自由律俳句をやっていく第0回
初めて作った佃煮の香りはたまにしか帰ってこなかった猫のよう
君の部屋ではないが君が出てくる湯気の漏るドアこれからドライヤー
この話を聞いた人の本棚も夜が明けるとすべての赤い本だけ上下さかさまになってるんだって
恋してなくても持病がなくても助手席が好きで流るる景色が何かのきざしに見えてくる午前
「希望なくすな」ほったらかされた墓たちを砕くショベルカーを操る人の鼻唄の歌詞
凍った柳の葉は糸鋸よりも濡れそぼった幽霊女をずたずたにする
天敵はあなたのおばさん彼女とは遠縁の仲だからあなたとも本当は
犬の毛コロコロする聖地の土攫う球児みたく
あまり弾むベッドはやめて軋みの音で庭にあの狐が来なくなる
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