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日曜日の楽しみ
近頃母は、週末が訪れる速さを嘆くようになった。それはいつも、木曜あたりから始まる。
新聞のテレビ欄を見て「もう『プレバト』か!」。朝ドラを見ようとして「今日土曜日か!」。日曜昼の『NHKのど自慢』まではご機嫌。福田こうへいが出てたらなお良し。しかし夕方になると「もう大河か! この前見たばっかりだっちゃ!」と嘆く。
代わり映えしない生活だから、あっという間に時が流れてしまうらしい。その流れの速さに、自分の若さまで持っていかれる感覚になっているのだろう。
一方私は、嘆くどころかウキウキしている。
なぜなら日曜日は大河の日だから。
毎日汗だくで草刈りして、日曜の夜は、母と晩酌しながら『鎌倉殿の13人』を見るのが私の楽しみなのだ。
今日は『鎌倉殿』だから、と思うと、いつもよりお酒もちょっと多くなる。私も母も強くはないから、ちょこっと酒量が増えただけで、大いに楽しい。母はそのままバンザイポーズで寝落ちする。
20代の頃バーボン党だった私だが、近頃は本麒麟をグビグビ(1缶でほろ酔い、終了)。しかし近頃また、バーボン熱が再燃してきた。
仙台にいた頃はヘンリーマッケンナやオールドグランダッドを好んで飲んでいたが、岩手の地元にそんなものは置いていない。
スーパーで買えるもので、高くなく、私好みの香りのものを……と探していったら、ジムビームに行きついた。
そして先日、「ジムビームアップル」というものを発見。買ってみた。
(ちなみにこれは「リキュール」という表示)
バーボンは甘くないから好きなのに。アップルってことは、甘いんじゃないのか? という懸念はあったが、飲んでみるとこれがなかなか良い。アップルの甘さはあるものの、これはこれで気に入った。
香りがいいので、嗅覚が鈍い母も
「あら、なんかいい匂い」
と気づくほど。
そして。私のカンが働く。
このジムビームアップルは、バニラアイスに合いそうだと。
私の予想はおおむね当たりだ。バニラアイスのジムビームアップルがけは、甘くて、刺激的で、酔っ払いの舌にはこの冷たさが気持ちよくて、美味。
『鎌倉殿』を見ながらすでに飲みすぎていたから味覚も怪しいものだが、「ほらやっぱり合うじゃないか」とにんまり笑いながらバクバク食べた。そしてさらに酔っぱらう。
その夜、ちょっとだけ胃もたれ。
度数高いお酒をいつもより多く飲んだのだから当たり前である。
「休肝日は2日、できれば3日、やった方がいいらしいよ」
と言う母も、休肝する気はないらしい。
だけどだいぶ涼しくなってきたから、晩酌で本麒麟グビグビ飲んで「カーッ!」とやらなくても大丈夫な感じになってきた。かえって冷たいものを飲むと体が強張りそうな気配も出てきたし。
夏の間も時々はアルコールではなく、リンゴ酢の炭酸割りを好んで飲んでいた。疲れていたのか、体がそちらの方を欲していた。
これはもしかして、毎晩飲まなくても大丈夫そうなチャンス到来かもしれない。
いっそ月曜から土曜まではアルコール抜きで、日曜だけ『鎌倉殿』を見ながら楽しく、集中して(ちょっと多めに)飲んでみてはどうか。
その思いつきを母に伝える。
「あーそいづハいいんだ! 立派なんでがす!」
ホンマかいな。せっかく休肝日設けても、その分ドカッと飲んだら意味ないのでは。
でもまぁ週に一度だけだったら、だんだんと弱くなっていって、結果、酒量も減っていくような気がする。
そもそも今でも酒量は少ない方なのだが、胃もたれしたということは私の体としてはやはり少々多いのだ。過去に(別の理由で)大下血したこともあるから、あまり胃腸へ負担はかけたくない。
幸い、ごく自然に「日曜日が楽しみすぎて、他の日は別に飲まなくてもいいかも」となっている。なので早速月曜からアルコール抜きを始めてみた。代わりにリンゴ酢ソーダを「カーッ」と言いながら飲んでいたから、さほど苦ではない。
夕食時にのどをシュワッとさせたくなるのは、夏の時期特有の困った癖である。