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41歳父の竹修行奮闘記 第四十一回「房総竹部Youtubeチャンネル開設!」

早いもので、妻子を置いて別府に単身竹修行に出かけたのが一昨年2018年の4月なので、竹細工を始めて2年が経過した。

昨年2019年5月の自営スタートとともに「房総竹部」を立ち上げ、今や拠点は5つに達し、部員は50人を越え、私の竹をメディアにした「しごとづくり」は私の予想をはるかに超えて軌道に乗ってきていた。ウェブサイトも立ち上げた。

そこへきての今回の自粛の嵐である。

基本的に対面でのレクチャーをメインにしているため、部活動も参加を自粛する部員が多く、私としても楽観的に参加を促せる状況にはない。依頼が来ている製作の仕事(ランプシェード、パンかご、ラケット、背負いかご)については、ほぼ感染リスクなしで進められるのがありがたいところだが、やはりこの機会に今後への布石を打っておきたい。

ずっと気になっていたことがあった。

ひとつめ。部活動で部員たちに竹仕事のレクチャーをする際にとにかく大事なのが姿勢や動作だが、対面での実演はできるものの、家に帰ってからの復習に使える資料が用意できておらず、部員たちが自主的に撮影した画像や動画に頼りきりだった。

そしてふたつめ。Youtube上の竹細工関連の動画が「編み方」に偏っていて、その素材作りとなる「竹ひごの作り方」をレクチャーした動画が圧倒的に不足していた。最近入部した新入部員から「Youtube観てさんざんやったけど越えられなかった節が、部長のレクチャー1回で越えられた!」という声もあった。

房総竹部としてYoutubeを始めよう。

意思は固まった。

まず部員の復習用として。顔の見える部員たちのためなら私の水もののモチベーションも間違いなく維持出来る。

そして世の中に多く存在するであろう「竹細工難民」に向けて。家の周りに竹が鬱蒼と茂り、なんとか竹を生かせないかと考えている「潜在的竹人(たけんちゅ)」は少なく見積っても日本だけで20万人くらいは、世界に目を向ければ200万人くらいはいるに違いない。なんとか彼らの力になりたい。

みんなが家から出られないこんな時期だからこそ、ネット環境とデジタルデバイスが発達した今だからこそできるアプローチが間違いなくある。そして映像は遺る。この先、たとえ竹細工がついえても、復刻する際の一助となるかもしれない。

そして2020年4月15日、房総竹部Youtubeチャンネルを立ち上げた。

そして今日までに以下の8本の動画をアップした。職人にとっては当たり前すぎてレクチャーする気にならない些細なことまで解説している。

①竹を切り揃えよう

どんな道具を使って、どの部分を、どうやって切ればいいのか。案外誰も教えてくれないので、しつこいほど丁寧に竹の切り方をレクチャーしている。


②竹を洗おう

スチールたわしで洗うだけ、と言えばそれまでだが、その単純なことすらもなかなか教えてくれる人がいない現状がある。


③「スミ付け」をしよう

割りの目安となる印を付ける作業。工程的には地味で、熟練した職人は省略するような作業こそ、初心者は不安を覚えるし、教えてもらいたいと思っている。ホームセンターで手に入る普通の道具を使うが、やはり映像として伝える必要を感じる。


④「節繰り」をしよう

節の出っぱった部分を削り落とす作業。やってもやらなくてもいいが、やるとやらないでは大違い。その手の作業が竹仕事では多い。そのあたりまでキメ細かく伝えられるよう工夫を重ねている。


⑤短い竹を割ろう(真ん中で割る場合)

竹の割り方のレクチャー第一弾。動画でしか伝えられない姿勢と動作を中心に、3次元的にとらえられるよう、なるべく多くのアングルから撮影している。撮影者も竹仕事ができる人なので相談しながら撮影した。


⑥短い竹を割ろう(幅が不均等な場合)

竹の割り方レクチャー第二弾。あえて「短い竹」と書いている以上、今後「長い竹」の割り方をアップ予定だ。この動画で紹介している「調整」がなかなか掴んでもらえない。様々なアプローチで解説しているが、コツを掴むためにはやはり自身で感覚を掴むしかない。その一助になる動画ではあると自負している。


⑦竹を剥ごう(突き剥ぎ)

そして竹の厚みを薄くしていく「剥ぎ」。第一弾は「突き剥ぎ」という技術。初めて見るとまるで魔法のようだが、感覚さえ掴めればそこまで難しくはない。「剥ぎ」もとにかく姿勢と動作が大切なので、様々なアングルからの映像を駆使してレクチャーしている。


⑧竹を剥ごう(抱き剥ぎ/足剥ぎ/口剥ぎ)

「剥ぎ」のレクチャー第二弾。世界中で様々な「剥ぎ方」がある中で、最初に紹介した「突き剥ぎ」以外に「抱き剥ぎ」「足剥ぎ」「口剥ぎ」の3種類をレクチャー。これらはYoutube上でもほぼ全くレクチャー動画がないため、一部の竹細工難民にとっては福音となるのではないか。


ちなみに全ての動画の、BGMは私が開発した「ごきげんギター」で私が弾いている。どうでもいいけど…


これらの動画を上げ続けたところでYoutubeで収益化が図れるとは思っていない。竹細工はそこまでマスを対象にしたものではないことは、さすがの私も自覚している。

だが先述のように、これは布石だ。

まずはこれらの動画を入口にした、非同期型のオンライン竹部の活動を企んでいる。非同期型というのは、つまり動画と文字のやり取りをする通信教育のようなイメージだ。

対面でのレクチャーはたしかに音も光も温度も香りも、多くのことを五感で感じることができるし、何より人と人とが対峙することで生まれるものは何よりも替え難いものがあるのは事実だが、一方でデメリットもある。

物理的な距離を越えられず通える人が限られてしまうこと、通えたとしても移動の時間とエネルギーが必要なこと、そした何より、私が行うレクチャーや実演の時間と、部員が個人で行う練習の時間が両方必要になるため、時間効率がよくない。

動画をきっかけに竹仕事に興味を持った人のステップアップを、遠隔でもサポートしていけたら、竹部の活動は空間の縛りを超えて広がっていくに違いない。そして広がったその先で、対面、リアルの部活動を立ちあげる人が出てくるのが理想だ。

幸い竹林で竹を切り、家で竹細工をする分には、感染リスクは極めて少ない。

この機会に竹細工を始めたい人の助けになるような活動を、少しづつ広げていきたいところだ。

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竹遊亭田楽
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