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HACCPなんてやめちまえ(その1)−HACCPをやる意味があるの?


HACCPって何? とはここでは言わないよ

HACCPについて書きます。HACCPって何?って言う人が大多数でしょうけれど。以下僕の文章はHACCPについて解説しません。このHACCPって役に立たないんじゃないの? ということが僕の結論であり、そのことを伝えるため文章です。

HACCPは2018年に改正された食品衛生法で取り入れられました。
厚労省のウェブサイトを見ると、改正の概要の(2)に「HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理」を制度化とあって、改正の目玉だと言うことがわかります。

つまり食品に関係するほとんど人たちはこのHACCPなるものを実施しなければならないということです(ただしこれは「制度化」ということであって実施しなかったと言って罰則はないみたいですが)。

HACCPを実施する目的は明確なはずです。それは食中毒の発生防止です。扱うものが食品ですから、一概に食中毒の発生防止といってもその対策は大変です。家での晩ごはんもあるし、レストランのランチもあるし、コンビニで買う弁当もあります。HACCPの適応範囲としては食堂や、食品工場など多数の人たちに食を提供する人たちや施設に関係します。そのための食品衛生法であり、今回の改正でHACCPが取り入れられたわけですから、HACCPを導入すれば食中毒が撲滅されるとは言えないまでも、少なくとも減るはずですし、それができないのであれば、そもそも導入する必要はないはずです。

例えば食品安全基本法の第5条に

(国民の健康への悪影響の未然防止)
第五条 食品の安全性の確保は、このために必要な措置が食品の安全性の確保に関する国際的動向及び国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて講じられることによって、食品を摂取することによる国民の健康への悪影響が未然に防止されるようにすることを旨として、行われなければならない。(太字筆者)


とあり、科学的知見に基づいて実施しろとあります。また厚労省のウエブサイトに掲載されている「冷凍食品製造事業者向け HACCPに基づく衛生管理のための手引書」の序文に

本手法は、原料の入荷・受入から製造工程、さらには製品の出荷までのあらゆる工程において、発生するおそれのある生物的・化学的・物理的危害要因をあらかじめ分析(危害要因分析)します。製造工程のどの段階で、どのような対策を講じれば危害要因を管理(消滅、許容レベルまで減少)できるかを検討し、 その工程(重要管理点)を定めます。そして、この重要管理点に対する管理基準や基準の測定法などを定め、 測定した値を記録します。これを継続的に実施することが製品の安全を確保する科学的な衛生管理の方法 なのです。(太字筆者)

つまりHACCPは科学的手法と謳っております。

HACCPって科学的なの? その証拠はどこに? 効果はあるの?


個人的なことをいいます。ぼくは数年というわずかな時間でしたが、HACCPに関係する仕事をしてきました。ぼくはずうっとこの科学的な手法であるということに違和感を持っていました。

科学って何かって言いだすと、哲学的な深い問題にはいりこんでしまうかもしれません。ただ少なくとも科学ということを標榜するのであれば、何かしら検証がなされ、得られたデータが統計的処理がされて、HACCP導入した場合の食中毒の対策が有効であるという何らかの論文なり、レポートがあるはずであると。

だが僕の探し方が悪いのか、そんな論文を探しても決定的なものは見つかりません。あるいはHACCPに関わっている人たちに聞いても、科学的検証についてはっきりと答えてくれません。

photo by UnsplashArno Senoner

例えば厚労省のウェブサイトを見てもHACCP導入したら食中毒が防止できる、あるいは食中毒発生の確率を下げることができるとははっきり書いてなありません。

HACCPの推進を勧めている衛生コンサルタントと呼ばれる人たちや、工場やお店にHACCPをきちんとやっていますというお墨付きを与える組織があったりしますが、そういう方々のウェブサイトを見ても、HACCPの効能として、「組織に風通しがよくなった」とか「マニュアル類が整備された」など、食中毒の撲滅という目的から程遠いところでHACCPは「成果」があがっているみたいです。

アメリカでは訴訟沙汰にもなっている

僕はHACCPについては否定的ではないです。それが有効であると食品会社が信じているのであれば、導入すればいいと思います。別にその仕組みが科学的でなくても構いません。例えば毎朝経営目標を社員全員で唱和する会社だってあるし、大きな声で挨拶しようとスローガンを掲げたりすることもあるでしょう。たとえHACCPが科学的な実証が不明確だったとしても、効果があると信じていればそれくらいの意味はあるでしょう。

ただ今回の法改正で取り入れられるとなると話は違います。HACCPの実効性はより明確に求められるはずです。HACCPを導入する以上、各企業は相応の負担をしなければならないわけで、その負担に見合う効果を明確にしなければ、訴訟リスクだって生じかねないからです。

実際、アメリカにおいて、米国農務省(USDA)がHACCPを導入した食肉検査の実証プログラム(HIMP)において、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟産別会議)やFood & Water Watchという消費者団体に訴訟を起こされており、USDAにとってかなり不利な判決を受けたり、敗訴しております。

以上のように疑問に思っていたHACCPですが、思わぬところでこの有効性の検証結果について、実はないんだということを知ることになりました。

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