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#35 「職業は教師」の方々とたくさん話ができたよね

『ホームスクールをあたりまえに生きてる』エッセイ No.35
「職業は教師」の方々とたくさん話ができたよね


 「ホームスクールとは、家庭が普通教育を選択する権利だ」と受け止めている私にとって、ホームスクールで過ごすことはこどもたちが就学前に過ごしてきた暮らしの延長上にあるものに過ぎず、ごく普通のあたりまえの暮らしの在り方でした。
 そういうわけですから、学校の先生とのやりとりは初めのほうこそ《学校への期待》が意識せずとも心にあったので「理解してほしい」「受け入れて欲しい」「賛成してほしい」などの気持ちが大きかったと思います。
 でも、そのうちいい意味でそんな期待することは不要なのだと思えるようになりました。

 わたしたちの暮らしぶりは、わたしたちが決めていいことでした。
 
 学校とのやりとりは、わたしたちの暮らしぶりを決定する制限や条件にはなりえません。ただ、制度上のきまりごとを考慮に入れつつ「先生」という職業の方々のお仕事を邪魔することなく円滑に事を進めていくことは必要なことでした。
 その最大の目的は、こどもたちが制限を受けず、日々を安心して過ごしていくためです。

 親の私の立ち位置は、先生からみて生徒であるこどもとの仲介役ではなりません。こどもたちの成長とまなびにつながることを、学校でできること、あるいは教育委員会でできることの提案を交換し合います。

 私と先生との関係は【教育】を語り合うものでした。時には【教育を取り巻く環境】とりわけ家庭や地域、社会を語り合うものでした。

 私はホームスクール運営として先生方と対話をすることに努め、こどもたちと共にホームスクール暮らしを過ごしました。
 先生とこどもたちの関係は、当事者である双方に任せればよいことでした。先生への印象は私が抱くそれと、こどもそれぞれが抱くそれとでは異なっていて当然のものでしたし、苦手な先生、好きな先生だってそれぞれ違います。それは当然です。違う人格なのですから。

 こどもの代理として先生にお話しをしにいくわけでもありません。先生のメッセンジャーとしてこどもたちに話をするというわけでもありません。
 三者三様に思うことがあり、考えがあり、想いがあるわけです。
 言葉にできないこどもたちの気持ちを、私が言語という表現に替えて伝える役割は担うことはありますが、こども自身が決定する権利の代理人をするわけではありません。

 先生方からの提案について、ホームスクールとしてどのように受け入れ、取り入れるか、あるいは受け入れないか、といった判断を担うのは私です。こどもたちとの相談が必要な場面もあれば、その必要がない場面もあるでしょう。やはりそこは《ホームスクール運営》の観点からおこなわれるものなのでした。その姿勢があったから、こどもたちが学校には登校しないけれど、おとなたちでつながり支え合う認識を持って、尊重されていたと感じます。

 学校教育を担う先生方の教育への熱意が否定される理由はありません。わたしどものホームスクールの理念が否定される理由がないのと同じです。
 学校教育の在り方の提案は、いち市民としてできうる発言はもちろんしますが、それ以上のものではありません。同様にホームスクールの在り方の提案は、教育を考える立場の者として真摯に耳を傾ける姿勢は持ちますが、対等な関係でおこなわれる話し合いなら、よい刺激を互いに受けることができます。
 しかし「こうあるべき論」から始まる支援意識を持たれるのであれば、意思疎通はなかなか難しいなと感じます。そういうときは淡々と事務手続きの確認と実行くらいしか互いにできることはないかもしれません。

 会話ができない…と思う人はめったにいませんでした。
 実感としては〔中立な立場(距離を保つ)人(6)>肯定的な人(3)>否定的な人(1)〕という割合です。さらに肯定的な(3)のうち(1)くらいは違う方向に応援されてちょっと困ることもある…という具合でした。
 たった(1)の存在に振り回されるのなんて、もったいないよね。たった(1)の存在の対策に全力を尽くすなんてことは非効率なことです。
 力になってくれるキーパーソンと必ず巡り合えるものです。時には住む場所を変える時機の訪れを知ることもありました。

 オルタナティブな生き方は、誰かが決めてくれるものでもないし、自分たちで創り上げるものです。いわゆる標準的な生き方をしていたら無かったであろう出会いをたくさんいただきました。特にSNSでは、お話する機会など到底無いはずの方からうれしい言葉をいただけましたし、なにより、本当に、出会うはずのないご縁をたくさんいただいた…。

 それを思うと、どれほど私の人生を豊かにしてもらったことか。
 ありがとう、私の魂の家族。


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「ホームスクールをあたりまえに生きてる」シリーズを集めたマガジン 2022年5月スタート。 更新中。基本的に全文公開としています。 気に入…

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