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文学フリマ8に参加して、夢が2つ叶っていることを知る

先日の6月18日。
文学フリマ岩手8で、無事出店を果たした。
(ウ-13 和楽風天)

準備期間、当日、その後。
数年ぶりのフルタイム勤務をこなしながらもまったく体調が崩れなかったこと。持病が再発する気配がまったくなかったこと。和楽風天の相方はじめ☆が来れなくとも、不安なく一人で元気に盛岡往復できたこと――

そのひとつひとつが、すごく嬉しい。
盛岡に着く前から、感動して涙がにじみ出た。

免疫異常の持病のため、イベントに参加する自信がなくて。だからはじめ☆と2人で和楽風天を結成したのだけど。
以前2人で参加していたのは2018年頃。
その後また再発して入院して――

それから数年。
すっかり元気になって、今回は初の一人参加。

「行けないかも」と謝るはじめ☆に、「一人でも大丈夫だよ」 って普通に言っていた。体調を崩すかも、という不安は、今の私にはほとんどない。むしろ一人旅にワクワクしていた。

はじめ☆には本当に感謝している。
これまでの私を支えてくれた。

もちろん今でも完璧な健康体ではないから、日々の母のサポートは甘んじて受けていた。
私が元気に文学フリマへ参加できたのは、母の存在も大きい。

出店の荷物は少なめに。 
本は厳選。全種類は持たず。
ブースの装飾もテーブルクロスだけ。

体に負担をかけないためなのだが、気持ちの面でもいい感じに肩の力が抜けた気がする。躍起にならなくなったというか。「売りに行く」という気持ちはなかったと思う。

私が今回、ささやかにでも参加したかったのは、健やかな人生をしっかり歩いていることの印を得たかったのだろう。

  *

文学フリマ開催中、ブースにいた私は、嬉しい出会いをした。

その人は、何年も前に発行した私の本を、ずっと持っていてくれた。

――この本、私の宝物なんです。
和珪さん、サインしてください。

「サインー!?」
びっくりしすぎて、すっとんきょうな声を発してしまった。

「サインなんて書いたことない! 署名しかできないよ?」
と焦ったが、その人はこれまでの苦難と、私の本に支えられたことなど、思いの丈を静かに語ってくれた。

私は初めて、自分の本へサインした。
この日の日付と、メッセージも添えて。
手は震えなかったが、心は大いに震えた。

この思いに触れるために、私はここへ来たのかもしれない。

  *

帰り道。
ぼんやりとその日の出来事を振り返る。

私が満たされること、満たされないこと。
私に合っていること、合っていないこと。
私の本にとって、幸せなこと、そうじゃないこと。

これからの活動の仕方が、ちょっと見えてきた気がした。

そういえば私――
誰かの本棚に置いてもらえるような本を書きたいって、思っていたなぁ。

引っ越しするとき、持っていってもらえるような本を、と。

それが叶ったことを、この日知ることができた。
いい一人旅だった。



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