かう左から1,4番目のひごをすくう。
頂点のひごの上下を組み替える。これで2段目が完成。
13本目
右上へ向かう2,4番目と左上へ向かう1,3番目のひごをすくう。
14本目
60度回転し、右上へ向かう2,4,5番目と左上へ向かう3番目のひごをすくい、頂点を組み替える。
15本目
60度回転し、右上へ向かう2,4,5番目と左上へ向かう3番目の庇護をすくい、頂点を組み替える。
16本目
60度回転し、右上へ向かう2,4,5番目と左上へ向かう4番目の庇護をすくい、頂点を組み替える。
17本目
60度回転し、右上へ向かう3,5,6番目と左上へ向かう4番目のひごをすくい、頂点を組み替える。
18本目
60度回転し、右上へ向かう1,2,3,5,6番目と左上へ向かう4番目のひごをすくう。
頂点は2箇所組み替える。組み替え前。
組み替え後。
実はすでに規則性が現れていたが、説明の都合上18本目までは全ての手順を書いた。
19本目以降は少しずつ規則性を理解していこう。まず発見すべきは、NとHだ。
亀甲編み第一規則
N:「のっかる」のN。つまり新しいひごの上に乗る。
H:「はいる」のH。つまり新しいひごの下に入る。
19本目
Nをすくい、Hをおさえる。Hの左側のひごは全てすくい、Nの右側のひごは全ておさえる。頂点は組み替える。
20本目からは2つ目の規則が出てくる。
亀甲編み第2規則
V:すくって、すぐ横の1本のみをおさえ、それ以降はすべてすくう。
X:おさえて、すぐ横の1本のみをすくき、それ以降はすべておさえる。
※V、X共に一番端にのみ現れる
Vとそれ以降のひごのすくいとおさえ。
Xとそれ以降のひごのすくいとおさえ。
20〜23本目
Nをすくい、Hをおさえ、Vをすくい、その左側の1本のみをおさえ、それ以降はすくう。頂点を組み替える。
24本目
NとVをすくい、HとXをおさえる。Vの左側の1本のみをおさえ、以降はすくう。Xの右側の1本のみをすくい、以降はおさえる。
今度は組み替えが3箇所だ。組み替え前。
そして組み替え後。NとHが現れたことに気づけていたら、目が慣れてきた証拠だ。
そして最後の規則だ。
亀甲編み第3規則
組み替え時、Nの左上がりのひごは最後に離し、一番上に来るようにする。
3つの規則をしっかりと理解できていれば、8本目辺りから規則性を見出して編んでいけるので、手順を暗記する必要はない。
さあこれできっと誰でも亀甲編みができるに違いない!誰かぜひチャレンジして感想を聞かせてほしい。上手くできなかったら、クレームでもいい。
実は訓練校ではこんなハイカラな教え方はしていない。私が勝手に形をアルファベットにして、なるべくわかりやすく説明しようと工夫したに過ぎないが、その成果やいかに。
竹細工をやってる人、特に一度は亀甲編みを覚えたが忘れた人向けの備忘録としては、最高の資料になるに違いない。
シンプルに見えて実は複雑で美しい亀甲編み。先人はどうやってこんな編組技法を“編み出した”のだろう。新たな編み方を覚えるたびに、先人たちの遺してくれた知恵に敬服せずにはいられない。