文章について(夜にてマフラーを持っていく月が)
あれは2011年のことだった。
などと始めると仰々しいが、私が大学を中退して震災があって人と別れて、という年だったので覚えている。私はその年、文章を始めた。
それまでは反文章というか、「イメージで思考したい」と卒論にも書いたくらいで、写真第一主義というか(私は大学で写真を学んでいた)、写真だけでテキストはいらない、みたいな。文章は自分でやるつもりはなかった。小説は読んでいたが、あまり幅は広くなかった。
自分が取り組んでいた写真に絶望して、文章を書き始めた当初、「山新文学賞」と