詩 越冬

君が生きてきた場所で

僕は君の幻影を探し

祈れば会えると

願えば会えると

1秒だけでも良い

君の姿を


届かない君を

僕の心はがむしゃらに追って

追って追って追い続けている

そんな心を見て僕は

視線を空に移して

少し鼻で笑う


秋風が吹く


君と過ごした秋は

どんな季節だっただろうか

少し忘れているぐらいが

良いんだ


記憶を掻き分け

思い出す時間も

愛しく思うから


いつか君と新しい記憶を

作ることが出来るのなら

また秋を過ごせるなら


そう想像するだけで

浮き上がる僕の心を見ると

涙が流れた


冬を越すために

南へと渡る蝶は

毎年同じ場所へ

帰ってくるんだ


何年も何年も

冬を越して春を迎えては

君の帰りを待っている


何があっても

この帰る場所だけは

無くならないから

君の世界に少なくとも一つは

帰る場所があるから


アサギマダラが舞う

いつかまた

君の笑顔を

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